完全断裂の場合は放置しても治らないため、正常な膝関節の機能を獲得するためには手術が必要です。しかし、手術とその後のリハビリには長い期間を必要とするため、現実的に手術を受けられない患者さんも少なくありません。例をあげれば、仕事を長期間休めない労働者、受験・進学を控えた学生、現役期間の残り少ないスポーツ選手などです。
手術を行う時期は受傷直後に起こる炎症が収まった時期が望ましく、ある程度の待機期間は許容されます。つまり、関節の負担が少なくなる工夫をしながら手術を受けられる時期まで待つことが可能です。その間は、保存療法(手術ではない治療)として、不安定性な膝を保護する支柱付きの装具を必要に応じて使用し、膝の安定性を高めるリハビリを行います。
靭帯の損傷が一部にとどまる場合(不完全な断裂)は保存療法で機能の回復が得られる場合もありますが、正確な診断と注意深い経過観察が必要です。