基礎なし土留め、ブロック塀の『死点、論点』危険性と安全対策(ベースコンクリートからブロックが立ち上がるブロック塀)埼玉県草加市、栃木県宇都宮市、茨城県守谷市、古河市、境町工事例より
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(お知らせ)このページにおいての諸問題については、当社開発、耐震対策特許工法『自立式L型鉄筋』の開発により解決いたしました。詳細につきましては、左側のページ欄、又はここをクリックの上、ご参照ください。
(はじめに)
基礎なしブロック塀とは、ベースコンクリートから直接ブロックが積み上がった、立ち上がりコンクリートのないブロック塀を意味しています。
そのブロック塀は、目には見えませんが、大地震となれば簡単に倒れるものが、存在しています。
今回は、その危険性、目に見えない部分、その対応策について、説明します。
1、差し筋
「差し筋」とは、一般にベースコンクリート(生コン)を流した後、差す鉄筋(縦筋)の事です。
差し筋は、生コンを入れ、スグでは差しても生コンが柔らかく倒れてしまいます。
そのため、ある程度生コンが固まってから、差す事となりますが、差し筋の周りが「くぼみ」になり、鉄筋と生コンが離れ密着しない状態となります。これでは危険です。(最重要点)
地震時にブロック塀が揺さぶられれば、差し筋がベースコンクリートから抜け出てしまうからです。
そこで、差し筋の周りの生コンを叩いたり、指で押したりして、生コンを呼び戻し、差し筋に密着させるようにします。
この密着が、ブロック塀(土留め)の安全を左右する事となります。
(参考動画)動画中盤に、差し筋と生コンを密着している場面があります。
この現場では、全部後から差すのでは、間に合わなくなりますので、半分は先に打ち込んでいます。
全部先に打ち込んでしまうと、生コンの均しがしずらい、等の別の理由もあります。
しかし、夏季は、生コンがスグ固まってしまいますので、間に合わず、鉄筋の周りがくぼんだまま。となってしまう場合もあります。
では、どうすれば、良いかと言う事になりますが!
2、あらかじめ差し筋(縦筋)を打ち込んでおく方法がある。
これならば、ほぼ安全と言えますが、打ち込んだ鉄筋(差し筋)が、錆びてくるのではないか?
と言う、不安が残ります。
2-1、この問題については、私の経験上からの話をします。
これまで、私は約40年近く建設業を行ってきました。これまで、このブロック塀の解体、取壊し工事もかなりやってきました。
その例として、推定30年ほど前に作られた、風化したブロック塀を解体したとき、大型トラックで運ぶ様な重機で、ブロックを重機のバケットで引っ張り解体しましたが、ブロックはボロボロと取れますが、縦筋部分は、モルタルと共に取れません。
そこで、基礎コンクリートごと掘り起し、ひっくり返してみると、コンクリート底部から突き出た差し筋が、サビてはいますが残っています。
さらに、コンクリートを解体しますと、その中の鉄筋は錆びてはいませんでした。
この例は、解体を行なった全てです。
従って、結論としては、コンクリート下部(打ち込んだ部分)の鉄筋は、錆びるが、その上はほとんど30年位は錆びないと言えます。
その30年と言えば、約ブロックの耐久年数とも言えます。
(ブロックが風化してダメになるまでは、鉄筋は錆びない。)
2-2、ただ、ベースコンクリート自体の強度もふまえれば、その厚さが、10cmでは横断方向で割れる可能性が無い訳ではないので、厚さ15cmであれば安全である。と、考えます。
3、万全な方法
その方法は、縦筋をL型に曲げる事です。(差し筋ではなくなる。)
と言っても、口で言うのは簡単ですが、この施工が時間が掛かり、ロスも多く、費用もかなり掛かりますので、なかなかやらないところです。
その欠点は、生コンを入れてからでは施工は不可能なるので、あらかじめ設置する事となりますが、そのままでは、L型鉄筋は自立しませんので、施工延長方向と横断方向に、数多く筋交いを打ち込み、連結するための横筋も流し、それらに縛り付ける事となります。
しかし、それらは、ブロックを積む段階では全て取り外さなければなりません。
これが大きなロスと言う事です。
また、それだけではなく、その縛り付けた横筋が、ベースコンクリートの生コンを入れる際、作業者のベースコンクリート両側への移動を妨げます。言わば、陸上競技のハードル競争のようになってしまう。と言う事です。
3-1、この施工が行われない他の理由
工事が、ハウスメーカーや外構工事業者の下請けとなった場合、その施工方法に従わなくてはなりません。
L型鉄筋ではなく、差し筋と言われれば、そのようにするしかない。と言う事になります。
しかし、元請け側も、他社と競合で仕事を取る訳で、L型鉄筋を使用して工事費が上がっては、工事を受注できない。と言う事情もあります。
4、その他の方法
そこで上記の問題をなくすには、どうすれば良いか?と言う事になりますが、
要は、L型鉄筋を自立させれば良い訳で、L型鉄筋と底部横筋を溶接すれば良い。と言う事になります。
しかし、第一に溶接ができない人では無理となります。
第二に、小型トラックでは長くなり、運搬に難があります。
第三に、コストが、かなり掛かる。
その他、余った場合、置く場所に困る。と言う事もあります。
※溶接した鉄筋を使用した工事例
ベースコンクリート工事、動画
(横筋がないので、ベース両側への移動が楽に行える。)
5、グリップアンカーの使用
グリップアンカーは、上を叩けば、下の羽根が開く。と言うような構造になっていますが、
大地震では、グリップアンカーが、コンクリートからの抜け出しを防止しようとする摩擦力対して、
ブロック塀が揺さぶられ、抜け出そうとする力の方が、上回ります。
この場合、ブロック塀に控え壁を増設するなどの、補強対策が望まれます。
6、接着系アンカー(ケミカルアンカー)
(施工例、動画)
これは、施工を正しく行えば、安全である。と言えます。
ただ、前述のごとく、ベースコンクリートの厚さが15cm位あった方が良いです。
7、間接的な安全対策
前述の控え壁もその一つと言えますが、
ブロック塀の近くにU字溝などの構造物があれば、その間にコンクリートを詰め込む。と言う方法があります。
ただ、ある程度U字溝の天端より、ブロックが埋まっている場合です。
7-1、ここで逆に考えると、
不良施工でありながら、(差し筋がベースコンクリートに密着していない)上記の例のごとく、塀がU字溝等によりかかった状態で、
大地震の際も倒れなかった。と言う場合(状況)もあります。
この場合、何らかの事情で、U字溝が取り外された。又は、道路が下がりU字溝も下がった。と言う場合には、無防備状態となりますので、その辺の確認が必要です。
(対策としては、前説同様、控え壁を増設するなど。)
(参考)普通の、立ち上がり基礎のある、土留めブロック塀と差し筋
差し筋動画
結構ある、手抜き工事例
これは、かなりひどい例の動画ですが、このブロック塀は、となりのブロック塀によりかかる状態で、何とか倒れずにいました。
※このページの、控え壁が付いたブロック塀の写真は、
積んであったブロック塀を解体し、同じブロックを積み直したものです。
解体して見ると、ベースコンクリートはありましたが、差し筋は、手で引っ張ると抜けるものがほとんどでした。
そのため、ベースコンクリートも解体し、作りしました。
(まとめ)
以上、差し筋のやり方の重要性について述べてきましたが、もう一つ、
重要な事は『これが見えなくなる部分である。』と言う事です。
これから、ブロック塀、土留めブロックを構築される予定の方も多いと思いますが、
安全策は、このベースコンコンクリート、及び、差し筋が終了した時点で、
御客様ご自身が確認する事が必要です。
ここで、差し筋が、手で引っ張って抜けるようでは、かなり危険です。
しかし、その場合、他の場所に接着系アンカー(ケミカルアンカー)を打つ、などの打開策もあります。
(その他、控え壁を増設する。)
さらに言えば
地震が起きてからでは、間に合いませんが、日本政府には「地震対策チーム」なるものがあったと思います。
この確認と言う事を、その対策チームで行う、と言う様なシステムを作る。
又は、「差し筋ではない」施工方法の義務付け、合法化を行う。
と言う様にすれば、未然に尊い人命も救う事ができるのではないか。
と思うのですが、どうでしょう?
施工者でも、差し筋と生コンの密着の重要性について、理解ができていない人もいます。
そういう方への、指導等は、官庁、地方公共団体等でしかできません。
私が、このページを作るのにも、1週間以上かかっています。この費用は、誰からでも、もらえるものではありません。
ただ、「人は人のために生きる。」と思うからこそ、やっているだけです。