園長あいさつ

 子どもたちが大好きなカブトムシ。大きな体で堂々と樹液をなめ、空を飛び回ります。今のその姿があるのは、幼虫時代に腐葉土に囲まれて食べ続けて、丸々とした体が出来ていたから。この幼虫時代に、樹液をなめたり空を飛ぶ練習をさせることは、考えづらいですが、大人が子どもたちに求めていることは、まさにこれと同じことではないでしょうか。

 発達には必ず道筋があり、年齢に応じて必ず通るべきステージがあります。乳幼児期の子どもたちの仕事は「遊び」。遊びの中で、試行錯誤を繰り返し、様々な基礎的な能力を身に着けていきます。そして何より友だちとの関りを通して、コミュニケーション能力が育ちます。私たちの園ではこの大切な「遊び」の時間と環境を保証して、今育てるべき力を確実に育てていきます。

 

川島東こども園 園長 川島俊樹

 

 

「園だより」より

 

〇環境の大切さ 【R4.10】

 来月から、令和5年度の入園申し込みが始まります。それに先立ち、今月は未就園親子を対象とした「にこにこくらぶ」での入園説明会や、個別の入園見学の対応で、園内を案内して回ることが何度もありました。その中で、特に見てもらいたいものは、子どもたちが遊びの中で見せる生き生きとした姿、輝く目であり、それらを支える保育室の環境です。遊びが仕事であり学びそのものである子どもたちにとって、どんな環境で過ごすのかはとても重要です。長い子では6年以上もある園生活ですので、日々の積み重ねの大きさを思った時に、どんな環境を当たり前として生活するか、ますますその重要性を感じざるを得ません。

 川島東こども園の保育室の特色はコーナーがあることです。構成コーナー、机上コーナー、役割コーナー、運動コーナー(未満児)、収集棚(以上児)等があって、その時に子どもたちの一人ひとりの発達しつつある能力や関心に応じて、適切な玩具や自然物等が置いてあります。保育士の役割は、子ども一人ひとりの発達を見極めて、環境を整備し、遊びに誘っていくことです。すべてに意図があり、いかに子どもたちの意欲や関心、好奇心を引き出し遊びに誘うかを、保育士が考えて環境構成をしていることを、知っていただきたいと思いながら案内をしています。

 

〇第4回こどもなつまつり御礼【R4.9】

 先日は第4回寺前広場こどもなつまつりに、多くの方に参加いただき誠にありがとうございました。コロナや天気など、心配が多々ありましたが、皆様のご協力で無事終えることが出来ました。どなたも祭りを楽しんでいただけたのではないでしょうか。

 こども園の父親の会とそのOB、長光寺の関係者で作っているなつまつり実行委員会では、「子どもたちに祭りのワクワク感を味わってもらいたい」という思いで、一生懸命準備をしてきました。子どもの頃の祭りの体験は、一生心に刻まれます。大人になり一度は川島を離れるかもしれませんが、もう一度この川島に戻ってきてもらいたい、その時背中を押す一つのきっかけになるのが、夏祭りの楽しかった思い出であると、将来への種まきも見据えて祭りを作ってきました。更に、川島地区は、各務原市への合併後18年を迎えようとしていますが、その間、核を失いバラバラになりつつある地域住民の心をもう一度一つにする場を作りたいという思いもありました。

 今回の祭りには園児や卒園生だけでなく、地域の老若男女が集まり、めいめいにお店を楽しみつつ、ステージや踊りで一体感を味わいました。卒園した高校生、大学生の姿もあり、川島へ戻り集まる場としての祭りの役割も果たすことができました。

 コロナという制約に加えて、感染の為出られなくなったスタッフもあり、残されたメンバーでの運営は大変でしたが、急遽お手伝いを申し出ていただいたお父さんもあって、何とかやり遂げることが出来ました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。また、会場でのごみの分別がしっかりされていたこと、翌日のごみ拾いでは、会場および周辺道路にほとんどゴミが落ちていなかったことに驚きました。ご協力ありがとうございました。

 

〇幼保研修 【R4.8】

 7月11日から15日まで、年長組では「泊まらない保育週間」と題して、普段できない様々なことに挑戦しました。班ごとの秘密基地づくりから始まり、買い物や、園庭でのカレー作り、マスつかみ、夏祭り(肝だめし、射的、うちわ作り、ワニワニパニック、焼きマシュマロ、焼きそば・お好み焼き屋さん、盆踊り)等、普段できないことを思う存分体験しました。
 また、先日、川島小学校の1年生担任の先生が、幼保体験研修として園で一日過ごし、年長の園での生活を見ていかれました。システムの違うこども園と小学校のギャップをいかに埋めて、うまく橋渡しするか、が現在の課題になっているからです。かつては園が小学校に倣っていましたが、最近では小学校が園での子どもたちの姿を見て参考にするよう変化してきています。今回、先生はわらべうたの課業、クラスでの自由遊び、プール遊び、給食の様子などをじっくりと見られました。そして、本園の卒園生たちがいつも聞く姿勢が出来ている理由や、とても友だち思いで仲間を大切にする理由がよく分かった、小学校の他の先生たちにも保育士の関り方や子どもたちの様子を見てもらいたい、と言われました。改めて私たちの保育教育の方向性を確認する良い機会となりました。
                  

〇予測不能な将来を生きる力【R4.7】

 突然の梅雨明けで、一気に真夏がやってきました。外を歩くのもためらわれるほどの高温が続き、熱中症の心配が出てきて、コロナを忘れそうになる状況です。周囲に目を向ければ、ウクライナでの戦争、資源高、円安、物価高騰、電力不足と、私たちは世界の変化に否応なく巻き込まれています。予定調和の時代は遥か彼方へと過ぎ去り、予測が不可能な時代となりました。こうした時代であるからこそ、子どもたちの乳幼児期の過ごし方が重要となってきます。
 先日、汐見稔幸先生の講演を聞いた際、これからの子どもたちに求められる力として4C(① communication-コミュニケーション能力 ② collaboration―協同する力や姿勢 ③ creativity-創造性 ④ critical thinking-批判的思考)が挙げられていました。①~③は納得しますが、④はいかがでしょうか。批判的思考と聞くと、とげとげしく攻撃的なイメージですが、当たり前として受け入れている物事を、一度保留して、「本当にそうなのか?」と自分で考え直すことです。大人は自分の知識や経験を当然のものとして、子どもに押し付けがちです。一方で子どもの世界に対するスタンスは、「どうして?」「なぜ?」に満ちています。未知でこれまでの経験が役に立たない状況に置かれたとき、打つ術が分からず困惑して立ち尽くすのではなく、今の状況はどんな状態なのか、どうしたらここに突破口を見つけられるのか、と立ち向かっていく子どもたちを育てるにはどうしたらよいでしょうか。子どもが元々持つcritical thinkingの萌芽を、大人が「当たり前」でつぶすことなく、一緒になって不思議がって、考えたり調べたりする姿勢が求められます。

 
〇環境認識【R4.6】

 先日は保育参観にお越しいただきありがとうございました。年少以上では、環境認識の時間を見ていただきました。この時間は文字通り周囲の環境がどうなっているのか、よく観察したり、経験や友だちの意見を聞きながら発見していく時間です。大人には分かり切ったこの世の中も、子どもの中では未知の世界です。混沌とした状態を少しずつ切り分けながら(分ける→分かる)、身近な環境に親しむ時間です。参観いただいた保護者からは、次のような感想をいただきました。「私たちの普段の生活にはたくさんの学びが溢れていると気づかされました」「間違いを恐れない子どもたち、それが許される雰囲気、先生の上手なフォロー。とっても素敵でした。大人の世界もこんな風に寛大でありたいなと思いました」。環境認識のテーマは毎月変わります。お子さんから園での取り組みを聞いて、是非家庭からも導火線に火をつけていただきたいと思います。
 さて、5月を振り返ると園内外で子どもたちが春から初夏ならではの体験をたくさんしています。稚鮎の放流、フラワーパーク遠足、朴葉寿司、茶摘み、アゲハチョウの羽化、蛍・・・わくわくする体験は、子どもたちの「どうしてだろう、不思議だな、もっと知りたい」という好奇心を刺激します。そして自ら学んでいく原動力になります。園ではインスタグラムで園での出来事を発信しています。是非ご覧ください。

 
〇遊びが中心・主体性と体験を重視・好奇心と探求心R4.5】

  入園・進級から1か月が経ちました。当初未満児組から聞こえていた泣き声も徐々に収まり、どのクラスも随分と落ち着いて、遊びに熱中する様子が見られるようになりました。それでも、登園時にはまだ渋ることがあるかもしれません。お子さまが早く新しい環境や生活に慣れて、「こども園大好き」と言ってもらえるよう職員一同努力いたしますので、お子さまの背中を押していただければと存じます。
 さて、川島東こども園での生活の中心は、何と言っても遊びです。今の時期の子どもたちにとって、遊びは楽しくて仕方ない時間であると同時に、空間認知、数量把握、文字への関心、想像力、忍耐力、試行錯誤する力、コミュニケーション能力等、いわゆる認知能力から非認知能力まで、あらゆる力が知らぬ間に身に付く時間です。この遊びが、子どもたちにとって常に面白くてわくわくするようなものとなるために、保育士は魅力的な環境を作ろうと心がけています。同時に、子どもたちの遊びの姿を常に観察しています。どんなことに関心があるのか、この遊びの中でどんな力が育ってきているのか、時に違う遊びや新しい人間関係へと誘うこともあります。
 また、園の活動の基盤となるものに、主体性と体験があります。言われてやるのではなく、周囲をしっかりと見て、考えて、自ら選択して取り組めること、そして、子どもたちの中に、「面白いな」「どうしてだろう」という興味や好奇心を育む元となる実体験をすることを重要視しています。年少以上で取り組む環境認識の時間も、その一環で、身の回りに何があるのか、どうなっているのか、どうしてなのかを、実物をじっくりと観察しながら一緒に考え、発見を重ねて世界を広げていきます。ここで培う好奇心や興味関心が、その先の学校での学びの原動力になってきます。常に受け身で、気持ちの良いことだけを待っているのではなく、自らどんどんと探検して、道草や回り道をしながら面白いもの、不思議なものを見つけて深めていける子どもを育てていきたいと考えています。

 

〇6年生の卒業を祝う会 【R4.2】

 1月29日に六年生の卒業を祝う会を行い、卒園後引っ越した卒園生も含めて48名の卒園生が集まりました。本来ならば遊戯室に一堂に会し、当時の職員も交えて、今頑張っていることや将来の夢などを語り合いながら、卒業を祝っていたのですが、今回はコロナのため園庭で短時間話をし、プレゼントを渡して終了しました。その後に卒園生たちは狭くなった園庭で、昔に戻って遊んでいました。

 個別に話をしてみると、外見上は、昔の面影を色濃く残している子もいれば、全く分からないほど成長した子もいましたが、話しているとどの子もさすがこれから中学生だと思えるほど、しっかりと成長していました。子どもの育成に携わる仕事をしていて一番うれしいと思える時間でした。

 

 ある学校の校庭に「母校は心の故郷である」という碑が立っていました。卒園児が人生の節目や、つらいことがあった時などに、ふと思い出してふらりと立ち寄ってもらえる場であり続けたいと、心を新たにした次第です。

 

〇保育士の役割 想像/想像力 【R3.11】

 さて、このところ園では研修会が続いています。ハンガリー保育のサライ先生、わらべうたの霜先生、育児担当制の西村先生、小学校接続の吉永先生と、直接来ていただいたり、オンラインを経由したり、様々な方法で、研修をしています。時に未満児のクラスでは連絡ノートが書けない場合もありますが、ご容赦ください。

 どの研修にも共通していることは、「子どもたちは環境を通じて、遊びながら学んでいること」、そして保育士の役割とは「子どもたちが自分を出して遊ぶことができる環境を整える」ということです。かつて保育士は「今日はこれで遊ぶよ」と、遊びを選び主導していました。しかし、これからは、どんな困難な状況になったとしても、自ら道を見つけて切り拓いていける力が必要になる時代です。常に好奇心を持って周囲にあるものを眺め、自分で遊びたいことを見つけて、とことん遊び込んでいく中で、試行錯誤したり、また、友だちとのやり取りを繰り返しながら、子どもたちは小学校以降の学習の基礎や、生きていく力を身につけていきます。子ども一人ひとりの発達や興味関心を読み取り、子どもが求める遊びができる環境を作ることが、保育士の大切な役割になります。

 

 バブル経済後の失われた30年の果てにコロナ禍が来て、世界における日本の存在感はますます薄れました。国力が弱体化する中で、前例がない未来を作っていくのは今の子どもたちです。大人の常識を当てはめることなく、既成概念を打ち崩していくような先鋭的な想像/創造力を持った人材を生み出していかねばなりません。その源泉となるのが今の新しい保育=教育です。乳幼児期の最大の学び場である遊びを大切にしていきたいと思います。

  

 園長経歴

岐阜県立岐阜高等学校卒業

京都大学文学部卒業

京都大学大学院文学研究科修了

岐阜聖徳大学附属中高等学校教諭

平成19年より川島東保育園奉職

平成25年より川島東保育園園長

平成30年より浄土真宗本願寺派長光寺住職