七夕踊資料館
踊りの構成
優美に舞う「鶴」
門前集落が奉納する鶴は、作り物の最後部で行列物の最前にあります。 鶴の中には、一人青年が入り踊ります。鶴の足の踏み方にはコツがあり、大変難しいと言われています。餌まきは一人、陣笠を被り脚はんをはいて、イネサシの棒で二つの籾殻の入った桶を担ぎ、籾殻を撒きながら鶴の前を行きます。鶴は、餌捲きの後からついて行き、餌捲きが桶を叩き籾を蒔くと鶴は体をかがめ首を下げて餌を探す所作をします。この鶴の後に続くのは、鷹狩りの武士です。
鶴は、くちばしに一本の稲穂をくわえていますが、これは「最初に鶴が稲穂を運んできた」と言う伝説によるものと思われます。
凛々しい鷹狩りの武士
琉球王行列
鶴に続く行列は、琉球王行列です。中福良・木場迫集落が奉納します。この行列は、昔、琉球王が島津義弘の戦勝を祝ってはるばる南海の島から貢物を持って薩摩を訪れ、島津氏の武運長久を祈願したものと伝えられます。従がって服装も動作にも異色があります。行列の構成は、漢林王、中山王三本やり、薙刀、笛、大音、中音拍子木、銅鑼、摺金、三角旗、弓台持、王様、弓台持、御傘持、千本槍、小薙刀、となります。この行列では、拍子木、銅鑼、摺金を持った踊り子が中心となります。この踊り子は、琉球人踊りを踊りますが、大変難しい役です。
この琉球人踊りを見た旅と祭りの編集プロダクション「B.O.N」を主宰する大石始さんは「沖縄本島には念仏踊りにルーツを持つエイサーという芸能があります。その中にはチョンダラーという狂言回しのキャラクターが登場します。 そして、琉球王行列の「ジキジン」はどこか沖縄本島で見たチョンダラーの面影があり、薩摩半島と南西諸島の繋がりがこの行列から見えることに僕は驚いてしまった。」と語っています。
琉球王行列の中の琉球人踊り
沖縄エイサーのチョンダラー
琉球人踊り2
大名行列(馬簾振り)
琉球王行列に次に続くは、大名行列です。現在は、松原・払山集落が奉納しています。奴道中ともいわれ、大名の参勤交代の様子を表したものです。 「ドコイサー、ドコイサー」の掛け声で進む馬簾振り(バリンフリ)は、最も難しい役で、何回も稽古しないと一人前にはなれません。 馬簾振りの後には、オボロ、薙刀、お腰物持ち、はさみ持ち、弓台持ち、御傘持ち、槍持ちと続きます。馬簾振りに続く行列は、後足を前足に引き寄せては前に出すやり方で歩いてゆきます。