日記

2026-08-29 23:41:00

映画『平行と垂直』を観て ー支えることと、自分の人生を生きること

 

 

今日は映画「平行と垂直」を観に映画館へ。

 

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自閉スペクトラム症の兄・日向大貴と、

カウンセラーとして働きながら兄を支えてきた妹・希

のきょうだいの物語。

 

幼いころから二人で支え合い、

兄は周囲の手を借りながらも自立した生活を送り、

妹はそんな兄を気にかけながら生きてきた。

 

そんな二人の関係が、

希が恋人からプロポーズを受けたことをきっかけに、

少しずつ動き始める。

 

「これまで通り」だと思っていた生活に、変化の時が訪れる。

それは、兄にとっても、妹にとっても、決して小さな出来事ではないはず。

 

映画を観ながら、

カウンセラーとして、そして一人の人間として、

いろいろなことを考えさせられた。

 

◆「支えること」と「背負うこと」は違う

希は、兄のことを大切に思っている。

だからこそ、これまで兄を支えることが、

自分の人生の一部になっていたのだと思う。

 

家族であれば、「私がやらなければ」と思う場面は少なくない。

 

特に、障害のある家族を支える立場にあるきょうだいは、

幼いころから自然と「支える側」になることがある。

 

でも、

 

支えることと、背負うことは同じではない。

 

私はこのことを、カウンセリングの仕事を通しても感じることがある。

誰かを大切に思うからこそ、その人の問題まで自分が引き受けてしまう。

 

「この人が困らないように」

「私がいなければ」

「私が何とかしなければ」

 

そうやって相手を思う気持ちが、

いつの間にか自分自身の人生を狭めてしまうことがある。

 

けれど、本当の意味で相手を尊重するということは、

何もかも代わりにしてあげることではない。

 

必要なところでは手を貸しながらも、

 「あなたの人生は、あなたのもの」 

と信じること。

 

それは、家族であっても同じなのではないだろうか。 

 

 

◆カウンセラーだからこそ、難しいこと

希自身がカウンセラーであるという設定も、とても興味深く感じた。

  

人の話を聴き、人の心に寄り添う仕事をしている人であっても、

自分の家族のこととなると、必ずしも冷静にはなれないものだ。

 

むしろ、家族だからこそ見えなくなるものがある。

 

 

カウンセリングでは、相手との間に一定の距離がある。

その人の人生を、その人自身のものとして尊重しながら、

一緒に考えていく。

 

 

でも家族の場合は、そこに「これまでの歴史」がある。

幼いころからの記憶。

一緒に乗り越えてきた出来事。

 「私がこの人を守らなくては」という思い。

 

そうしたものが重なっているからこそ、

簡単には「相手の問題」と「自分の問題」を分けられない。

 

 

だからこそ、家族への支援では、

「何をしてあげられるか」だけではなく、

「どこまでが自分の役割なのか」

を考えることも大切なのだと思う。

 

◆きょうだいにも、それぞれの人生がある

この映画を観ていて、特に心に残ったのが、

「兄の人生」と「妹の人生」は、同じではない

ということだった。

 

もちろん、二人は大切な家族。

支え合ってきたからこそ、深い結びつきがある。

でも、家族であっても、それぞれに未来がある。

 

兄には兄の人生があり、

妹には妹の人生がある。

それぞれが自分の人生を歩みながら、

必要なときには支え合う。

 

私は、そんな関係が理想なのではないかと思う。

 

「家族だから一緒に生きなければならない」でもなく、

「自立するためには家族と距離を置かなければならない」でもない。

 

近すぎず、遠すぎず。

 

必要なときには手を差し伸べられるけれど、

お互いの人生を尊重できる距離。

 

 そんな関係をつくっていくことなのかもしれない。

 

 

 

◆ 「平行と垂直」というタイトル

映画を観終わってから、タイトルについても考えてみた。

 

平行線は、どこまでいっても交わらない。

でも、同じ方向を向いて進むことができる。

 

一方、垂直は交わる。

人生の中で、何度も出会い、影響し合う。

家族というのは、もしかすると

「平行」と「垂直」の両方なのかもしれない。

ずっと一緒にいるのではなく、それぞれの道を歩いていく。

 

けれど、人生のある地点で交わり、支え合い、

またそれぞれの道へ戻っていく。

 

そんなことを、この兄妹の姿から感じた。

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◆「その人の人生」を信じる

カウンセラーとして人と関わるとき、

私は「その人を変える」ことはできないと思っている。

 

できるのは、その人が自分自身の気持ちに気づき、

自分の人生について考え、自分なりの選択をしていくためのお手伝い。

 

それは、家族に対しても同じなのかもしれない。

 

心配だからといって、先回りしてすべてを決めてしまうのではなく、

 

「この人なら、自分の人生を歩いていける」 

と信じる。

 

そして、自分自身もまた、

 

「私も私の人生を生きていい」

 と思えること。

 

支える側の人にも、自分自身の人生がある。

 

誰かを大切にすることと、

自分の人生を大切にすることは、

決して反対ではないのだと思う。

 

 

◆ 映画を観終えて

厚労省のページに

映画『平行と垂直』とタイアップ!

と書かれていて「あ、観てみたい!」と思い、すぐに予約して

やっと今日観ることができた。

 

 

「平行と垂直」は、障害や家族をテーマにした映画でありながら、

私にはもっと普遍的な物語にも感じられた。

 

 

家族との距離。

 

誰かを支えるということ。

 

自立とは何か。

 

そして、自分の人生をどう生きていくのか。

 

大切な人がいるからこそ、迷う。

 

大切に思っているからこそ、手放すことが難しい。

 

でも、相手の人生を信じることは、突き放すことではない。

 

そして、自分自身の人生を選ぶことも、

決して誰かを見捨てることではない。

 

そんなことを静かに考えさせられる映画だった。

 

「支える」という言葉の奥には、

 その人が、その人自身の人生を生きられるようにする

という意味もあるのかもしれない。 

 

 

そしてそれは、カウンセラーとして人と関わるときにも、

家族と向き合うときにも、大切にしていきたいことだと思った。

 

それぞれの人生を歩きながら、ときどき交わる。

そんな「平行」と「垂直」の関係を、

私自身も大切にしていきたいと思う。

 

今日も、ありがとう。