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耳をふさぐ
先日、突如、ありえない勢いの怒鳴り声が耳に飛び込んできた。
怒鳴ってる人も、怒鳴られてる人も、赤の他人。
どうしたらこんなに、恨みのこもった声を出せるのか、勝手に聞こえてくるその声にドキドキしてきた。
はぁ・・・自分がどんどん小さくなっていく。
自分が怒鳴られてるわけじゃないのに、ちっちゃくなって、いなくなりたかった。
攻撃性のある人は嫌い。
個展のお知らせ 【ただいま、のカタチ】
6月5日㈮~8日㈪
小田原市にある「よしのや」さんで個展を開催します。
よしのやさんは、親の代から続く地域に根付いたお店で、今は私の同級生である店主が新たな息吹を吹き込み、
飲み物を提供しつつ、小田原にちなんだお土産や作家さんの作品を販売しています。
小田原駅から小田原城へ続く道すがらなので、人通りもたくさん!店主の想いは、地元の人も観光でいらした方も
気軽に立ち寄って、ほっと一息つける休憩所みたいな場所にしたいとのこと。
私もその想いを大切にして、麦わら作品を愛でながら、心身休める場所作りに努めたいと思います。
会期中、小田原城はあじさい花菖蒲まつりが開催されていますよ。
地元の方はお散歩がてら、遠くからいらっしゃる方は小田原観光のついでに、ぜひお立ち寄りください。
よしのや
小田原市栄町1-10-8
11:00~17:00
全日、私、います。
海の向こうまで
今日はとーーっても久しぶりにアトリエでワークショップを開催した。
今は個別のリクエストに応えられる余裕がなくて、問い合わせがあってもお断りしたり、
直近のワークショップの予定を伝えたりしていたけど、今回は余裕をもってお問合せいただいた
のと、韓国からいらしてくれるとのことで、互いの予定を調整してお受けすることにした。
ただでさえワークショップが久しぶりでドキドキ、海外の方でドキドキ、今回用意したものが
求められているもので合ってるのかドキドキ、時間どおりに終わるのかドキドキ。(時間が限られていたの)
とにかく昨日からソワソワしていた。
一緒に来てくれた日本の方の通訳のおかげで、なんとかなりそう!と気持ちが軽くなったのもつかの間、
いざ説明を始めたら、まー自分でもびっくりするくらい言葉が出ない。
この動きをなんて伝えればいいのか。えー、おー、あー。。。と、まぁ、一言発する前に頭の中で適切な言葉を
探す探す。けど、なかなか見つからない。結局勘のいい彼女が察してくれて、私はその動きを見て、そう!それそれ!
と相槌を打つ始末。情けない・・・
今日は少人数だから、目の前で見本を見せてなんとかなったけれど、次、大人数で開催するときはよほどリハーサルを
しておかないと、お金なんてもらえないや。
私の心のジェットコースターが乱高下するなか、無事、きれいに完成した。はぁ~~よかったぁぁ。
日本で習う初めてのヒンメリが私でよかったのかしら・・・問い合わせが来た時からずっと思ってるけど、
今の私の一生懸命を詰め込んだのは確か。
これからのお二人にとって、ヒンメリをはじめ、麦わらの作品作りが、どんな時も優しく穏やかに包み込んでくれる時間
になることを、心から願います。
海の向こうからこのアトリエに来てくれたこと。小さな発信を見つけてくれたこと。嬉しかった。ありがとうございました。
さて、来週末は静岡県三島市で開催されるヴィレッジ三島に出展です。
眩しいくらいおしゃれなお店がたくさん!その眩しさにいつも跳ね返されそうになるけど、目の保養、目の保養と唱えて
自分なりに楽しんでいる。これを読んでくれてる少数派の皆様も、そんな気持ちでぜひぜひ、遊びにきてくださいな。
簡単に⤴
畑のおじさん
そのおじさんは、ある日突然自宅にやってきた。
「畑を探してるのはあんたけ?」と言われ、朝ゴミ出しの時に近所のおじさんに「この辺で畑ないですかね?」
と自ら話したことを思い出した。そう、それまで使っていた畑に住宅が建つことになり、次の畑を探していた時期の
話である。
突然訪ねてきたおじさんは、Sさん。後にSさんの自宅を知ることとなったが、近い距離に住んでいながら
きっとこの日が互いの顔を認識した初めての瞬間だったと思う。
朝、私が畑探しの話題をふったおじさんが、老人会でこの話をしてくれたらしく、心当たりのあったSさんが突如
私の自宅にやってきた、という流れ。
あんたけ?と聞かれ、私は頷いた。そして、案内するから車に乗って、と言われた。それはちょっと・・と抵抗があった
けど、朝話しかけた近所のおじさんも一緒に乗ってくれるというので、私も乗り込んだ。
着いた先は、車で10分弱のシェア畑。そこには、さらに高齢のおじいさんがいて、シェア畑の一画を片付けていた。
Sさんはそのおじいさんに、「この畑、もうやらねーべ?」と聞いた。おじいさんは、契約はまだ残ってるけど、
年だからもうできない、やらない、と答えた。そこでSさんは私を前に促して、「この人が畑探してるからこのまま
ここを使ってもいいか?」と聞いてくれた。おじいさんは菩薩のような笑顔で、いいよ、と言ってくれた。
そして、それじゃぁこの足で地主さんのとこ行って契約したらいい、と言って、そのおじいさんも加えてみんなで
Sさんの車に戻った。おじいさん3人と私。この顔ぶれが少し笑えた。
おじいさんは、地元の人だけど、地主さんの家がわからなくなってしまったらしく、ここだ!いやちげーなー。
ありゃ?どこだったっけか・・と、車で右往左往した挙句に、ようやく記憶が蘇り、ここだ!と行きついた。
幸い地主さんは在宅しており、無事におじいさんの後を私が引き継ぐこととなった。
これが今の畑のはじまり。
それから私は、父の指導のもと、土を耕し、畝を作り、種を蒔いた。
シェア畑を借りている人は、私より年が確実に上の男性が多かった。だから、その中では若手となる女の私が
麦を、しかもおそらくこの辺りの皆さんが見たこともない、やたらと背の高い謎の植物を育てていることが
珍しく、遠巻きに見られていたことはなんとなく感じていた。中には「これは何ですか?」と聞いてきてくれた
紳士な方もいたけど、たいていの人は、なんだ?こいつは・・と思っていたと思う。
そんな中、私の区画の近くで畑をやっているSさんは、通りかかると必ず声を掛けに来てくれた。
原チャリを降りて、少し鼻にかかった高い声で、「今日もやってんな」とニコニコと話しかけてくる。
正直、最初は私、薄情にも、少しばかりうっとうしく感じていた。ほんっとにイヤな私の一面!!
私は一人で黙々と作業をするのが好きなのだ。そこに水を差されるような気分。
ある時は、ライ麦が倒れないようにと、支柱とビニール紐で囲いをつけていたときに、原チャリが止まった。
「こんなんじゃだめだよぉ!おめぇ、そこのホームセンターであれが売ってるから買って来い。で、100均には
あれがあるから買ってこい、分かったな。じゃ、お昼食べ終わった後に集合な」と一方的に言って、また原チャリに乗って
走り去ってしまった。
ポッカーン。
本当に嫌だった。私だって午後の予定があるのに、なんで合わせなきゃいけないの?!と、怒りを覚えた。
けど、Sさんはもうこの場にいないし、私が約束をすっぽかして午後にここに来なかったら、Sさんは待ちぼうけを
食らう訳で、これはもう、Sさんに言われた通りの買い物をして、午後にここにいなくちゃいけない、選択肢はもう
それしか残っていなかった。私の午後の予定と言っても、誰かとの約束って訳じゃないし、いくらでも変更できるのもあって、
やむなく自宅に戻ってお昼を食べて、ホームセンター行って、100均に行って、畑に行った。
Sさんは、ちょどよいタイミングで畑に戻ってきた。
「買ってきたか?」「はい」「じゃ、やんべぇ」
その後はSさんの指示どおりに支柱を土に刺し、うまく刺さらないところはSさんが自分の畑から脚立と、その辺で拾った
いい感じの大きめの石を持ってきて、脚立に乗って、支柱の先端を石でガンガン打ちつけてくれた。
そんなこんなで、気が付けば、建築現場の足場並みに、頑丈な囲いができたのである。
それから毎年、私はライ麦の成長期になるとSさんに教わったとおりの囲いを設置するようになった。
そして、まるでそれをやることをわかっているかのように、どこからともなく原チャリの音が近づいてきて、私の畑の横で
止まると、またやってんな~と、ニコニコ様子を見て、手を貸してくれるのであった。
最近、人づてに、今年に入ってSさんが亡くなっていたことを知った。畑にいると、いつもいつも声をかけてくれて
いたから、最近もしゃべったような気になっていて、びっくりして、声が出なかった。
今日は、いつもよりもだいぶ遅くなっちゃったけど、畑に囲いをしたよ。
Sさんに言われたとおりにはできなった。だいぶ手抜きになっちゃたよ。
力が出なくて、支柱を深く刺せなかったよ。
手伝ってよ。原チャリで飛んできて。
ありがとう。ありがとうだったんだね。
大好きだよ。
今頃になって涙が出る。



