園だより

2023-06-26 15:14:00

「自分で」は自信がついてきた証拠

「自分で」は自信がついてきた証拠

 2歳になると、手先が器用になり、運動能力もついてくるので、自分でやってみたいという要求がふえてきます。自分に対する自信もついてくるので、いままでやっていなかったことにもチャレンジしてみたくなるのです。

 そのために、親がやってあげようとすると「自分でやる」と言い張って、なんでも自分でやってみようとします。

 言葉をかえていえば、大人のやっていることをじっと見ていて、「自分もやってみたい」という自我が育ってくるのがこの時期です。

 

大人がやれば10秒、子どもだと10分!

 靴を自分ではくと言い張って、どんなにやってもうまくいかず、じれて泣きだす。それならとお母さんが手助けしようものならもう手がつけられないほど怒って、大泣きしてしまう。あるいはごはんを自分で食べるといって、盛大にこばす。たまりかねて食べさせると、怒り狂ってテーブルの上のものを全部床に落としてしまったり、このころの「自分で」につきあうのは本当に大変です。

 しかし、子どもが「自分で」と言い出したときは、自我や能力が飛躍的に伸びるチャンスですから、親の都合やうっかりした対応でその意欲をつぶしてしまわないように気をつけましょう。

「自分で」と言ったときのプライドをどれだけ保証してやるかという親のゆとりが、決定的に大事になってきます。

「自分」と言って始めたことでも、できなくてあたりまえと思ってあげましょう。よくできたら「すごいわね」とほめてやるのは当然ですが、失敗したり、途中で挫折しそうになったら、「もうちょっとだったのに、残念だね」とか「じゃあ、いっしょにやってみようか」などと声をかけてやります。

 

子どもの有能感を育てる

 2~3歳のころは「自分はなかなかに有能なんだ」という意識を育てる時期です。この感覚が十分に育つと、子どもは積極的に集団の中に入っていけるようにもなります。

 この感覚を育てるのに「自分でやる」ことは大いに役立つので、子どもが自分でやりたがったら、なるべくその希望はかなえてあげましょう。子どもが自分でやりだすと、お母さんのぺ-スどおりにはいかないことが多くなりますが、そういうことをくぐり抜けていくのが子育ての当面のテーマなのだと、心がけてほしいのです,

 そのためには、親の精神的なゆとりがあることが絶対に必要です。

 3歳ごろになると、パジャマの着かえ、歯みがきなどの自立の訓練が始まりますが、子どもが言いだしたときがチャンスです。やりたくないのに「はい、きょうからよ」なんて言われても、いやになってしまうだけですから。お母さんは、子どもが言いだすチャンスをのがさないようにしましょう。

「自分で」と言いだすには、いろいろなことに興味を持つ心が必要です。もし、あまり「自分で」に固執しない子だったら、親がうまくリードしてやってもいいと思います。しかし、あくまでも子どもの後ろからついていくという原則はくずさないようにしましょう。

 たとえばNHKの「おかあさんといっしょ」を見ていて、テレビの前でいっしょに歯みがきのまねをし始めたら、お母さんもいっしょにまねをして、歯みがきって楽しそう、もっとやってみたい、と思わせてあげます。簡単なお手伝いを体験させるのもいいことです。「新聞をとってきてちょうだい」とか「ドアを閉めて」といったことでも、「自分で」やったことがみんなのためになったという体験は非常な自信につながり「ぼく(わたし)って、けっこう有能なんだ」ということを確信することができます。

(0~3才 能力を育てる 好奇心を引き出す/汐見稔幸著より)