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2026-05-11 17:31:00
第2章 王様も王女様もいない王国

異世界Reboot 小説版

――勇者ではなく、行程表で老いた王国を再起動する――

はるきReboot事務所の考え方を、異世界の王国を舞台にした読み物として再構成した物語です。

第2章では、ハルキがたどり着いた王国の姿が少しずつ見えてきます。

第2章 王様も王女様もいない王国

若者に案内されて、ハルキは小高い丘を登った。

草の向こうから町が見え始める。石造りの家。古い城壁。煙突から上がる煙。遠くに見える城。

町としての形は、ちゃんとあった。人もいた。

けれど、最初に思ったのは、静かすぎる、ということだった。

歩いている人が少ない。そして、若い人がほとんどいない。畑で作業しているのも、市場で店を開いているのも、道端で話しているのも、宿の前で座っているのも、ほとんどが老人だった。

「若い人は?」

ハルキが尋ねると、若者は苦笑した。

「いない。正確には、少しはいる。でも、大体は出て行った。王都とか、商業国家とか、技術国家とか。ここにいても仕方ないからな」

「住む理由が無い?」

若者は少し驚いた顔をした。

「……そう。なんで分かった?」

ハルキは町を見ていた。家はある。店もある。道もある。けれど閉まっている。使われていない。人がいない。

何かが無い。

いや、何かが多すぎるのかもしれない。

宿屋の前を通った時、ひとりの老婆が顔を出した。

「リオ! 帰ったのかい!」

若者――リオが笑った。

「マーサ婆さん。客連れてきた」

マーサ婆さんはハルキを見て、何でもないことのように言った。

「旅人かい? 今日は無料でいいよ。どうせ空いてるからねぇ」

宿の中は広かった。広すぎるほどだった。テーブルも椅子も大量にある。二階もある。けれど、客は誰もいない。

「昔は満室だったんだよ。商人が来てねぇ、旅人が来てねぇ、冒険者が来てねぇ。王様もいた。賑やかだったよ」

マーサ婆さんは笑ったが、その笑いの奥には、長い時間をかけて静かになってしまった町の寂しさがあった。

その時、町の中心から鐘が鳴った。

ゴォォォォォン……。

リオが嫌そうな顔をした。

「……長老会だ。勇者様が来たって、多分騒いでる。行くぞ。面倒なことになる前に」

「だから、勇者じゃないんだけど」

「じゃあ何なんだ?」

ハルキは少し考えた。

「ハルキReboot事務所です」

リオは、さらに分からないという顔をした。

「……何?」

「いや、俺もよく分かってない」

町の中心へ向かう途中、ハルキはふと立ち止まった。広場の中央に、大きな王様の像があった。台座にはこう刻まれていた。

『未来は、王が導く』

ハルキはしばらくその文字を見ていた。

そして小さく言った。

「……違う気がするな」


次回予告

第3章「金貨はある。でも、種がない」へ続きます。

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