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2026-05-15 15:15:00
Rebootの考え方について
Rebootは、占いでも経営相談でもなく、人生設計相談です。 未来を予言するのではなく、頭の中にあるものを整理し、自分で未来を選べる状態を整えることを大切にしています。
2026-05-13 08:30:00
Rebootホームページを公開しました
はるきReboot事務所のホームページを公開しました。 Rebootの内容、サービスの流れ、料金、申し込み方法などを順次整えていきます。 自分で未来を100%選べるRebootへ。
2026-05-12 13:07:00
第1章 目が覚めたら、草に埋もれた道の上だった

異世界Reboot 小説版

――勇者ではなく、行程表で老いた王国を再起動する――

はるきReboot事務所の考え方を、異世界の王国を舞台にした読み物として再構成した物語です。

勇者でも、魔法でもなく、「現在地」と「道順」を整えることで、止まった王国をもう一度動かしていきます。

第1章 目が覚めたら、草に埋もれた道の上だった

ブレーキ音が聞こえた。

キィィィィィ――――ッ!!

白いライトが視界いっぱいに広がる。ハンドルを切る。けれど、もう間に合わない。

次の瞬間、身体がふわりと浮いた。

そこで、ハルキの記憶は切れた。

……。

風の音がした。

草が揺れる音がした。遠くで鳥が鳴いていた。

ハルキは、ゆっくりと目を開けた。視界に入ってきたのは、病院の白い天井ではなく、どこまでも青い空だった。雲がゆっくり流れている。

「……病院じゃないな」

起き上がろうとすると、背中に硬いものが当たった。石だろうか。手で草をどけると、そこには古い石畳があった。割れて、土に埋もれ、ところどころ苔も生えている。

けれど、不思議なことに、それは完全に壊れているわけではなかった。

草で見えなくなっているだけだった。

ハルキは少し先まで草を押し分けた。石畳は続いていた。もっと向こうへ、ずっと先へ。

「……なるほど」

誰もいないのに、口から言葉が出た。

「道が無いんじゃない。見えなくなってるだけか」

その時だった。

草むらが大きく揺れた。数人の足音が近づいてくる。

「いたぞ!」
「こっちだ!」
「人だ!」

革鎧を着た若者が飛び出してきた。年は二十歳くらい。肩には斧を担いでいるが、斧は錆び、靴もぼろぼろだった。

若者はハルキを見るなり、目を見開いた。

「ほ、本当にいた……」

後ろにいた男も息をのんだ。

「長老会の言ってた通りだ。空から勇者様が来るって……!」

「……は?」

ハルキが返すより先に、若者はハルキの両肩をつかんだ。

「助かった! もう王国が終わるところだったんだ!」

若者は、息つく暇もなくまくし立てた。

王様はいない。王女様もいない。王位継承者もいない。橋は壊れている。若者は減っている。畑も減っている。種もない。魔物も出る。長老会も揉めている。あと数年で終わると言われている。

ハルキは黙って聞いていた。

数秒後、静かに言った。

「……一個ずつお願いします」

若者は、きょとんとした顔をした。

ハルキは草に埋もれた石畳を見た。さっき見つけた道は、まだ足元から遠くへ続いている。

「順番を間違えると、多分止まります」

風が吹いた。

草が揺れ、埋もれていた石畳が少しだけ見えた。まるで誰かが、ここから始めろ、と言っているみたいだった。


次回予告

第2章「王様も王女様もいない王国」へ続きます。

2026-05-11 17:31:00
第2章 王様も王女様もいない王国

異世界Reboot 小説版

――勇者ではなく、行程表で老いた王国を再起動する――

はるきReboot事務所の考え方を、異世界の王国を舞台にした読み物として再構成した物語です。

第2章では、ハルキがたどり着いた王国の姿が少しずつ見えてきます。

第2章 王様も王女様もいない王国

若者に案内されて、ハルキは小高い丘を登った。

草の向こうから町が見え始める。石造りの家。古い城壁。煙突から上がる煙。遠くに見える城。

町としての形は、ちゃんとあった。人もいた。

けれど、最初に思ったのは、静かすぎる、ということだった。

歩いている人が少ない。そして、若い人がほとんどいない。畑で作業しているのも、市場で店を開いているのも、道端で話しているのも、宿の前で座っているのも、ほとんどが老人だった。

「若い人は?」

ハルキが尋ねると、若者は苦笑した。

「いない。正確には、少しはいる。でも、大体は出て行った。王都とか、商業国家とか、技術国家とか。ここにいても仕方ないからな」

「住む理由が無い?」

若者は少し驚いた顔をした。

「……そう。なんで分かった?」

ハルキは町を見ていた。家はある。店もある。道もある。けれど閉まっている。使われていない。人がいない。

何かが無い。

いや、何かが多すぎるのかもしれない。

宿屋の前を通った時、ひとりの老婆が顔を出した。

「リオ! 帰ったのかい!」

若者――リオが笑った。

「マーサ婆さん。客連れてきた」

マーサ婆さんはハルキを見て、何でもないことのように言った。

「旅人かい? 今日は無料でいいよ。どうせ空いてるからねぇ」

宿の中は広かった。広すぎるほどだった。テーブルも椅子も大量にある。二階もある。けれど、客は誰もいない。

「昔は満室だったんだよ。商人が来てねぇ、旅人が来てねぇ、冒険者が来てねぇ。王様もいた。賑やかだったよ」

マーサ婆さんは笑ったが、その笑いの奥には、長い時間をかけて静かになってしまった町の寂しさがあった。

その時、町の中心から鐘が鳴った。

ゴォォォォォン……。

リオが嫌そうな顔をした。

「……長老会だ。勇者様が来たって、多分騒いでる。行くぞ。面倒なことになる前に」

「だから、勇者じゃないんだけど」

「じゃあ何なんだ?」

ハルキは少し考えた。

「ハルキReboot事務所です」

リオは、さらに分からないという顔をした。

「……何?」

「いや、俺もよく分かってない」

町の中心へ向かう途中、ハルキはふと立ち止まった。広場の中央に、大きな王様の像があった。台座にはこう刻まれていた。

『未来は、王が導く』

ハルキはしばらくその文字を見ていた。

そして小さく言った。

「……違う気がするな」


次回予告

第3章「金貨はある。でも、種がない」へ続きます。

2026-05-10 17:33:00
第3章 金貨はある。でも、種がない

異世界Reboot 小説版

――勇者ではなく、行程表で老いた王国を再起動する――

はるきReboot事務所の考え方を、異世界の王国を舞台にした読み物として再構成した物語です。

第3章では、王様を待ち続ける町で、本当に先に整えなければならないものが見えてきます。

第3章 金貨はある。でも、種がない

長老会の建物は、町の中心にあった。

石造りの大きな屋敷。古く、立派ではあるが、どこか重たい。入口には色あせた旗が掲げられていた。王冠と麦の穂の紋章。その下には小さく文字が刻まれている。

『王と大地により、民は生きる』

ハルキはその文字の前で足を止めた。

「昔は、王様が全部決めてたらしい」

リオが言った。

畑の配分。市場の場所。街道の整備。魔物討伐の報酬。王が決め、民が従う。それがこの王国の形だったという。

「でも今は王様がいない。俺が生まれる前に最後の王様が消えて、それっきり。王女様もいない。王位継承者もいない。長老会はずっと待ってる。いつか正統な王が戻るって」

「その間、誰が町を動かしてるんですか?」

リオは苦笑した。

「動いてないから困ってる」

扉が開き、中から背の高い老人が出てきた。白い髭、深いしわ、鋭い目つき。杖をついているが、足取りはしっかりしている。

「お前が、空から来た者か」

リオが小声で教えた。

「ガルド・モルガン。長老会の代表」

ガルドはハルキを上から下まで見た。

「剣は?」
「ありません」
「魔法は?」
「使えません」
「王家の血は?」
「ないと思います」

ガルドの眉間に深いしわが寄った。

「では、何ができる」

ハルキは少し困った。

「……整理ですかね」

広場が静かになった。長老たちが顔を見合わせる。誰かが笑った。

勇者ではなく、片付け係か。王国も終わりだな。そんな声が広場に漏れた。

リオは少しむっとしたが、ハルキは気にしなかった。

「今の話を聞く限り、片付けから始めた方がいい気がします」

ガルドの目が細くなる。

ハルキは、王様、王位継承、若者、橋、畑、種、魔物、市場、通信と、今聞いた問題をひとつずつ並べた。

「全部いっぺんに話すと、何も決まりません」

ガルドは杖を強く突いた。

「この町の最優先は王位継承だ。王が戻れば、すべて整う。王が命じれば民は従う。王が定めれば、道も市場も動く」

ハルキは首をかしげた。

「でも、王様はいないんですよね?」

空気が固まった。

長老の一人が怒鳴る。王は戻る。正統な血筋は必ず見つかる。だがハルキは静かに聞いた。

「いつですか?」

誰も答えなかった。

明日ですか。来月ですか。来年ですか。

沈黙だけが返ってくる。

「では、その間に食料はどうするんですか?」

その言葉に、リオが顔を上げた。ガルドの表情も少し変わった。

長老の一人は鼻で笑った。

「食料ならある。倉庫に蓄えがある。金貨もある。買えばいい」

ガルドも頷いた。

「この町には蓄えがある。簡単に飢えることはない」

ハルキは聞いた。

「種は?」

また沈黙が落ちた。

リオが小さく答えた。

「……ない。数年前から、まともに残してない。食料は買えるからって。畑も減った。作る人も減った。種を残す人もいなくなった。今ある食料は、あと二、三年くらい」

長老が割って入った。

「だから買えばいいと言っておる! 金貨はある! 食料は買える!」

「今は、ですよね」

ハルキの言葉に、老人は黙った。

「来年も買える保証はありますか。再来年も。隣町が売らないと言ったら。値段を十倍にされたら。街道が塞がったら。魔物が出たら。相手の国が不作になったら」

誰も答えない。

広場の端で、マーサ婆さんが腕を組んで聞いていた。

「食料を買うことが悪いんじゃありません」

ハルキは言った。

「食料しか買えない町になることが危ないんです」

その時、屋敷の中から丸い眼鏡の老人が出てきた。細い体に、大量の書類を抱えている。セドリック爺だった。

「ガルド。例の見積書が届いている」

北の農業国家グランベルからの見積書。春まき種一式。価格は、通常価格の百倍。

広場が一気にざわついた。

高すぎる。ふざけるな。昔はそんな値ではなかった。ぼったくりだ。足元を見ている。

ガルドも怒鳴った。

「昔は銀貨一枚で買えた種だぞ! 百倍など、認められるか!」

ハルキは紙を見つめ、静かに聞いた。

「買わない場合、来年の畑は?」

誰も答えない。

「種がなければ、畑はどうなりますか?」

リオがつぶやいた。

「……何も植えられない」

「では、これは食料の値段ではありません」

ハルキは見積書を持ち上げた。

「未来の畑の値段です」

長老たちは黙った。

ガルドが睨む。

「よそ者に何が分かる」

「分かりません。だから、まず調べます」

ハルキは言った。

何日分の食料があるのか。どれだけの種が必要なのか。使える畑はどこか。作れる人は誰か。食料を買い続ける場合、何年もつのか。種を買う場合、何年で戻せるのか。

ガルドが低く聞いた。

「何をする気だ」

「診断書を作ります」

長老たちはまた顔を見合わせた。

「この町の現在地を知るためのものです。王様を探す前に、まず、この町がどこに立っているのかを見ましょう」

風が広場を抜け、古い旗が揺れた。

王冠と麦の穂。

その紋章を見ながら、ハルキは思った。

王冠は食べられない。金貨も食べられない。でも、種は未来の食べ物になる。

そしてこの町は、その種を高いと言って、買わずに済ませようとしていた。

「順番ですね」

「何が?」

リオが聞き返す。

ハルキは、老人たち、空き家、閉じた店、古い城、そして遠くの畑を見た。

「王様より先に、畑です」


次回予告

第4章「若者が報われない町」へ続きます。

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