足の捻挫(足関節および足部の捻挫)は外傷の中でもきわめて頻度が高く、一説によると一日に人口1万人あたり1人が受傷すると言われているので、札幌市で言えば毎日200人くらいが捻挫している計算になります。足関節は構造上、内くるぶしの先端が外くるぶしの先端より高い位置にあります。そのため、足首は内側のほうに大きく動くため、怪我をする頻度も内側にひねって起こることが多いのです。つま先が下を向いた状態で足首を内にひねる動作(土踏まずが上を向くような形)を内がえしといいますが、その方向に過剰な力が加わって捻挫することが最も多く、その場合には足首の外側が伸ばされて外くるぶしの前方と足の距骨をつなぐ前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)が過度に緊張してまず損傷します。程度が強ければ足首の外側の別の靭帯(踵腓靭帯 = しょうひじんたい)をさらに損傷します。足のひねり方によっては、足首の内側の靭帯や足の甲の部分の靭帯をいためる場合もあります。
子供では靭帯が断裂するかわりに靭帯の付着する骨の表面が剥がれる剥離骨折(はくりこっせつ)という状態にも注意が必要です。しかも小児の骨ではX線撮影では見えない部分があるため、骨折を疑って注意深く診察しないと見逃されてしまう可能性もあります。たかが捻挫と侮っていると、重症の怪我の治療が遅れて後遺症を残す場合もあるのです。