2026-09-20 14:02:00

急性腰痛は一度でおわるとは限らないーー改善と再発を繰り返しながら回復した腰痛の症例

 

今回は、突然腰を痛めて来院された患者さんの症例をご紹介します。

 

この症例で特に印象的だったのは、初回の治療では非常に大きな変化が出たにもかかわらず、その数日後に仕事をきっかけとして再び腰を痛めたことです。

 

さらに2回目の治療では、こちらが思っていたほどその場で変化が出ず、治療にかなり苦労しました。

 

しかし、その後少しずつ身体が変化していき、最終的には日常生活でほとんど痛みを感じないところまで回復しました。

 

鍼治療では毎回同じようにその場で大きな変化が出るわけではありません。

 

この症例は、そのことがよく分かるケースだったと思います。

 

 

突然始まった腰痛

 

患者さんは前日から腰に痛みを感じるようになり、急患として来院されました。

 

これまで、いわゆる腰痛らしい腰痛はほとんど経験したことがなかったそうです。

 

痛む場所は腰というより仙骨に近く、特に仙骨の上部から右側にかけて痛みがありました。

 

前屈や腰を曲げ伸ばしする動作。

車の乗り降り。

 

そして治療ベッドで寝返りをする動作でも痛みが出ていました。

 

詳しくお話を聞いてみると、腰痛が起こる少し前に仕事の内容が変わっていました。

 

普段とは違い、パートの方がお休みしたため、患者さん自身が現場の作業に入ったそうです。

 

それまで腰痛がほとんどなかったことを考えると、慣れない作業によって腰や骨盤周囲にいつもとは違う負荷が加わった可能性が考えられました。

 

腰には鍼をしない

 

この日の治療では、痛んでいる腰そのものには鍼をしませんでした。

肘周囲や手のツボなど、腰の動きと関係すると考えられる離れた場所を中心に鍼を行いました。

 

数本鍼をしたところで一度立っていただき、最初に痛かった前屈や腰の曲げ伸ばしを確認します。

 

すると、最初に出ていた屈伸時の痛みはほとんど感じなくなっていました。

 

ただし、寝返りではまだ痛みが残っています。

 

そこで今度は、ふくらはぎや手の甲などのポイントを追加しました。

 

ここでも腰の患部には鍼をしていません。

 

そして再び寝返りをしてもらうと、今度は寝返りの際の痛みもほとんど感じなくなりました。

 

初回としてはかなり良い反応です。

 

ただ、その時点で痛みがなくなったからといって、傷めた身体が完全に元へ戻ったとは限りません。

 

仕事などで再び負荷がかかれば、痛みが戻る可能性があることもお伝えしました。

 

また鍼の場合、治療直後だけではなく、その日の夜から翌日、さらにその翌日と身体が変化していく患者さんもいるため、その点についても説明しました。

 

ところが数日後

腰痛が再び悪化

 

患者さんが再び来院されました。

 

初回治療の後は腰痛がかなり軽くなり、日常生活もほとんど問題なく過ごせていたそうです。

 

自転車に乗る際に多少の違和感はあったものの、大きな問題はありませんでした。

 

ところが仕事中に段ボールを運んだ際、ピクッと腰を痛めてしまいました。

その後、再び腰痛が強くなったそうです。

 

今回確認すると、前屈でも痛みが出ます。

 

さらに仰向けで膝を立てた状態から腰を持ち上げる動作でも痛みが出ました。

 

ここからが、この症例で最も難しかったところです。

 

いつもの腰痛治療が思うように効かない。

 

腰痛でよく使ういくつかの治療方法を試しました。

 

しかし、普段なら比較的早く変化するポイントを使っても、今回はなかなか変化しません。

 

鍼をして動きを確認。

 

別のポイントを使って再び確認。

 

それでも期待したほど変わりませんでした。

 

治療直後の感触としては、最初の痛みを100とすると改善は40パーセント程度。

 

初回治療のような大きな変化は得られませんでした。

 

治療する側としても、かなり難航した腰痛でした。

 

このような時、無理に鍼の本数を増やし続けるより、一度身体に刺激を入れて、その後の変化を見ることも大切です。

 

そこで基本的な治療を行い、その日は終了しました。

 

患者さんには、

「鍼は治療直後だけで結果が決まるわけではなく、24時間から36時間ほど経過してから身体が変化する場合もあります」

とお伝えしました。

 

そして実際に連絡をいただいたところ、治療から約36時間後には、

「だいぶ楽になりました」とのことでした。

 

その場では大きく変わらなくても、その後身体が変化する。

 

鍼治療をしていると、このような経過を見ることがあります。

 

 

大きく改善

 

3日後に再び来院されました。

状態を確認すると、腰の調子はかなり良くなっていました。

 

前屈をしても痛みはありません。

 

ただし完全にゼロではありませんでした。

 

仰向けで膝を立てて腰を動かすと痛みがあります。

 

車の乗り降りでも、まだ少し痛みが出るとのことでした。

 

つまり日常生活はかなり楽になったものの、特定の動きでは腰や骨盤周辺にまだ問題が残っている状態です。

 

今回は骨盤周囲の動きを整えることを目的として、背骨と連動するポイントを多く使用しました。

 

治療後、もう一度膝を立てて腰を動かしてもらいます。

 

すると痛みは治療前のおよそ半分程度まで減少しました。

 

ここまで来ると回復の方向にかなり進んでいると判断しました。

 

患者さんはバレエもされていたため、

「痛みがなくても急に無理をせず、身体の状態を確認しながら行ってください」とお伝えしました。

 

 

腰痛治療をいったん卒業

 

さらに1週間後。

 

患者さんからは、

「ぎっくり腰の状態はほとんど良くなりました」

とのお話がありました。

 

来院前にバスへ乗った際、バスが急発進して一瞬腰に衝撃を感じたそうですが、大きな痛みにはならなかったとのことです。

 

前屈

後屈

朝起きた時の動作

 

いずれも問題ありません。

 

仕事で長時間座っていると多少腰が固まる感じはあるものの、以前のような強い痛みはありませんでした。

 

唯一、仰向けで膝を立て腰を動かすテストで、右腰にわずかな痛みが残っていました。

 

そこで最後の調整を行います。

 

治療後に同じ動きをしていただくと、痛みは出ませんでした。

 

腰痛治療はいったん終了としました。

 

 

初回で大きく改善。

↓

その後、仕事で再び腰を痛める。

↓

2回目は治療が思うように進まず。

↓

しかし翌日以降に徐々に改善。

↓

3回目にはかなり回復。

↓

4回目で日常生活上ほとんど問題のない状態となりました。

 

非常に興味深い経過でした。

 

 

 

靴下が履けるか?

車の乗り降りはスムーズか?

寝返りができるか?

朝起き上がれるか?

 

こうした実際の動作は、患者さん自身も変化を実感しやすいです。

 

今回あえて書いておきたいのは、毎回治療直後に劇的な効果が出たわけではないということです。

 

 

 

腰痛といっても、その時々で身体の状態は違います。

 

だからこそ毎回同じ場所へ同じ鍼をするのではなく、その日の身体と動きを確認しながら治療を組み立てていくことが大切だと感じた症例でした。

 

てあーて鍼灸院では、痛いところだけをみるのではなく、実際の身体の動きを確認しながら、その人の身体のどこに負担がかかっているのかを探して施術を行っています。

 

症状の変化には個人差がありますが、

 

✔️寝返りがつらい

✔️車の乗り降りが痛い

✔️靴下が履きにくい

✔️前屈すると腰が痛い

 

など、日常生活の具体的な動作でお困りの場合もご相談ください。

 

 

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