脛骨骨切り術の弱点とは
手術後も損傷の強い膝関節の内側で体重の一部は支えなくてはならないので、ある程度の痛みが残ることがありますが、手術前よりも症状は顕著に改善します。また、手術の際に内側の軟骨欠損部や半月板損傷部の修復等を可能な範囲で行うことによって、残る症状を最小限にする工夫をします。
脛骨骨切り術自体は数十年前から行われていた手術方法です。以前は手術をした後に体重をかけて歩くまで長期間待たなくてはならず、入院期間が長いことが患者さんの負担になっていました。現在でも一度切った脛骨が治るまでに時間がかかりますが、固定金属の改良によって手術後早期から歩行を開始できます。入院期間も短縮され、手術内容や個人差で幅はあるものの手術後2~3週で退院となります。
どのような人に脛骨骨切り術を勧めるのか
膝関節の内側の損傷が重度で、下肢の形態がO脚(内反膝)の人が対象になります。十分な保存療法を行っても症状が改善しない場合に手術を検討します。
O脚自体は生まれつきの場合もあるので、関節損傷の程度や症状が軽い場合はO脚というだけでは脛骨骨切り術の対象にはなりません。この場合はほかの方法を模索すべきです。
骨が完全に治るまでに時間を要しますが、治療終了後には特別な行動制限はありません。ランニング、登山といった中高年でも愛好者の多いスポーツを続けたい人、お茶お花など床に座る姿勢が必要な趣味を持っている人、現役で重労働に従事している人にとって利点の多い手術方法です。
手術後の膝の屈曲程度は手術前の状態に影響を受けます。また、十分なリハビリを行うことが機能回復には欠かせません。すべての人が手術後にしゃがみ・正座などの姿勢ができるとは限りません。
「治療全体について詳しく知りたい」、 「人工関節を勧められたが他に方法はないのだろうか」、「脛骨骨切り術を勧められたが行うべきなのか」などお悩みの方は専門医にご相談ください。