2026-09-03 12:56:00

84歳女性の股関節痛①痛い場所に鍼をしない治療

今回は、腰から臀部、股関節にかけて強い痛みと、動かしにくさがあった84歳女性の症例をご紹介します。

この方は、ご主人の入浴を日常的に介助されていました。

湯船からご主人の身体を支えて移動させる動作は、想像以上に腰や股関節へ大きな負担がかかります。

そうした介助が重なるうちに腰、臀部、股関節周囲の痛みが強くなり、身体も次第に硬くなっていきました。

特につらかったのが、椅子から立ち上がる時と座る時です。

痛みが強く、立とうとしてもなかなか身体を起こすことができません。

歩行にも影響が出ており、以前のようにスムーズに速く歩くことも難しくなっていました。

日常生活でも頻繁に「痛い、痛い」と口にするほどで、単に腰が痛いというより、痛みによって生活そのものが小さくなっているような状態でした。

 

以前から腰や臀部には慢性的な痛みがあり、東洋医学的に身体をみても、気血の巡りが滞っているような印象がありました。

そこで今回の治療では、痛い腰や股関節に直接たくさん鍼をするのではなく、身体の離れた場所から腰、骨盤、股関節の動きを変えていきました。

長期間負担がかかってきた場所は、すでに疲弊しているとも考えられます。

そこへ刺激を集中させるのではなく、身体のつながりを利用して循環と動きを取り戻していきます。

例えば骨盤周囲を緩めるために肘周囲のツボを使います。

腰や臀部、股関節周囲の筋肉の緊張を変えるために、手の甲のツボを使うこともあります。

さらに手と足のツボを組み合わせ、身体全体の緊張や痛みを調整します。

 

立ち上がる動作では、腰や骨盤、股関節を支える深い筋肉の働きも重要です。

そこで足のツボを使い、深部の緊張と身体の連動を整えていきました。

 

【鍼をした場所と、変化する場所が離れている】

初めて鍼灸を受ける方には、とても不思議に感じられると思います。

しかし身体は、腰なら腰だけ、股関節なら股関節だけで動いているわけではありません。

足、骨盤、腰、背中、腕までが連動して、一つの動作を作っています。

では、この84歳の患者さんの身体は、この治療によってどう変わっていったのでしょうか。

実は私自身が特に印象に残ったのは、腰や股関節の痛みが楽になったことだけではありませんでした。

治療後、いつも座っていることの多かった患者さんに、家族も驚くような変化が現れたのです。

その変化について、次回の②でお話しします。

 

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