インフォメーション
相手方が不在者・認知症・死亡・外国人・代表者不明などだったらどうしましょうか?
法的トラブルの内容は何とか解決しそうだが、相手方の事情で手続をどうすればよいのか分からない場合は、取り敢えず訴状や申立書を分かる範囲で記載して裁判所に提出して指示を待ちましょう。でも不安ですよね😅
そこで裁判所での手続がどのように行われるのかのイメージ・トレーニングして不安を払拭しましょう❗
チェックシート(大雑把に手続選択のイメージtrainingを!)
*登記案件の手続進行の最終責任者は誰?
法務局への登記申請 → 申請人
しっかり調査・正確な記載
裁判所への登記手続請求申立て → 裁判所(せっかちな性格)
記載の不備・調査不足を何とか
するのが裁判所の仕事
=補正や調査嘱託で対応
この構図を頭に叩き込んでね!「丸投げ・指示待ち人間」戦略?
*依頼される事案が典型的な事例とは限らない!
様々な異なるニーズに柔軟に対応できる手続選択が求められている?
顧客への説明で専門用語使用は不親切!イメージで伝えられますか?
*逆の立場からの依頼だったらどう対応しますか?
教科書事例じゃない複雑怪奇な顧客ニーズに応えらますか?
専門知識があっても駄目!「使えてなんぼ」の手続選択!
この手続ってどんな場面で利用できるのかという具体的なイメージ!
Ⅰ 抵当権等の抹消事案の登記名義人の様々な人的属性のバリエーショ
ンでの手続選択
1 登記名義人が不在者だったら
① 簡便な処理なら法務局に対する手続
抹消登記は共同申請が原則(不動産登記法60条)。
それができないのなら訴訟手続で解決するというという流れ。
でも同法70条は訴訟をしなくても単独で抹消登記申請ができる2
つの例外を設けている。
その1つが不動産登記法70条3項
簡便だけど要件が厳しい? コンプライアンスの要請!
「登記義務者の所在が知れない」→調査の範囲は住所だけなの?
登記義務者が分かるのなら原則に戻って共同申請して?
登記名義人の代わりになる人がいるのなら原則どおり共同申請?
=共同申請の可能性があるなら駄目というのが登記官の思考回路?
「被担保債権の弁済期から20年経過」
「相当する金銭が供託」
② 訴訟が嫌なら簡易裁判所の公示催告・除権決定
不動産登記法60条の共同申請の原則の例外で訴訟手続をしなくても単独で登記の抹消申請ができる2つ目の例外が、
不動産登記法70条1項、2項です。
登記名義人の所在が不明&権利が消滅しているのが明確なら訴訟手続をしなくても非訟事件として、つまり被告を呼び出して公開法廷で審理した後に裁判官が権利の消滅に基づく抵当権抹消手続をせよという判決をもらうという面倒な?手続を省略して単独で登記抹消手続ができますよというお話です。まあでもどちらが面倒なのかという程度の問題かもしれませんね。
・被担保債権の弁済期から20年という制限はありません。
被担保債権の消滅時効(10年但し商事債権なら5年)
・担保権自体の消滅時効も第三取得者なら可能
・登記された権利の種類の制限はありません(賃借権登記も可)。
・金銭の供託は不要
・法人の所在不明もOK!
・4〜5月の期間が必要(官報公告期間が2か月間必要)
*消滅時効の援用ができないから利用不可という書籍やホームペー
ジの情報は間違っている?=裁判実務をご存知ですか?
知っていますか?「意思表示の公示送達」!
訴訟提起を前提にした公示送達が原則ではありませんよ!
③ 訴訟なら公示送達で処理される可能性が大きい。
「送達すべき場所が知れない場合」の調査は戸籍謄本必要?
2か月程度で終結します。
被告の出席がない訴訟って難しいって思いますか?
登記抹消される権利は担保物権だけではありませんよ。
不在者だから不在者財産管理人を家庭裁判所に申立てした後、不在者財産管理人を被告として訴訟提起するのは間違い?
訴訟提起後に不在者財産管理人が選任されていないということで特別代理人の選任の申請は?
Q 複数の手続があるのになぜ裁判実務では公示送達なのか?
現場はどんな思考回路で手続進行を決めているの?
「吉野家」のキャッチフレーズに酷似しているかも。
「安い&早い&簡単」をモットーにする手続選択思考
学者などの教科書思考と著しく違う?Wy?
ここまでのtrainingで脳疲労していませんか?
でも大丈夫!一通り考えてありきたりの資料を整えて、とっとと
訴状提出を!Wy? そうそう「丸投げ・指示待ち人間」戦略です!
書記官はそれほどヤワじゃないかも?怒られることを極度に怖が
っていませんか?
Q 依頼人が金銭支払をすることを条件に登記抹消をすることを強
く希望した場合の手続選択の有無?
依頼人の様々なニーズに応えられる柔軟思考の必要性。
知っていますか?相手方欠席でも裁判所の決定を獲得する手続
手法?調停&訴訟での合意に代わる決定という手続選択の可否?
Q もっとも登記されて150年程度経過していたら登記名義人が死
亡していると考えられるので公示送達は無理?
じゃあ相続財産管理人?
特別代理人の選任は?
もうついていけないという方は諦めますか? でも大丈夫です!
迷ったら案件を抱え込まずにありきたりの調査をして訴状提出。
裁判所が訴訟進行の最終責任者だから、「…戦略」!」くどい?
2 登記義務者が認知症なら成年後見人が相手になりますが、選任さ
れていない場合は誰を相手にしますか?
(老人福祉施設等に入所者などの事案)
① 成年後見人の選任
・選任手続の申立人の制限あり
・選任したとしても結論に差異がありますか?
② 許可代理人の選任の可能性は?
③ 特別代理人の選任って?
Q 認知症かどうかが分からない場合はどうしましょうか?
関係者に色々聞きまくりますか?この調査は嫌になるし疲れます
よね!じゃあ面倒くさいので断りますか?「…」戦略!
3 法人名義の登記だが本店所在地に法人が存在しないし、登記された
代表者の住所も不明な場合
① 清算人の選任?
② 不動産登記法70条3項
③ 不動産登記法70条1項、2項
④ 訴訟
公示送達っていう方法は?
特別代理人の選任は?
⑤ 依頼人が登記義務者への金銭支払を希望した場合の手続選択
Q 廃寺の登記名義だったらどうしましょうか?
寺の住職はどこにいるのか?
寺の住職は退任したのか?
そもそも寺が存在するのか?
4 外国法人名義の登記だが本店所在地に法人が存在しないし、登記
された代表者の住所も不明な場合
① 共助可能な国の法人→外交ルートを通じての送達
② 共助が不可能な国
中華民国=台湾、朝鮮民主主義共和国=北朝鮮
紛争や戦争状態の国 →公示送達
Q 外国送達って難しそう!私にもできますかという不安は?
その手続って誰が責任を持ちますか?
Q 費用負担が心配なので事案を受けないようにしていますけど。
国庫負担ってご存知ですか?
5 その他の色んなバリエーションの名義だった場合には?
Q 氏子名義だったら
Q 共有者名義だったら
住宅団地の共有地は多数の共有者が存在しているし、古い団地だと上記の全ての要素が混在する事案になりますけど。
認可地縁団体名義への困難な道程!
Q 入会地の名義だったら
もう頭が痛くなりましたか?せっかちな裁判所が相手なら最終兵器?
を皆さんは獲得されていますよね。そうそう例の「…」戦略です!
「顧客に寄り添って」という言葉は頻繁に耳にしますが実務家がそれ
を具体的に実現するのは言葉や気持ちだけではなく、ましてや「一生
懸命頑張ります!」という体力勝負の仕事でもありません。問われて
いるのは「解決への道筋の具体的なイメージ化」&訴状提出後に書記
官に「怒られても構わないという開き直り=勇気」かも?
裁判を受ける権利行使という錦の御旗のもとで突撃して下さいませ!
Ⅱ 時効取得の事案において対象不動産の登記名義人の人的属性
のバリエーションでの複数手続の存在と選択法(考えても分かな
らなければ簡裁への訴状提出で書記官の指示待ち戦略?)
1 不在者だったら
① 不在者財産管理人の選任
② 特別代理人の選任
③ 公示送達
2 認知症だったら
① 成年後見人の選任
② 許可代理人の専任
③ 特別代理人の選任
3 死亡していて相続人が不明だったら
① 相続財産管理人の選任
② 特別代理人の選任
4 現在は存続していない法人等だったら
① 清算人等の代表者の選任
② 特別代理人の選任
5 法人が解散していたら
① 清算人の選任
② 特別代理人の選任
6 外国法人で日本に支店等がなかったら
→外国送達
① 共助可能な国の法人→外交ルートを通じての送達
② 共助が不可能な国
中華民国=台湾、朝鮮民主主義共和国=北朝鮮
紛争や戦争状態の国 →公示送達
費用負担や手続はどうしましょうか?悩まず「…」戦略!
Ⅲ 登記名義人が依頼人の場合に問題となる案件
登記名義人が登記抹消をしなければならない事情がある場合(財産管理や
財務処理等の事情)にはどのような裁判手続がありますか?
1 債務免除(単独の意思表示=単独行為)
2 調停制度等の利用
相手が出席しないでも調停に代わる決定で終結は可能?
訴訟での付調停で調停に代わる決定は?
3 不動産所有者が認知症だったら?
① 成年後見人の選任
② 許可代理人の選任
③ 特別代理人の選任
④ 訴訟じゃなくて円満な手続選択がありますか?
調停手続は?相手方の出席を必要としない手法は?
一回終結の和解に代わる決定(即決和解)をご存知ですか?
4 不動産所有者の所在が不明だったら?
5 不動産所有者が外国人や外国法人で日本国内に住所や支店がない場合は
どうしましょうか?
依頼された案件など具体的な事案で何度もああでもないこうでもないって妄想して下さいませ。ワンパターンですけど分かったつもりでは実際の案件では思いつきません。ある事案で駄目だったからもう考えないというスタンスは過去の経験に固執した思考回路なのでブーです。何度も何度もチェックシートを利用して思考の反復練習を!覚えようとする姿勢は絶対禁止!バリエーションに富んだ事案や依頼者のニーズにダイレクトに対応する手続選択をイメージできることが何よりも大切です。自分の知っているパターンに事案を引きずり込む思考は主客転倒した危険な手法です。あくまでもニーズを素直に受け入れてそれにふさわしい手続は何だろうかって色々悩んで下さいね。
Ⅳ 根抵当権・抵当権・賃借権登記の抹消事案でtraining
依頼人が不動産所有者側の場合と登記名義人側の場合とでそれぞれア
プローチして下さい。
1 建物 所者 K
2 乙区欄
① 根抵当権 (受付年月日 大正10年10月20日)
原因 :大正10年10月20日設定
元本限度額 :金8,000円
利息 :日歩7銭
損害金 :日歩7銭
根抵当権者 :…市…町… 株式会社 G銀行(現 Y銀行)
共同担保 :建物敷地(…番)、他の土地(…番)
順位 :1番
② 抵当権 (受付年月日 昭和10年10月30日)
原因 :昭和10年10月30日貸借
債権額 :金10,000円
利息 :1年元金100円につき金10円
抵当権者 :…市…区… 台湾の株式会社
共同担保 :建物敷地(…番)
順位 :2番
③ 賃借権 (受付年月日 昭和12年12月20日)
原因 :昭和12年12月20日設定
借賃 :敷地とともに1ヶ月金50円
支払期 :毎月10日
存続期間 :満20年
特約 :譲渡、転貸できる
賃借権者 :…郡…町… 合資会社 S
昭和15年12月20日解散登記
清算人 …郡…町… K・I
順位 :3番
※渉外関係、送達、通常でない相手方に関する書籍一覧
「渉外家事・人事訴訟事件の審理に関する研究」司法研修所編:法曹會
「民事実務講義案Ⅰ(四訂版)」裁判所職員総合研修所監修:司法協会
「民事訴訟送達関係書類の送達実務の研究」同上研修所監修:司法協会
「渉外不動産登記の法律と実務」山北英仁著:日本加除出版株式会
「渉外不動産登記の法律と実務2」山北英仁著:日本加除出版株式会
「渉外不動産取引に関する法律と税金」山北英仁、清水和友著:日本加除出版
「所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利活用のためのガイドライン第2版」尾中哲夫発行:日本加除出版
「新版休眠担保権抹消の実務」林忠治他編集:大学教育出版
「所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利活用のためのガイドライン+事例集Ver.2」(大成出版社)
どうでしたか?
一つの思考のサンプルとして利用して頂ければ有り難いです。
ホームページ上の表示がうまくいっていないんので申し訳ありません。
率直に申し上げると、一つとして全く同じ事案というのはないのかもしれませんね。
しかも問題を抱えた方々の思いも様々ですし解決の仕方の希望も様々です。
さらに被告や相手方の対応も一律ではありませんよね。
そのニーズに応えるには丸暗記型の思考から柔軟な解決思考への転換が求められているのかもしれません。
裁判所の利用法についても「怖がらす?」に提出してみて下さい。
裁判所の対応に疑問があれば質問してみて下さい。
どうしても嫌なら取下げという選択肢もあるのです。
裁判所の柔軟な利用法を検討して頂ければと幸いです。