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堀内ウッドクラフト
【つくり手ヒストリー】
「もともと手先は器用な方じゃないんです」。長身にさらっとジーンズを履きこなした堀内良一さん(61)は笑いながら言います。
「毎日通勤生活のサラリーマンは向いていない」と、木工パーツ製作の職人だった父の後を追うように仕事を始めた20代。木地師について学び、やがて父と二人、晴れた日には富士山を臨む大井町に工房を構えました。
独立当初は「この先、何をしていったらいいのかも分からずに、とにかくオリジナルを作らなきゃ」という思いに駆られていたという堀内さん。器用ではない、という自己評価ながら「好きこそものの上手なれ」の精神で、来る依頼は拒まず「どんな仕事にもしがみついて」前進を続け、気づけば40年近くが経ちました。
工房内にはろくろに旋盤、丸鋸盤など、道具とパーツが所狭しと配置されている
【作るものへのこだわり】
「FSC®︎認証木材」をご存知でしょうか。適切に管理された森林で生産された木材をさす言葉で、堀内さんは日本でこの制度が始まって初期の頃に加工流通の認証を取得し、認証木製品を作りはじめました。「間伐材や地元材の使用は森林保全や地球温暖化防止に貢献できる」という信念のもと、この材を使って作った木製玩具「ぷれぱらウッド」で、2019年のウッドデザインにおいて林野庁長官賞を受賞しています。
「ぷれぱらウッド」は、検査や治療の内容を患者さんに伝える際に用いられる医療玩具。子どもや親の恐怖心を少しでも和らげ、理解を深められるように心を砕いて製作したと言います。歯形や車椅子など目に親しみのあるモチーフから、血管撮影装置や手術セットといった細かなパーツが複数詰め込まれた精緻なものまで、木のあたたかみが大きな癒しを与えてくれます。
「三方よしではないけれど、子ども、親御さん、医療従事者が喜んでくれる物ができたのが、なによりうれしい」と顔をほころばせる堀内さん。人に喜んでもらうのが好き、という気持ちがものづくりの根底に流れています。
ことし8月の木材イベントでは、FSC材の認証取得者としてブースを出展
【手にとってもらいたいもの】
地元産木材の利用促進に取組む小田原市で、新生児に贈られる誕生祝い品があります。この「ひのきかたかた」と「かまぼこくるま」の製作者が堀内さん。市内産の間伐材ヒノキを使った木製玩具が、今回の木工団地フェスティバルにも並びます。
ナラ枯れ材を使った一輪挿しは、おなじ模様が二つとありません。木目や節の有無で印象が変わるおもしろさを楽しみながら、お気に入りを探してみてください。
好きな材は、「色と香りがよいサクラ」。お嬢さんの名前にもなっている
まつもと木工所
【つくり手ヒストリー】
18回目の木工団地フェスティバルに初めて出店する松本育さん(まつもと木工所・32)は、大阪府枚方市の出身です。
編み物が好きで、幼少期から「漠然と、手に職をつけたいな」と考えていた松本さん。作り手と対面して作品を購入できる「手づくり市」などによく足を運んでいたそうです。
「ゼロから作るより、素材と触れ合い、格闘したい」と、高校卒業後に京都伝統工芸大学校で木工を専攻。卒業と同時に小田原の土屋木工所に就職し、移住しました。
生まれ育った土地を離れての生活と初めて飛び込む職人の世界は、驚きや苦労の連続だったと言います。祖父ほども年の離れた親方をはじめ、先輩方からも技術を学ぶ毎日。使ったことのない機械の操作に奮闘し、さまざまな木に触れながら経験を積みました。
2021年、6年務めた会社の閉業を経て独立開業した松本さん。現在は、土屋木工所に勤めていた時の先輩と共同の工房で、オリジナル商品の製作や外注の仕事に励んでいます。
工房に流れるのはFMヨコハマ、家での内職のお供は「オールナイトニッポン」が定番
【作るものへのこだわり】
寄木を取り入れたアクセサリーや小物を得意とする松本さんが扱う木は、およそ15種類。
産地によって異なる木の特徴や一つひとつ違う木目など、個性ゆたかな木と向き合う毎日の中で、浮かんでくるアイディアやデザインをノートに書き溜めています。「〝手にとってもらえるもの〟と〝自分が作りたいもの〟をどこまで近づけられるか、探りながら進んでいます」と松本さんは話します。
丁寧で質の良い仕事は、ものづくりの大前提。それを当たり前のこととしてやっている人が周りにたくさんいるからこそ、「自分が美しいと思ったものを妥協せずに作りたい」。いま目の前にある商品がベストなのか、自分に問うこともしばしばです。面の中の模様の配置を5ミリ変えるだけで表情ががらっと変わるおもしろさを知るがゆえ、貪欲に「ベスト」を探し続ける姿勢に、静かな情熱を感じました。
木工団地フェスの直前には、地元・関西で初のギャラリー展示が控えています。「専門学校時代からの既知の二人との展示がうれしい。開催地の京都の方は寄木に馴染みがないと思うので反応が少し不安ですが、楽しみです」と語ってくれました。
晴れた日には江の島や三浦半島がくっきりと見える工房からの眺めは、疲れた時の癒し
【手にとってもらいたいもの】
木工団地フェスでは、ピアスやイヤリングといったアクセサリーにヘアゴム、ペン立てやコースターなどの小物がたくさん並びます。
手のひらにちょこんと乗るアクセサリーはなんとも言葉に表しがたいかわいらしさに溢れていて、例えば下の写真の上部中央のピアス(商品名/ながしかくピアス)は、6つのキューブを接着したもの。一つが4ミリのキューブはどれも面取り(角を削った状態のこと)が施され、細やかな手しごとが随所に見てとれます。
またヘアゴムは、伸びてしまった時にゴムを簡単に取り替えられるよう、寄木に固定した金具に通してあります。こうした、使う人の目線に立った心配りも、松本さんの商品の魅力です。
コースター(左下)は、中央の正三角形の空間が、濡れた器の張り付きを軽減する機能性を持つ
小田原市森林組合
【ヒストリー】
市域面積の約4割の土地に豊かな森林が広がる小田原市を中心に、箱根・湯河原・真鶴の足柄下郡3町を含めた山と街が、小田原市森林組合の皆さんの〝仕事場〟です。
500人超の組合員と3社の協力会社、事務職と作業班を合わせて12人の職員で構成される同組合の主な業務は、木々に日光を当て森林を健全に維持するための間伐や木材の搬出、雑草木を除去する下刈り、街なかの支障木の伐採など。ほかに、子どもたちに森の魅力を伝える「木育」や、木材の加工・販売も行っています。
お話を聞いた職員の城所幸祐さん(25)は、幼少期から抱いていた樹木への親しみが高じてこの仕事に就いたとか。「本来であれば組合員さんご自身で行う森林整備を、高齢や林業の衰退を理由にお任せいただいたり、森の未来を考えたりすることにとてもやりがいを感じます」と話す城所さん。皆伐(かいばつ・対象となる範囲の、すべての林木を伐採すること)をした場所から相模湾を望むのが至福の時だそうです。
「いま私たちの目の前に広がるのは、人の手で植えて育てた人工林。だから人の手で管理することが必要です。先人たちが大切に繋いできてくれた森林という財産は、手入れを怠ると荒れてしまう。森に触れる機会が少ない人へ、森のことを分かりやすく伝えていけたら」と今後の抱負を語ってくれました。
【木工団地フェスに向けて】
昨今、木を使った設えの店舗や公共施設が、街なかに増えています。木の質感や香りに、安らぎを感じる人も多いのではないでしょうか。けれど、木を生業にする人や木そのものに触れる機会というのは、意外と少ないもの。「だからこそ木工団地フェスティバルのように、木や木製品に興味を持ってくださる方が多く来場するイベントは、木の良さを知ってもらうチャンスなのです」と城所さんは話します。
倉庫でホコリまみれだった木材を鉋がけした際、いきなり現れた美しい木目を見たときの感動が鮮明に記憶に残っているそうで、今回のフェスでは、そんなビフォーアフターを実際にお客さまに見てもらえたらと、楽しい展示を企画しています。
【手にとってもらいたいもの】
イチ推しは、欅(けやき)や樫(かし)などの広葉樹から、檜(ひのき)や杉(すぎ)などの針葉樹まで、さまざまな樹種の板材です。
大きな板だと長さ2メートル、厚みが3〜4センチほどあるものも! DIYが好きな方には、たまらないラインナップです。
板材の魅力はなんといっても、1枚ずつが異なる表情を持っている、という点。
木目プリントのシートとはまったく違う表情豊かな板材から、お気に入りの1枚を見つけてみてはいかがでしょうか。
ほかには、天然木のまな板やカッティングボードも並びます。木製のまな板は、ほどよい柔らかさで包丁の当たりがよく、食材を切りやすいのが特徴です。
腕が疲れにくく、包丁の刃こぼれが軽減できるなど、一度使っていただければその良さが実感できるはず(なにより、トントントン、と切る音もいいですよね)。
キャンプ愛好家のための薪もありますので、気軽にブースをのぞいてみてください。
在庫として、長さ4メートルの板材もあり。フェス当日や、下記リンクからお問合せください!









