『外構を斬る!』、土留めが倒れる原因、理由
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(紹介動画)
diyで格安に土留めコンクリート擁壁を作るには、
型枠、セパ、鉄筋やり方『縦筋二分(ニブン)の計』
(diyでの参考動画)
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(当社、土留め工事例)
素人目で見れば「何でもないような事」にしか見えない、土留めが傾く(倒れる)原因
このページでは、土留めが倒れたり、崩壊してしまう原因について、私なりに説明いたします。
先日、すでに何十年か前に作られた土留めコンクリートの上に、ブロックを積んでフェンスを設置すると言う工事の依頼を受け現地に行きました。
すると、木の葉や枝で土留めコンクリートが埋まっている状態でした。しかし、私は一目見て、土留めが傾いているのはわかりました。
木の枝や葉を取りはらい、土留めコンクリートを良くあらわして見ると、ひび割れ(専門的にはクラック)が数箇所見つかりました。
その土留めコンクリートの傾き具合を見ると60cmの高低に対し、3cm以上ありました。これは相当な傾きです。
この状態で、土留めコンクリートの上にブロックを積んでは、ブロックの重量も加わり、さらに土留めが境界よりも外側に出てしまう可能性が大いにあります。
ここで、土留めが傾いた原因をつきとめる必要がでてきました。
何故かと言えば、これからブロックを積んでフェンスを設置するのに、どうすればよいか、その土留めが傾いた原因によって、これからの施工の仕方が変わってくるからです。
1、土留めが傾いた原因
土留めが傾いた原因としては、2つあります。土留めコンクリートは、L型の形状になっています。
そのため専門的には、L型コンクリート擁壁と言います。
そのL型擁壁の構築については、先に下部のベースコンクリートを作り、それから上部の立ち上がりコンクリートを作る事となります。
(当社施工例参照)
1-1、土留めが傾く原因の1つ目は、
ベースコンクリートが正常(沈んだり、傾いたりしていない)であるが、立ち上がりのコンクリートだけ、土圧(埋めた土の圧力)によって外側に傾く。
1-2、原因の2つ目は、
ベースコンクリート自体が、土圧とコンクリートの自重、及び、埋めた土の重量によって、片下がりして土留めが傾く。
言い方を換えると、ベースコンクリートの下部外側が、沈んで(下がって)、L型の形はそのままに傾いた。と言う2通りがあります。
2、この現場の場合での施工
いずれにせよ、上記2つの原因のどちらかであれ、
イ、すでに傾いた土留めコンクリートの上にブロックを積めば、積んだブロックの重量も加わり、さらに土留めが倒れる。
ロ、すでに、土留めコンクリートに、ひび割れが生じているようでは、ブロックを積んでも時間(時)がたてば、ブロックにひび割れが生じる。
ハ、土留めが、これ以上傾いて境界よりも出てしまった場合、新たに積んだブロックもフェンスも取り壊し、やり直さなければならなくなる。
以上のような訳で、この現場では、土留めの上にブロックを積む事はやめる事にしました。
3、施工の変更
では、どのようにブロックとフェンスを設置すれば良いのか、と言う事になってくる訳ですが、
その前に、これ以上現在の土留めコンクリートが倒れないようにする、と言う事が前提条件となってきます。
そこで、土留めコンクリートの内側に、厚くベースコンクリートを作り、これ以上、土留めに圧力がかからないようにする。
言い方をれ換えれば、ベースコンクリートで土留めにかかる圧力を遮断する。と言うようにしました。
4、土留めが傾く(倒れる)原因、要因
この現場の話から、話は戻りますが、土留めが傾く要因としては、
4-1、ベースコンクリートが正常で、立ち上がりのコンクリートのみ傾いた場合、
この場合、鉄筋にあると考えられます。
イ、縦筋と呼ばれる。縦に入る鉄筋の数が少ない。(鉄筋の間隔が広い。)
ロ、ひどい場合、縦筋をある程度の間隔でベースコンクリートに刺しただけで、横筋が入っていない。
この現場のように、たくさんのひび割れがあるようでは、その可能性も大いにあります。
ハ、縦筋の本数は正常に入っているが、入れた鉄筋の位置が悪い。ここが重要なところです。
前記記載のL型擁壁断面(土圧の説明)の写真を参照して、専門的に説明すると、
L型擁壁を土で埋めた場合、
立ち上がりコンクリートの壁の内側、すなわち、土で埋まる側に引張り強度(引っ張り力)が、かかります。
その引っ張り力に対抗するために鉄筋が必要となります。ちなみに、コンクリートは引っ張り強度はほとんどありません。
その鉄筋が、L型擁壁の立ち上がりの壁の外側(埋まらない方)に入っていては、意味がなく、その引っ張り力に負けて外に倒れる事になります。
4-2、コンクリートの立ち上がり壁が、外に傾く(倒れる)と言う事は、
ベースコンクリートと立ち上がり壁の下端に隙間が生じます。(土で埋まる側、内側)、たとえどんな小さな隙間であれ、言い方を換えれば、口があけば、そこから水分が浸入します。
その水分で、鉄筋は腐食します。時がたち、鉄筋の腐食が激しくなり土圧に耐えられなくなった時点で、鉄筋が切れ、擁壁が倒れる、崩壊すると言う事になります。
4-3、一方、ブロックで土留めを行う場合は、より重要ポイントとなります。
コンクリートの場合は、通常20~30cmの間隔で鉄筋を入れますが、ブロックの場合、40cmか80cmの間隔となります。
5、L型の形のまま傾いた場合、
この場合、ベースコンクリートの下部の砕石が十分に締め固まっていない、と言えます。
特に、高さの高い擁壁、周りの地盤よりもあまり埋まらない擁壁、どこからか水が回ってくるような場所では、相当に砕石が固まっていないと擁壁が倒れてきます。
その場合、プレートで締め固めただけでは不十分な場合があります。
写真を参照すれば、弱い地盤では、プレートで締め固めを行った後、ランマーをかけると、まだまだ下がります。
また、ランマーの場合、完全に固まってくると、突き固める音が金属音のように変わってくるので、十分に固まっているかどうかが、わかります。
6、まとめ、
ここまで、土留めが傾く(倒れる)原因について私なりに説明してきました。
土留めが傾き、境界の外や、道路に出てしまっては、取り返しのつかない事態となってしまいます。やり直すしかないと言う事になってしまいます。
前述の、縦筋の位置などについては、素人目で見れば、「何でもないような事」にしか見えません。
しかし、業者においても、鉄筋の位置などかまわず、力学的、構造的知識などなく、入っていればいいのだろうと思っている業者もたくさんいます。
鉄筋の位置など「何でもないような事」にしか見えない業者では困ります。不幸のどん底へ落ちてからでは遅すぎます。
この擁壁が倒れた事例を、私も何度となく見てきました。そのため、このページを記載しました。
これから土留めを作ろうとお考えの方にとりましては、依頼する業者が前述のような力学的、構造的な知識を兼ね備えているのか、見極める事が重要カギとなります。
最後に、このページがご覧の皆様の参考となれば幸いに存じます。