2026-09-12 18:57:00

注射はするのに、鍼は怖い?

膝が痛くなり病院へ行くと、関節に注射をすることがあります。

 

【注射は痛い】

 

それが分かっていても、治すためなら仕方がないと受ける方は少なくありません。

 

ところが鍼治療をご提案すると、

「鍼はちょっと怖い」、「痛そう」、、「受けたことがあるけれど苦手」、、、

という反応が返ってくることがあります。

 

考えてみると少し不思議です。

病院では痛い注射を受けているのに、それよりずっと細い鍼を怖いと感じる。

 

でも私は、これは決して矛盾しているとは思いません。

人が怖いのは痛みそのものだけではなく、

 何をされるのか分からないこと

 過去の嫌な記憶

 頭の中で想像する痛み

こうしたものも大きく影響しているからです。

 

 

実際に当院にも、とても鍼が苦手な患者さんがいらっしゃいました。その方は鍼だけでなく、注射そのものも大嫌いな方でした。

 

ところが膝を痛め、変形性膝関節症と診断され、痛みのため病院で膝への注射を受けることになりました。

 

嫌ではあるけれど、この膝の痛みを何とかしたい。

そんな思いだったのだと思います。

注射を受けると、一週間ほどはまずまず調子が良い。

しかししばらくすると、また膝が赤く腫れ、痛みが戻ってくる。

 

再び病院へ行き、また注射を受ける。

 

そのようなことを四回、五回と繰り返していたそうです。

良くなったと思ったら、また痛くなる。

 

きっと患者さんの中には、「このまま続けていて本当に良くなるのだろうか?いつまで注射を続けるのだろう?」という疑問や不安、苛立ちもあったのではないかと思います。

 

 

そんなある日、階段を降りていると膝に強い痛みが出ました。特に階段を降りる動作がつらかったそうです。

 

そこで患者さんは病院へ行き医師に尋ねました。

「この膝は治りますか?階段を降りるとき、とても痛いんです。」

 

すると医師から「これはもう治りません」と言われたそうです。

 

 

もちろん医師には医師なりの医学的な判断があったのだと思います。

 

しかし患者さんにとって

「もう治りません」

という言葉は、とても重いものだったのではないでしょうか。

 

痛みが続いている時、人は身体だけではなく心も少しずつ疲れていきます。

 

 この先ずっとこの膝と付き合わなければならないのだろうか?

 階段は痛いままなのだろうか?

 

そう考えるだけでも気持ちは沈んでしまいます。

 

 

そんな時、その患者さんの娘さんが当院の鍼治療を受けており、お母さんに一度行ってみたらと勧めてくださったそうです。

 

そして初めて てあーて鍼灸院へいらっしゃいました。

 

膝を見ると、かなり赤く腫れていました。

お話を聞いていると、患者さんがこんなことを教えてくれました。

「昔、肘に鍼をしてもらったことがあるんだけど、あれがすごく嫌だったんです。」

 

鍼に対して、はっきりとした苦手意識を持っていたのです。それは当然です。

一度でも嫌な経験をすれば、鍼とはそういうものだと思ってしまいます。

 

 

私は無理に

「鍼は痛くありませんよ」

「怖くありませんよ」

とは言いませんでした。

 

できるだけ身体の状態を確認しながら、刺激を抑えて治療を進めていきました。

 

そして実は、その患者さんが昔の鍼の話をしている頃には、私はすでに何本か鍼をしていました。

 

そこで私は聞いてみました。

「今の鍼はどうですか?痛いですか?」

「つらくないですか?」

 

すると患者さんから返ってきたのが

「えっ。もう鍼を打ってるの!?」

という言葉でした。

 

 

私はこの言葉がとても印象に残っています。

 

患者さんの頭の中にあった鍼と、実際に身体で感じた鍼が違ったのでしょう。

 

鍼が怖いというより、昔経験した鍼の記憶が怖かったのかもしれません。

 

そのまま治療を進め、治療を終えました。

 

そして患者さんがベッドから身体を起こした時です。

 

膝を確かめながら、こちらを見て明るい表情で

「いいかも!」と言ってくださいました。

 

帰ってすぐに娘さんにもすごく良かったと話してくださったそうです。

 

 

私は、鍼治療を怖がる方を見ていて思うことがあります。

 

人が怖がっているのは、細い鍼そのものではない

ということが多いのではないかということです。

 

 昔痛かった経験

 注射針から連想する痛み

 身体に何をされるのか分からない不安

 自分では見えない場所で治療される怖さ

 

こうしたものが全部合わさって【鍼は怖い】という気持ちになっていることがあります。

 

 

◾️鍼灸院で使う鍼は、一般的な注射針とは目的も構造も違います。

 

非常に細い鍼を使い、身体の状態やその方の感受性を見ながら刺激量を調整していきます。

もちろん感覚には個人差があります。

 

場所によってチクッと感じたり、ズーンと響くように感じたりする場合もあります。

 

ですから私は「何も感じません」とは言いません。

大切なのは、我慢させながら鍼をすることではないと思っています。

 

「少し怖いです。」

「昔、鍼で嫌な経験をしました。」

「痛いのは苦手です。」

 

そういうことを最初に伝えていただいて構いません。むしろ伝えていただいた方が、その方に合わせた治療ができます。

 

 

そしてもう一つ大切なのは、

診断名と、今感じている身体の状態は、まったく同じものではない

ということです。

 

【変形性膝関節症】という診断があったとしても

 膝の周囲の筋肉

 股関節の動き

 足首の動き

 身体の使い方

 筋肉の緊張

 炎症の程度

 歩き方

 階段での身体の使い方

などによって、症状の出方は一人一人違います。

画像に変形があるからといって、痛みのすべてがその変形だけから生まれているとは限りません。

 

だから私は診断名だけを見るのではなく、

 なぜこの方は階段を降りる時に痛むのだろう?

 どこに負担が集中しているのだろう?

 身体のどこを変えると膝が楽になるのだろう?

という視点で身体を見ていきます。

 

 

病院での治療が必要な場合ももちろんあります。注射が役に立つ場合もあります。

 

鍼がすべてを解決するわけでもありません。

 

ただ、

 何度治療しても痛みが戻ってしまう

 このまま同じ治療を続けていいのだろうか

 もう治らないと言われたけれど何かできることはないだろうか

 

そう感じた時には、

少し違う角度から身体を見てみることも、一つの選択肢だと思います。

 

 

鍼が怖くても大丈夫です。

怖いものを無理に好きになる必要はありません。

 

まず話をして、身体をみて、納得してから治療を受ける。

 

それでいいと思っています。

 

 

あの日

「もう鍼を打ってるの!?」

と驚いていた患者さんが

 

治療後に

「いいかも!」

と明るい表情を見せてくださった。

 

私にとっても、印象に残っている出来事です。

 

鍼が怖いという理由だけで、身体を良くするための一つの可能性まで最初から閉じてしまう必要はありません。

 

怖いという気持ちも含めて、その人の身体をみる。

 

それも鍼灸治療の大切な部分だと、私は考えています。

 

てあーて鍼灸院

 

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2026-09-10 09:09:00

遠くから来てくださる理由を考えてみました

Cさんが初めて来院されたのは、2025年5月でした。

 

主訴は、長く続いていた首から背中にかけての痛みです。

胸椎のあたりには、まるで打撲をしたような痛みがあり、腕には痛みとも痺れとも言えない、不快な感覚がありました。

これまでに整形外科にも通い、首の牽引や電気治療を受け、薬を飲んだこともありました。

しかし、薬を飲むとめまいや吐き気が出てしまう。湿布や鎮痛薬にも、身体が敏感に反応する。

そうした経験を重ねるうちに、整形外科からも足が遠のいていました。

初診の日、Cさんは私に尋ねました。

「先生、これ治るんですか?」

私はこう答えました。

「長く続いている症状ですから、今日一本鍼をして、すべてなくなるとは言いません。ただ、似たような症状の方でも、少しずつ変化していくことはあります。まずは、身体がどう反応するか、一緒に見ていきましょう」

Cさんにとって、この日が一つの始まりになったのだと思います。

 

 

鍼をしている途中、Cさんが言いました。

「なんだか身体が暖かくなってきました」

私は、身体の中で起きていることを説明しました。

鍼をすると、筋肉だけでなく、自律神経や血流にも変化が起こります。そのため、身体の緊張がゆるんだり、手足が暖かく感じられたりすることがあります。

ただ鍼を刺して終わり、というわけではありません。

 

なぜこの場所に鍼をするのか。

なぜ首が痛いのに、手や足に鍼をするのか。

なぜ肩の症状に対して、ふくらはぎを使うのか。

 

身体のつながりを、一つずつ説明していきました。

 

Cさんは、治療中によく質問をします。

「先生、ここに刺して首に効くんですか?」

「効くというより、ここに鍼をすると首の動きが変わることがあるんです。身体は、痛い場所だけで動いているわけではないんですよ」

「へえ、不思議ねえ」

そこで、実際に首を動かしてもらいます。

「あ、本当だ。軽い!」

こうした確認を、何度も繰り返しました。

 

左腕の違和感が消えていく

最初に強かった左腕の違和感は、治療を重ねるうちに消えていきました。

すると今度は、もともと症状のあった右側が目立つようになりました。

さらに治療を続けると、右側の症状も少しずつ薄くなっていきました。

初めの頃にあった、背中を触られるだけでも痛いような打撲感も、次第になくなっていきました。

Cさん自身も、少しずつ変化に気づき始めました。

「先生、最初は左がすごく嫌だったのに、今はもうないですね」

「そうなんです。だから、一回一回の状態だけを見るのではなく、最初からの経過を見ることが大切なんです」

 

最初は、左腕まで違和感がありました。

それがなくなり、右側に症状が集まってきた。

その右側も、以前ほどではなくなっている。

身体全体で見ると、症状の範囲が少しずつ狭くなっているのです。

 

「そう言われると、確かにそうですね」

この気づきは、とても大切だったと思います。

 

【今日痛いか?】だけでは見えない変化

慢性的な痛みを抱えている人は、「今日痛いか」「今日痛くないか」だけで状態を判断してしまいがちです。

そのため、少し痛みが戻っただけで、

「やっぱり治っていない」と思ってしまうことがあります。

しかし、数か月という時間軸で見ると、症状の場所や強さ、頻度、安静時の痛み、生活への影響は、大きく変化していることがあります。

その変化を、治療者と患者さんが一緒に確認する。

それも、Cさんがこの治療院へ通う理由の一つだったのではないかと思います。

 

治療中に聞く、身体以外の話

治療中に話すのは、身体のことだけではありません。

Cさんは沖縄の出身です。

 

 若い頃の沖縄の話。

 友達と過ごしていた頃の話。

 東京へ出てきた頃の話。

 仕事をして、結婚し、子どもを育てた話。

 娘さんやお孫さんの話。

 現在の生活の話。

 

ある日は、旦那さんの介護について話してくれました。

立ち上がれなくなった旦那さんをどうしたらいいのか。

食事をどうすればいいのか。

デイサービスの準備が大変なこと。

 

別の日には、青森の話になりました。

沖縄で育ったCさんが、初めて青森で一面の雪を見た時のことです。

「地面が全部真っ白でね。あんな景色を見たのは初めてだったから、本当に感動したの」

 

また別の日には、吹き矢や高齢者大学、お菓子作りの話をしました。

 

 夜になると時間ができるので、ケーキを焼くこと。

 夏みかんをパウンドケーキにすると、近所の人が喜んでくれること。

ある日には、小豆のパウンドケーキを持ってきてくださいました。

 

こうした会話は、一見すると治療とは関係がないように見えます。

しかし私は、とても重要なものだと思っています。

 

患者さんは「痛み」だけを持って来るわけではない

患者さんは、首の痛みだけを持って治療院へ来るわけではありません。

痛みで悩んでいる『人』が来るのです。

 

 介護をしている人。

 子どもや孫を心配している人。

 料理が好きな人。

 沖縄で育った人。

 介護を背負っている人。

そうした生活全体の中に、身体があります。

だから、

 「最近、何か変わったことはありませんでしたか?」

と尋ねた時、身体以外の話から治療のヒントが見つかることもあります。

 

「痛い時」と「痛くない時」の違い

Cさんには、長時間座って作業すると痛いという特徴がありました。

 特定のダイニングチェアに座ると、ジリジリする。

 一方で、吹き矢をしている時は痛くない。

 輪投げをしている時も痛くない。

これは、とても興味深い情報です。

単純に、「頸椎が悪いから、いつでも痛い」

というだけでは説明できません。

 

 姿勢の問題なのか。

 一定の筋緊張なのか。

 座り方なのか。

 神経の過敏性なのか。

 痛みに意識が向くことが関係しているのか。

さまざまな可能性が考えられます。

 

私はCさんに、こうしたことも説明しました。

「動いている時は大丈夫なのに、何もしていない時に痛みが出るというのは興味深いですね。首そのものだけでなく、身体の使い方や神経の反応も見ていった方がよさそうです。」

Cさんは言いました。

「そうなのよ。吹き矢の時は何ともないの。」

「それなら、痛い場所だけを揉み続けるよりも、痛い時と痛くない時で何が違うのかを探していきましょう。」

 

首の治療から【身体全体を相談する場所】へ

治療が進むにつれて、Cさんから首や肩の話を聞く時間は、少しずつ減っていきました。

その代わりに、

「顔がかゆい」

「鼻がぐずぐずする」

「喘息が出た」

「足が重い」

「口の中が痛い」

といった、別の相談が増えていきました。

これは、単純に症状が増えたという意味だけではないと思います。

私はむしろ、

「ここなら身体のことを相談していい」

と思ってもらえる場所になっていったのではないかと考えています。

 

首の治療だけをする治療院から、

身体のことをまとめて相談できる場所へ。

Cさんとの関係が、少しずつ変わっていったのではないでしょうか。

 

その日の身体に合わせて、治療を変える

実際、一時期には風邪の後に呼吸が苦しくなり、喘息のような症状が出たこともありました。

その時は、首の治療をそのまま続けるのではなく、呼吸器の状態に合わせて治療内容を変更しました。

次回来院した時、Cさんはこう言いました。

「胸の苦しさは、全部なくなりました。喉とか耳のチクチクもないです。」

「よかったですね。今日は首よりも、今いちばん気になるところを見ていきましょう。」

 

このように、その日の身体の状態に合わせて、治療の優先順位を変えていきました。

 

 皮膚の問題

 鼻炎

 呼吸

 むくみ

 口腔粘膜

 首や肩

 

一つの病名だけを追い続けるのではなく、その時々の身体全体を見ていく。

そこにも、てあーて治療院の特徴があります。

 

久喜市から通ってくださるCさんは、近所から来ている患者さんではありません。

現在は、久喜市から時間をかけて来院されています。同じ埼玉県とはいえ、決して近い距離ではありません。

毎回、車で来るだけでも時間がかかります。

道路が混んで予約時間に遅れないよう、早めに出発してくださっています。

普通に考えれば、自宅の近くにも整形外科や接骨院、整体、鍼灸院はあるでしょう。

それでも、なぜここまで来てくれるのでしょうか。

私は、理由は一つではないと思っています。

 

ある日の治療後、Cさんは首の周囲を触りながら言いました。

「先生、さっきまでここがカチカチだったのに、全然違う」

別の日には、「肩がすごく軽い」

また別の日には、「久喜から来た甲斐があった」と言ってくださいました。

 

このように、「自分の身体がその場で変わった」という体験は、大きな意味を持つと思います。

そして、もう一つあります。

 

「どうしてここに鍼をするんですか?」

Cさんは、鍼についていろいろな質問をします。

どうして手に鍼をすると、首が変わるのか。

どうして足に鍼をすると、肩がゆるむのか。

なぜ鍼をすると、身体が暖かくなるのか。

尿が増えることがあるのはなぜか。

 

私は、できる限り説明します。

もちろん、すべてを一つの理論だけで断定することはできません。

整動鍼における身体の連動という考え方。

東洋医学の経絡という考え方。

筋肉や関節の動き。

血流。

自律神経。

痛みを感じる神経系。

さまざまな角度から身体を見ていきます。

「痛いところに鍼を刺したから、痛みが消えた」という単純な話だけではありません。

身体の別の場所に刺激を加えることで、筋肉の緊張や身体の動かし方が変わったり、痛みの感じ方が変化したりすることがあります。

だから私は、

「ここが首のツボです」

と説明して終わるのではなく、

「一度、首を動かしてみてください」

と確認します。

患者さん自身に、身体の変化を感じてもらうためです。

 

「あれ!? 違う!」という体験

Cさんも、次第に鍼への信頼を深めていきました。

「周りの人に鍼の話をすると、怪しいと言われるんですよ」

そう言って笑ったこともあります。

それでもCさんは、自分の身体で変化を感じています。

私は、これがとても重要だと思います。

治療者が、「効いていますよ」と言うのではなく、患者さん自身が、「あれ!? 違う!」と気づく。

そこから信頼が生まれていきます。

その後、治療間隔は週1回から2週間に1回、数週間に1回へ、、と伸びていきました。

これは、治療から離れたということではありません。

むしろ、状態が安定してきたからこそ、治療間隔を伸ばせるようになったということです。

 

そして、2026年8月―久しぶりの来院

やがて、一度長い空白期間ができました。

そして2026年8月、Cさんは再び来院しました。

ただし、以前とは主訴が変わっていました。

前年に治療していた頸椎症や手のしびれは、すでに大きな問題ではなくなっていました。

今回困っていたのは、

左の坐骨神経痛と右膝の違和感

でした。

 

これは、とても象徴的なことだと思います。

もしCさんの中で、

「ここは首の治療をする場所」

という認識だけだったなら、坐骨神経痛や膝の症状が出た時に、久喜からわざわざ来る必要はありません。

近所の整形外科へ行くこともできます。

近所の接骨院や鍼灸院を選ぶこともできます。

それでも、Cさんは再び来院されました。

 

「また何か身体に困ったら、あそこへ行こう」

ここからは推測になりますが、

以前、自分の身体が変化した経験があったこと、薬に頼りにくい身体でも、治療を受けられたこと、症状だけでなく、全身を見てもらえたこと、毎回、きちんと話を聞いてもらえたこと。

自分の生活や家族のことまで知っている治療者であること。

そして、

「また何か身体に困ったら、あそこへ行ってみよう」という記憶が残っていたのではないかと思います。

 

「お久しぶりですね。首はどうですか?」

「おかげさまで、首と手は大丈夫なんです。今度はこっちなの。左のお尻から脚と、右の膝が気になって。」

「なるほど。では今回は、今の身体を一から見直してみましょう。」

治療後、Cさんは、「身体がすごく軽い」と話しました。

1年近く間が空いていても、再び治療を受けに来てくれた。

これは、治療院にとって非常に大きな意味があります。

 

「ずっと通い続けてもらう」だけが、良い治療院ではない

良い治療院とは、ずっと毎週、患者さんを通わせ続ける場所だけではないと思います。

一度良くなって、治療から離れてもいい。

そして、何年か経って別の問題が起きた時に、

「そうだ、あそこに相談してみよう」

と思い出してもらえる。

私は、そういう治療院がいいなと思っています。

 

Cさんが久喜市から来てくれる理由

Cさんが久喜市から来てくれる理由は、鍼の技術だけではないでしょう。

話を聞いてもらえる。

身体の変化を一緒に確認してもらえる。

症状について説明してもらえる。

自分の過去の経過を覚えていてもらえる。

首が良くなれば、今困っているところをみてもらえる。

そして治療中には、沖縄の話も、青森の雪の話も、旦那さんの話も、娘さんやお孫さんの話も、お菓子の話もできる。

治療院に来ている時間そのものが、

【自分の身体と生活を少し整える時間】

になっているのかもしれません。

 

鍼灸院の価値は、鍼を刺す技術だけではない

Cさんとの経過を振り返って、私は改めてこう感じます。

鍼灸院の価値は、鍼を刺す技術だけではない。

 鍼をする。

 身体を観察する。

 患者さんの話を聞く。

 前回との違いを覚えている。

 なぜ変化したのかを、一緒に考える。

 患者さん自身に、身体の変化を感じてもらう。

 

そして、また次に困った時に思い出してもらう。

その積み重ねそのものが、治療院への信頼になるのだと思います。

 

 

                                     #てあーて鍼灸院

 

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2025-08-17 22:11:00

鍼灸師と整体師の違い

【知識と経験の差が生む安心感】

 

日々の疲れや体の不調を改善するために、「どこで施術を受けるか」を選ぶことは、とても大切です。  

一見すると同じように見える「鍼灸師」と「整体師」ですが、その背景には大きな違いがあります。

 

1. 国家資格かどうか

鍼灸師は国家資格を持つ医療従事者です。  

資格を取得するには、3年以上の専門教育を受け、解剖学・生理学・病理学などの基礎医学、さらに臨床実習を含む幅広いカリキュラムを修了し、国家試験に合格しなければなりません。  

この過程で、人体の構造や機能、病気のメカニズム、禁忌やリスク管理までしっかりと学びます。

 

一方、整体師は民間資格や無資格の場合も多く、教育内容や期間はさまざまです。短期間の講座のみで開業できる場合もあり、法的な資格制度は存在しません。

 

2. 安全性とリスク管理

鍼灸師は基礎医学と臨床経験に基づき、病気の見極めや施術の適否判断を行えます。  

たとえば「この症状は施術ではなく病院での検査が必要」という判断も、医学的な知識があってこそ可能です。  

これは、安全に施術を受けていただくうえで非常に重要なポイントです。

 

整体師は経験に基づいて体を整える技術を持つ方も多いですが、病気の診断や医療的判断はできません。

 

 3. アプローチの幅

鍼灸師は鍼やお灸を用いた治療のほか、生活習慣の改善アドバイス、東洋医学的な体質診断、西洋医学の知見を組み合わせた総合的なケアが可能です。  

これは長期間にわたって学んだ基礎医学+東洋医学の両輪があるからこそできることです。

 

整体師は主に手技での骨格や筋肉の調整を行いますが、鍼灸のように体の深部や経絡への直接的なアプローチは行えません。

 

【まとめ】

どちらが良い悪いではなく、どのような知識と経験に基づいた施術なのかを知ったうえで選ぶことが大切です。  

特に持病がある方や、安心して長く体を任せたい方には、国家資格を持ち、幅広い医学的知識と臨床経験を備えた鍼灸師の施術をおすすめします。

 

当院では、解剖学・生理学・病理学をはじめとした基礎医学から臨床経験までをしっかりと積み、患者さまの安全と効果を第一に考えた施術を行っています。  

「安心できる施術」をお探しの方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

 

2025-03-03 20:33:00

喘息との闘いと、鍼灸の奇跡〜私自身の体験から伝えたいこと〜

高校2年生の頃、私は喘息に苦しむ日々を送っていました。夜中に咳が止まらず、眠れぬまま朝を迎えることもしばしば。体力は削られ、日常生活すらままならない。そんな絶望の中、20代になるとさらに試練が待っていました。

 

パン屋で働いていた頃、粉アレルギーと思われる症状に悩まされ、呼吸が苦しくなり、何度も救急病院へ駆け込む日々。注射を打てば一時的に楽になりますが、それは根本的な解決にはなりませんでした。

 

そんな中、鍼灸との出会いが私の人生を大きく変えました。鍼灸の学校に通い始めた頃、喘息は多少落ち着いたものの、季節の変わり目には発作が必ず訪れました。しかし、学びを深める中で、東洋医学がアレルギーや喘息に効果を発揮する可能性があることを知りました。そこで、自らの病を克服するため、喘息のメカニズムや治療法を必死に研究し続けました。

それでも症状は思うように改善せず、東京で修行をすることになった私。ある時、東京のクリニックで、「このままでは命に関わる」と宣告されたことをきっかけに、私は本気で治療に向き合うことを決意。自らの体で実験しながら、最適な治療法を模索し続けました。

【八丁堀での衝撃の体験】

ある日、八丁堀にある中国で修行した先生の鍼灸院を訪れ、治療をうけました。その時も息苦しさが酷く、発作が起こりかけていました。診察を受けると、先生は黙々と鍼を打ち始めました。どのツボに刺しているのか、自分でも気になって仕方がありません。30分ほど経つと、驚くほど呼吸が楽になったのです。その瞬間、私は東洋医学の持つ圧倒的な可能性を実感しました。

そこからさらに鍼灸の研究を重ね、試行錯誤を繰り返しました。

 

【そして、喘息からの解放】

現在、私はほとんど喘息の発作に悩まされることがなくなりました。それどころか、私の鍼灸院に通う患者さんたちも、五十肩の治療を受けに来たはずなのに、「夜中の咳がなくなった」、「呼吸が楽になった」と驚かれるのです。彼らの多くは、最初は喘息があることすら話しません。しかし、施術を重ねるうちに、思いがけず症状が改善していることに気づくのです。

このような変化を目の当たりにすると、鍼灸にはまだまだ広く知られていない力があると確信します。西洋医学では、「喘息にはこの薬」、「腰痛には痛み止め」と、症状ごとに対処しますが、東洋医学は体全体のバランスを整え、副次的な効果をもたらすのです。

 

【鍼灸の持つ可能性を伝えたい】

喘息の苦しさを知るからこそ、私はこの治療法の素晴らしさを広めたい。夜中の咳で眠れず、仕事や日常生活にも支障をきたし、会話すら億劫になってしまう…。そんな辛い思いをしている人が、鍼灸によって救われるかもしれない。

私自身、長年の経験を通して、鍼灸がいかに体の調子を根本から整えるのかを実感しました。この力をもっと多くの人に知ってもらい、薬に頼るだけではなく、自分の体を本来の状態に戻す選択肢があることを伝えたいのです。

 

【喘息に限らず、慢性的な不調に悩む方へ】

もしかすると、あなたの体が本当に求めているのは、東洋医学の視点からのアプローチかもしれません。

 

私は、鍼灸師として、そして喘息を克服した一人の人間として、その可能性を信じ、皆さんに伝え続けていきたいと思います。

 

同じように喘息で苦しむ方に届きますように。

 

てあーて鍼灸院 院長 能登谷