大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」
dive97
濁流の中、何とかよどみから川岸をたどって何とか陸に上がった。僕は、もうどうしていいかわからず、嵐が去って晴れ渡った空を見上げていた。師範は、青嵐と近くにいた人にここがどこか訪ねていた。どうやらかなり川下まで来たらしい。ただ師範はこの近くの町に同じ流派の知り合いがいるらしく、とりあえず事情を話して助けてもらおうということになった。歩いて町まで行く間に、河川港から荷を運んでいる人たちに会った。僕はすぐにその人たちに駆け寄り、尋ねた。
「你知道有人溺水在河里吗。」(誰か川でおぼれていた人を知りませんか。)
「不知道啊。昨天暴风雨很大。就算在也没救了。」(さあ、知らないな。昨日はひどい嵐だったし。もし、いたとしても助からないよ。)
「是吗。谢谢。」(そうですか。ありがとう。)
「啊,这么说来。听说从河里来的船沉了一只。总觉得上面坐着一位很了不起的官员。但是,没救了吧。」(ああ、そういえば。河上から来た船が一隻沈んだそうだな。なんだか偉い役人が乗っていたらしい。しかし、助からないだろ。)
どこかで僕たちみたいに川岸にたどり着いていないだろうか。そう思って川岸を見ながら歩く。師範が僕に
「就是那个姐姐。一定是有什么办法帮了我。官员们已经死了,也不会再追上来了。大家都能像原来那样生活。」(あの姉さんのことだ。きっと何かの術で助かっているさ。役人たちは死んでしまっただろうし、もう追ってはこない。みんな元通り暮らせるさ。 )
と言って励ましてくれる。巻き込んでしまった青嵐にも申し訳なくて
「青岚,对不起。我把你卷入了这样的事情中。」(青嵐、ごめんなさい。こんなことに巻き込んでしまって。)
「混蛋!别对师兄费心了好啊,你只考虑家人就好了。」(ばか!兄弟子に気使ってんじゃねえ。いいから、お前は家族のことだけ考えてりゃいいんだよ。)
「谢谢你,哥哥」(ありがとう、兄貴)
周りを気にしながら歩いていると、街が見えてきた。主要な街道は僕たちの居た町よりも広く、大きく、人通りも多い。僕は初めて見る大きな街にびっくりしていた。今日は祭りか何かの集まりがある日なのではないかと思うほど、人がごった返していた。僕と青嵐がビクビクしながら歩いていると師範が
「第一次来大城市吗?人应该很多吧。这里有有名的寺庙,作为门前町很繁荣。」(大きな街は初めてか?人がいっぱいだろう。ここには有名なお寺があって、その門前町として栄えているんだ。)
師範は街のことをよく知っているようで、いろいろ教えてくれた。街には青い色で染められた着物がつるされた店が何軒もあった。師範に聞くとあれは「藍染め」といい、この街でとれる蓼藍を原料に染められた織物だそうで、お寺のある山にたくさん生えているらしい。この名産品を求めて皆がこの街にやってくるのだそうだ。どおりで遠くから見ても、街の両側に鮮やかな青い看板のお店が何軒かあるのがわかる。近くまで行くと、店の中は真っ青だ。藍染め製品のお店を見ていたら何やら僕たちの鼻をくすぐるような、刺激的な香りがしてきた。どこから匂ってくるのだろうと思い匂っていると、師範が
「哦!这个味道真是担担面啊!对了,等我填好肚子再去吧。」(お!この匂いは担々麺だな!そうだ、腹ごしらえしてから行くか。)
と、教えてくれた。僕と青嵐は腹ペコだったのを思い出して、喜んだ。どんな食べ物だろう、と期待が高まって、店の前まで行った。匂いによだれが出て仕方がない。しかし、匂いに釣られて店に入りそうな僕たちを師範が帯を引いて引き止めた。もう、食べるばかりの僕たちに悔しそうな顔をした師範がボソッと言った。
「对不起。我丢了钱包。」(すまん。財布を無くした。)
僕と青嵐が崩れ落ちたのは言うまでもなかった。
dive98に続く・・・

