園だより

2022-07-25 17:58:00

「何とかなる!」因子(前向きと楽観)

「なんとかなる!」因子(前向きと楽観)

 

〇「なんとかなる」の行動原則・・・ポジティブな言葉を増やす

「なんとかなる」とは、前向きと楽観の因子で、ポジティブになることです。ですから、いかにポジティブな言葉を増やすかです。

〇「なんとかなる」因子とポジティブな声掛け

私は、家族とアメリカで暮らしたことがあります。アメリカでは子どもへの声掛けは、例えば坂道で転んだときには「良い経験をしたね」という意味で「グッジョブ」、野球チームで三振したら監督が「ナイストライだ」と言うなど、ポジティブでした。「何々しては駄目」などとネガティブに言うのではなく、「こういうことができたんだね、よかったね」と前向きにポジティブな言葉遣いをすることで、子どもは失敗を恐れなくなり、前向きと楽観の因子は充実します。保護者や保育者はついついネガティブになりがちかもしれませんが、良い方を見てポジティブになることです。そして「今、目の前の小言を言うのと、言わないで伸び伸びさせるのと、どちらが本当にこの子の幸せのために必要か」と、長期的視点を持つこと。「あれをしてはいけません」「これをしてはいけません」と押さえつけるのではなく、自由に伸び伸び育って「なんとかなる」という感覚を持った子どもに育てる、というビジョンです。(中略)

 先回りについては、その子の将来を考えたら、雨が降りそうなときに「傘を持って行きなさい」とまで言うのではなく、「降りそうだよ」という情報だけを伝えて本人に考えさせる。「坂道だから転ばないように」ではなく「ここは、こういうふうになっているよ」と自分で周りを見させて判断を促す。ずぶぬれになったり転んだりした方が、次から傘を持って行く判断のできる子になります。いつも「はい、傘よ」などと言われていたら、大人になってからが本当に心配です。

 アメリカが全て良いとは言いませんが、子育てにおいて子どもを自立させるという発想はアメリカ人の親の方が強いですね。彼らは自分の子どものことを、自分か死んだ後も生きる大切な他人だと思っています。「獅子が我が子を千尋の谷に落とす」話ではないですが、自分の死後もいきいきと生きてもらうために「自立を促すことこそが、本人のためだ」と考えています。

〇怒りのコントロールを

欧米は子どもに対して怒ったら警察に連れていかれてしまう社会になっているのに、日本は遅れた社会で、まだ子どもへのハラスメントが普通に許されている。これは子どもにストレスを与え、本当によくないことです。ですから怒りの感情はコントロールすべきです。

怒りをコントロールする方法として、「6秒待つ」練習があります(6秒ルール)。怒りの感情は反射的に出るものですが、これを6秒間グッと待って「ああ、自分は怒ってしまったなあ」と鎮めることが必要です。6秒間待つと、冷静に自分を上から俯瞰して見ることができます。これを「メタ認知」といい、その練習をすると怒らなくなります。あるいは瞑想も効果的です。瞑想は1~5分ほど。5分間シーッとしていると、怒りを抑える練習になります。6秒間待つことと瞑想に共通するのは、心を落ち着けることです。怒りっぽかった人が瞑想や座禅をしたら怒らなくなった、という話はよく聞きます。怒りっぽい人は、怒ることは抑えて瞑想してみるとよいでしょう。

 (幸福学からみた子どもとの関わり/前野隆司著 げんきNo.191 より)