日記
最前線の細胞治療(視聴の感想)
今日は、北海道大学病院主宰の
「細胞で治す時代へ~最前線の細胞治療をやさしく解説~」
を視聴しました。
再生医療やCAR-T療法、iPS細胞など、聞いたことがある
言葉ながら、実際にどこまで進んでいるのか、どんな課題が
あるのかを体系的に知る機会はなかなかないので興味津々で
今回申し込んでみました。
今回の講演は、まさに再生医療の現在地を俯瞰できる内容でした。
◆再生医療とは何か
イントロダクション
~我が国の細胞治療・再生医療
加畑馨先生(北海道大学病院)
再生医療とは、病気やけがで失われた体の機能を
「細胞」や「人工材料」を使って回復させる治療。
薬のように外から作用するのではなく、
体そのものを作り直す発想に近い医療です。
細胞は生きていて、
体内で増え、移動し、物質を分泌する。
だからこそ一度の投与で大きな効果が期待できる一方で、
完全にコントロールする難しさや製造コストの高さといった
課題も抱えているということ。
夢と現実の両方を感じる導入でした。
◆iPS細胞で1型糖尿病を治す挑戦
ヒトiPS細胞を用いた 1型糖尿病の細胞量号に向けた取り組み
豊田太郎先生(京都大学iPS細胞研究所)
1型糖尿病は、インスリンを分泌する膵島β細胞が壊れてしまう病気。
現在はインスリン補充が中心ですが、
「細胞そのものを作って移植する」ことで根本治療を目指す研究が進んでいます。
iPS細胞から膵島細胞を作製し、体内で機能させる。
理論は明快ながらも、がん化リスクの排除、未分化細胞の除去、数十億個単位の
大量製造、品質管理と安全性評価という大きな壁があります。
基礎研究の成功と、患者さんに届けることの間には大きなギャップがある。
その現実を真正面から語られていたのが印象的でした。
◆スポーツ整形と再生医療
スポーツ整形外科領域における再生医療の話題
須藤英毅先生(北海道大学病院)
再生医療は難病だけの話ではなく、
PRP療法(多血小板血漿)や間葉系幹細胞治療は
スポーツ整形の分野でも広がっています。
保存療法と手術の間を埋める新たな選択肢。
ただし先生が強調されていたのは、「再生医療は魔法ではない」ということ。
フォームや筋力バランスなど、原因を改善しなければ再発する。
生物学的修復(再生医療)と
物理的機能改善(リハビリ)の両輪が揃ってこそ意味がある。
この現実的な姿勢がとても心に残りました。
◆CAR-T細胞療法という医療革命
医療革新をもたらすCAR-T細胞療法
豊嶋崇徳先生(北海道大学大学院)
患者自身のT細胞を遺伝子改変し、がんを攻撃させるCAR-T療法。
日本で使用されている製品には、例えば
キムリアやイエスカルタ などがあるそう。
これまで治らなかった悪性リンパ腫の患者さんの中から、
一度の治療で治癒に至る方が出てきている。
画期的な内容でした。
一方で、
重篤化する可能性のある副作用(サイトカイン放出症候群など)
高コスト
医療者の負担
10年間のフォロー義務
など、制度面・経済面の課題も山積しています。
「革命」であると同時に、「持続可能性」が問われる医療でもある
と感じました。
◆再生医療の光と闇
再生医療ってどうなの?その光と闇
~日本独自の法律、再生法の観点から~
右近祐一郎先生(大阪大学大学院)
「再生医療等安全確保法」という日本独自の制度。
承認を受けた製品は厳格な審査を経ていますが、
自由診療で提供されている再生医療も存在します。
高額な治療、エビデンスが十分とは言えないケース。
再生医療は希望である一方、慎重な理解も必要です。
「正しい情報に基づいて選択することの大切さ」を改めて感じました。
◆開発と審査の最前線
再生医療等製品の開発の動向
前田憲一郎先生(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
再生医療製品の審査や国際連携の現状についても紹介がありました。
欧米で開発が進む製品の多くが日本市場を除外しているという現状。
ドラッグロスの可能性。
研究だけでなく、
製造、制度、価格評価まで含めた「エコシステム」の構築が
必要であることを痛感しました。
◆まとめ
未来のことと思っていたけれど
細胞で治す時代は始まっているということ。
その一方で、
安全性、コスト、制度、倫理。
解決すべき課題はまだ多く残っている。
それでも確実に、
「これまで治らなかった病気が治る」
世界が広がりつつあるということ。
抗がん剤中心の時代から、
免疫治療・細胞治療の時代へ。
もっと多くの人びとが受けられるように
なっていくといいなと思います。
その未来をどう持続可能にしていくのか。
医療だけでなく、社会全体で考える必要がある
と感じました。
今日も、ありがとう。

