ユダヤ人の少女のお話です。この少女の両親が、強制収容所に向かう列車の窓から、幼い赤ん坊を、投げるシーンには胸をうたれます。【じぶんは「死」にむかいながら、私を「生」に向かて投げたのです】という文章も胸にくるものがあります。

星新一さんのショートショートの文章は、読み聞かせの時間、約10分くらいで、ちょうど読めるものがたくさんあります。絵本ではないので、絵はないのですが、中学生くらいになれば、頭で想像しながらじっくりと聞いてくれます。話はなかなか次の展開が読めなく、最後に「あっ！そうだったのか！」というお話が多いのが特徴です。「これからの出来事」など、１８の短編が入っています。

今はもう亡き、星野道夫さん文・写真　の絵本です。アラスカのクマを追い求めて写真を撮り続けた星野さんのクマと自然の美しい写真と、その時に書いていたメモの文章（遺稿）を編集したものです。短い１冊の本ですが、本を開くと、このせわしない日本の雑踏から、一瞬にして、アラスカの大草原に降り立って本当に近くでグリズリー（クマ）を見ているような感覚になります。その時の星野さんの意識まで伝わってきます。

本1冊をなかなか読み聞かせることはできないけれど、中学生は、本の中の抜粋した文章でも、自分の部活動などと、重ね合わせながら、聞いてくれます。特に藤枝東高校をめざした頃や高校に入ってからのことなどが書かれている部分の１章を読むと皆一生懸命、耳を傾けてくれます。