[ 出店者 特集ページ ]
株式会社kinoiro
【つくり手ヒストリー】
株式会社kinoiroは、2016年に福本ミカさんが一人で立ち上げたaspen groveを昨年法人化して誕生した会社です。8年間ずっと変わらずに抱く理念は、「木材をとことん有効活用したものづくり」。他事業者からの端材や神奈川県産の間伐材、本来は捨てられるはずだった家具や雑木に新たないのちを吹き込む木製品を生み出しています。
kinoiroでは、木を切ったり磨いたりして出た木くずさえも、無駄にすることはありません。「横浜の農園で、飼料や肥料として役立ててもらっています。自社から、極力ゴミとして燃やされるものが出ないように」と福本さんは話します。取材時、ちょっと変わった継ぎ目のような模様の入ったフォトフレームを見せてもらいました。それは、ホテルの客室で使われていたイスを分解し、製材して製品にしたもの。模様に見えたのは、イスを組んだ時の繋ぎ目に強度を持たせるための、「ほぞ」と呼ばれる部分が偶然表に出てきた部分でした。元の役目を終えても新たな姿を与えれば、命は循環していくー。持続可能なものづくりに取り組む福本さんの信念が垣間見えました。
社名をあしらったお揃いのユニフォームに身を包むkinoiroの皆さん(中央が福本ミカさん)
【こだわり】
現在、工場の裏手にある平屋をDIY中の福本さん。工場と平屋の間に、どんと積まれた丸太がありました。
kinoiroが生み出す木製品は、主に小田原市の薗部産業株式会社から提供される、お椀の端材。出番待ちの材料ケースには、八角形や円などをくり抜いたあとの変わった形の木片が、ぎゅぎゅっと詰まっています。このほかに、造園業者からもらい受けた伐採木などが、さきほどの丸太の状態で商品化の時を待っています。
「早く使わなきゃ」と思いつつ、平日は商品製造、週末はワークショップと多忙の毎日。木を「知る・触れる・感じる」体験の場を提供したい、という思いから、福本さんは創業以来、ワークショップの開催に力を入れてきました。香りやぬくもりなど、五感を使って初めて得られる木との触れ合いの場は、老若男女問わずに人気があります。お客さま自身が木材に自分の手で描いたり、切ったり、レーザーを彫ったりして一つのものを完成させた時の反響が、頭の中でひしめきあうさまざまな企画・計画を実現する原動力となっているようです。
湯河原のみかん農家が使っていたという収納用の木箱に、ぎっしりとつまった「出番待ち」の端材たち
【手にとってもらいたいもの】
おもちゃコンサルタントや木育インストラクターの資格を持つ福本さんが今回用意しているのは、レーザーを使った「ネームタグづくり」のワークショップ。紙に描いたイラストを小型のレーザー彫刻機で木に彫るというもので、自分だけの木のネームタグが、約15分で完成します。
ほかにも「細かいもの」製作担当の豊原典子さんの手による、レジンをあしらったミラーやカッティングボードなど、木製品の販売もあります。湘南育ちの豊原さんが作る、海を想起させる爽やかな色合いのレジン×木の商品は、おだわら木工団地フェスInstagramの出店者紹介でご覧ください!
お椀の端材を使ったネームタグ作りで、木に触れる・木を身近に持つ体験を
尾山製材
主力の木製品・木材販売のほかに、2010年からは「人と自然に優しい」をコンセプトとして木工用みつろうクリームの製造販売をスタート。2013年には、デザイナーの山崎義樹氏とともに、虫喰い跡のあるナラ材を使った「RetRe(リツリ)」ブランドを立ち上げました。穴の開いた虫喰い材は使い物にならない、と捨ててしまうのではなく、虫喰いがあるからこそ面白い木の表情が生まれる、と逆転の発送のものづくりに取り組んでいます。
2010年に誕生した「木工用みつろうクリーム」は、嘉彦さんのこだわりが詰まった商品です。こちらは「材木屋(素材屋)として材木への愛情が強すぎて、生まれた商品」で、木のプロに限らず木製品のメンテナンスをする習慣を持ってもらえたら、と願って開発したそうです。
以前からあった蜜蝋ワックスは、油臭さと伸びの悪さが難点でした。この2点の改善に努めた結果、使い心地の良さに一般客も含めてファンができたと言います。10年ほど前からSNS等での情報発信をしてきましたが、発売当初から特に広報活動に力を入れずとも販路が広がっていった、不思議な商品だとか。
物販に加え、木製品のメンテナンスや、作り手や一般客からの木材の相談事にも対応しています。
ガチャガチャのカプセルの中には、箸置きになるサイズの国産広葉樹(虫喰いナラ、ヤマザクラ、カエデ)の材と木工用みつろうクリーム10g、さらに磨き用の布と説明書のセットが入っています。
滅多に会うことのできない富山の職人さんです。ぜひブースにお立ち寄りください。
武周木工
【つくり手ヒストリー】
小田原駅から東に1キロちょっと。
鮮やかな黄緑の地にモノトーンで抜かれた社名が浮かぶ、武周木工の社屋があります。
当代社長の府川寛さん(43)が5年ほど前に父からバトンを受け取るよりもはるかに前、太平洋戦争へ出兵した祖父が興した府川玩具製作所を含めると、長い歴史を持つ木工の会社です。
屋号の由来が素敵でした。
祖父の名前は「武雄」さん。腕を振るってくれる職人さんや取引先など、周囲の人に支えられて生業を続けていけると常々口にしていた武雄さんは、自身の名からとった一字に感謝の念を添えて「武周木工」の屋号を掲げました。
2代目の父の背中を見て育った寛さん。「父からは継げ、とも言われなかったし、継ぐ気もなかった」そうで、生まれついてのいきもの好きから大学は水産学部に進学。岩手で学生時代を過ごしました。
就職先の鮮魚小売専門店でのサラリーマン生活に馴染んだ3年目、父を支えてくれていた従業員の退職が決まり、寛さんは家業に入ることを決めました。「自分がこの道を選んだことで、祖父に世話になった人たちが喜んでくれたことがうれしかった」。見渡せば、業界内では後継者不足や需要の減少で、廃業する店が続々と出てきた頃。昨今では一つの商品を完成させるのに必要な部品が手に入りにくくなったり、時代の変化を肌で感じているそうです。
10年ほど前に建て替えた工場は、一見木工品の製造会社とは思えないようなシックな外観
【こだわり】
「最後のひと手間は人に任せず、自分でやります」ー。寛さんが大切にしているのは「磨き」の作業。機械と自らの手を使い、商品を美しく仕上げます。取材中、目の前にあった木曽ヒノキ製の鏡餅は、永遠に撫でていられるほど滑らかな手触り。木の良さを存分に引き出すのも、職人の腕の見せ所です。
ものづくりの面で気になる存在は、自身の趣味でもある釣りに欠かせないルアーのメーカー。90年近い歴史を持つフィンランドのラパラ社が作るバルサ(木製ルアー)に注目しているそうです。理由は、商品の価格と生産システム。浮力や加工のしやすさに優れる一方、生きた素材という特質を考えると、木は本来なら量産には向かない素材のはず。安定した品質、しかも低価格で生産を続けるシステムに「いつかは自分も取り組んでみたい」と意欲を燃やします。
高校生と中学生、二人の息子を持つ寛さん。「いつか子どもがやりたい!と思った時に、やめた方がいいよと止めるような状況でないように」。顧客から求められる仕事に応えながら、日々機械の前に立っています。

口調は淡々としつつも、話題は豊富。ペットの名前やら趣味の釣りやら、気づけば2時間近くも居座ってしまった
【手にとってもらいたいもの】
柔らかな手触りのヒノキのお餅にケヤキのみかんがちょこんと乗った木製の鏡餅は、寛さんが生み出したヒット商品です。
今回のフェスには、味わいのある木目のため正規価格より求めやすいB品の鏡餅のほか、DIY愛好者に人気のヒノキの丸板などが並びます。
少し脱線するようですが、B品ってなに? という疑問が頭に浮かびました。流れるような木目の途中に、節がポツポツと散ったら。白太の木肌に、わずかに濃い目の年輪が入ったら。
整ったものが正規品で、すこしの乱れでも規格外品になってしまうのは、作り手として思うところがあるのでは、というのは考えすぎでしょうか。
写真左のヒノキの丸板は、詰め放題で提供すると毎回人気の品。アイディア次第でいろいろなものが生まれそうです。
看板商品の鏡餅(右上)はもちろん、ヤマメマグネットも密かな人気を呼んでいます
→ 武周木工公式インスタグラム ←
→ 武周木工公式ホームページ ←
有限会社戸谷木工所
【つくり手ヒストリー】
昨年2023年に創業100年を迎えた有限会社戸谷木工所。3代目で社長の光成さん(65)と息子の洋俊さん(33)が揃ってお話を聞かせてくださいました。
木工職人ひと筋、幼い頃から工場で仕事に打ち込む父の背中を見て育った洋俊さん。木との触れ合いの思い出に、「子どもが作るにしては完成度の高い、仕掛け付きの貯金箱」を作った夏休みの工作を挙げてくれました。光成さんがこそっと手伝ってくれたゆえの高度な仕上がりだったと、懐かしそうに笑います。
経済学部に進学後、野球(と少々のお酒)に打ち込んだ洋俊さん。「継がなくてもいいよ」という父の言葉を受け、旅行会社に就職します。社会に出て6年後、家業と転職を天秤にかけ、「連綿と続いてきた伝統を途絶えさせるのはもったいない」と自らも木工の道を歩むことを決めました。
デジタルに強い洋俊さんは現在、知識を活かしてレーザーを使った商品づくりに力を入れています。またホームページの更新も、自身でまめに行っているとか。親子で互いの言葉を補い合いながら和やかに進んだ取材中、「しょっちゅう喧嘩します!」という申告でお二人の声が揃いました。仕事の進め方や効率など、意見の違いははっきりと口に出して議論を交わすといいます。「翌日にはケロッとした感じ」だそうで、趣味の登山やお酒を一緒に楽しむという仲の良さがうかがえました。
車いじりと電気工事が趣味の父・光成さん(右)と、自然や温泉が好きな洋俊さん
【つくるものへのこだわり】
木工の道に入り4年目の洋俊さん。「手を抜かないでいいものを作る。インチキをしたって、見れば分かってしまうから」と話す父のもと、毎日木と向き合っています。
座右の銘は「至誠無息」。例えばレーザーのデザイン一つとっても、外注に出せばより複雑な作図が叶う可能性もあるところ、自らの手で望むようなデザインに到達するための研究を惜しみません。
また日々使う道具の手入れも大事にしているこだわり。工場の横に据えた研磨機で機械の刃をひんぱんに研いで切れ味を保つのは、0.1ミリまで及ぶ正確性を求めるからこそ。
出来ることが日々増えていく楽しさを噛みしめつつ、「来る仕事はなんでもやってみたい。オールラウンダーな職人になりたいです」と、洋俊さんは今後の抱負を語ります。
185㎝の長身を少し屈めるように行う、サンダーでのペーパーあて作業。腰痛が悩みの種
【手にとってもらいたいもの】
木工団地フェスティバルには初めての出店となる戸谷木工所。得意とするレーザー加工を施したスマホスタンドは、さまざまな柄の中からお気に入りを見つけるのが楽しい商品です。
普段はOEM商品(自社の名前を出さずに作った、他社ブランドの商品)として流通している判子ケース(写真中央下)やライトカバーも並ぶほか、いくつもの模様がひしめきあう、正統派寄木細工のごみ箱も出品します。こちらは洋俊さんの祖父が何十年も前に作った貴重品。
若手木工家が集まる販売会に出た時の経験から、洋俊さんは「お客さまと対面できる機会と、そういった場で商品が売れるうれしさは格別です」とフェスへの期待を話します。
掘り出し物さがしとともに、ぜひ作り手との会話も楽しんでください。
和柄から愛らしく動物がデザインされたものまで、種類豊富なスマホスタンド(中央上)は人気の商品
→ 戸谷木工所公式Instagram ←
→ 戸谷木工所公式ホームページ ←
乾木工
【つくり手ヒストリー】
木工団地フェスティバルへは10回近く出店している乾木工・乾靖史さん(43)。横浜生まれの厚木育ち、青森の大学で植物生態学を学び、測量士補や種苗会社に就職する学友たちと道を分かって、乾さんが興味を持ったのはものづくりの世界でした。社会人経験を経て、独立を前提とした木工メーカーに就職。ろくろを使った木材の加工や塗装、製品開発などに携わり、2013年に乾木工を立ち上げます。
手のひらに収まる「にくきゅうキーホルダー」は、〝作りたいもの〟とお客さまの購買意欲が合致した看板商品。日常的に浮かんでくるアイディアを2・3回の試作で形にし、現在自社製品は50種類を数えます。にくきゅうホルダーのようにすんなりと受け入れられるものもあれば、「自分では良いかなと思ったけれど、実際には売れなかったものもある。それがまた楽しいです」と、毎日淡々と機械に向き合っている様子が伝わります。
趣味は、アトリエに通ったこともある絵画と、マンガ。一番好きな作品として挙げてくれた『寄生獣』の答えに、ちょっと意外な印象を受けました。気になる方はぜひ、検索してみてください。
廃業する職人から譲り受けた工房が自分の城。「もう少し拡張したい」と夢を抱く
【作るものへのこだわり】
ものづくりの原体験を振り返ると、「夏休みの自由研究で作ったアイディア貯金箱。賞をもらって展示されたことが、とてもうれしかったです」と笑みを浮かべる乾さん。いまはお客さまが喜ぶ顔を思い浮かべて機械の前に立つ日々ですが、仕事中、密かに行っていることがあるそうです。それは作業効率の改善を目的とした「ひとりタイムトライアル」。
例えば同じパーツを500個作る場合、少しずつ手順や動線を変えてタイムを測り、効率を検証するというもの。地道な作業の中にも楽しみを見つけるのが上手な横顔が垣間見えました。
ちなみに、どんな質問に対しても一語ずつ言葉を選び丁寧に答えてくれる乾さんの座右の銘は、「塞翁が馬」だそうです(なんとなく納得)。
すぐ裏を御殿場線が走る工房。夏はゴーヤのグリーンカーテンで涼のスペースができる
【手にとってもらいたいもの】
乾さんが手がける商品は土産物店などでの販売のほか、ネットショップでの購入も可能です。実は、木工団地フェエスティバルのように、お客さまと対面し、生の声が聞けるイベントは貴重な場なのだとか。
「フェスでは、買い求めやすいアウトレット品を並べる予定です」と乾さん。当日の販売品の撮影を所望したところ、箱からコロコロと転がり出てきた小さな動物たちに、思わず目を奪われました。マグネットやキーホルダー、動物こけしなどになる予定だったけれど、ほんの少しの傷や木目の出方などに難があったものですが、どれも可愛らしい一点ものです。こうしてずらっと並べると壮観ですね。
お気に入りのアイテムがあったら、迷わずお手にとって迎えてあげてください。
てのひらサイズのキーホルダーやマグネットは見ているだけでにんまり













