お通夜からの心得
お通夜までに
真宗の仏事は必ずご本尊を中心に勤められますので、先ずお内仏(お仏壇)を開いて灯明を点じ、花瓶に樒(しきみ)を挿します。葬儀を勤め還骨するまで(中陰まで)は、樒以外は平常のお荘厳のままで、扉は閉じません。
平生のお内仏 葬儀までのお内仏
納棺までに、ご遺体をきれいに湯灌し、清潔な衣服を着け(いわゆる死装束は用いません)、両手を胸元で合わせ、念珠を掛けてさし上げます。そして、お内仏(ご本尊)の近くにお移しします。
お通夜
ご縁のあった方々が葬儀までの間、安置されたご遺体を見守るのが本旨です。お勤めは、ご本尊に向かい、正信偈・念仏・和讃を唱和します。この勤行次第は、当寺の同朋の会と同じです。正信偈の内容については、本山東本願寺のホームページに詳しい解説がありますので、ご覧ください。
http://www.higashihonganji.or.jp/sermon/shoshinge/
真宗の通夜葬儀は「故人に迷わずに成仏してもらうため」の鎮魂の儀式ではありません。故人は阿弥陀仏の誓いにより、弥陀の浄土に生れ、「すでに仏となられている」のです。従って、故人の霊魂が迷って成仏できない、とは考えません。真宗のお経は、亡き人を縁として、今を迷いつつ生きている私たちを教え導く、釈尊や親鸞聖人のお説法なので、お経の読誦は、仏法を聴聞する、ということになります。
お通夜の勤行には、もう一つ大切な意味があります。この「正信偈・念仏・和讃」の次第は、ご門徒の日々朝夕のお勤めと同じです。故人は今日命終されましたが、通夜勤行には、故人と共に今生最後の夕時勤行をお参りする、という意味もあるのです。
それは「阿弥陀様のいのちをお預かりして、阿弥陀様のいのちに見守られ、一切衆生(生きとし生けるものたち)に支えられ、生きて参りました。釈尊・善知識・聖人のみ教えに導かれ生死の苦海を渡って参りました。感謝申し上げます。皆さまお世話になりました、お礼申し上げます。一足先にお浄土へ帰らせていただきます。有難うございました。」というお参りです。しかし、ご本人は今それが叶わぬので、僧侶が代わりに報恩謝德のお勤めをし、お参りの方々と共にさらに仏法聴聞をいたす、ということなのです。
故人が今生のお別れを阿弥陀様に申し上げ、私どもにも声なき声を残して下さることを、一晩かけて聞き取りたい、これが通夜の本旨だと言うことができます。
勤行に続いて法話がありますので、ご聴聞ください。今を生きる者同士、念仏の教えに「いのち」の行く末を訪ねて参りましょう。
通夜次第
先、総礼(合掌)
次、正信偈
次、念仏和讃 淘三 「弥陀成仏のこのかたは」次第六首
次、回向 願以此功徳
次、総礼
法話
中陰(葬儀から四十九日)中のお内仏
打敷は白、萌黄、茶地、鼠地など用います。これらを特別に用意できない場合は、地方によっては代用として、裏返して白地を掛けることもあります。花瓶は「無色花」と言いますが、青い木花など用い、色花は使いません。上卓には樒を挿します。
中陰の勤行(初七日から四十九日までの七日ごとのお勤め)は、「願生偈(浄土論)」を読誦致します。「願生偈」については、「浄土(正信偈)の七高僧」のページ世親菩薩をご参照ください。
満中陰(四十九日)を目安に納骨されることを、当寺ではお勧めしておりますが、その法要がすみましたら、中陰壇を片付け、お内仏のお荘厳を平常どおりにします。葬儀の時の白木の位牌はお寺に納め、法名軸あるいは過去帳などに法名を記入します。