大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」

2021-08-15 18:46:00

dive93

 ひんやりとした山の朝、船着き場の近くの荷揚げ所が見通せる場所に三人は身を伏せていた。師範は僕を一人にすると何をするかわからない、という理由で青嵐に街道からの通行人を偵察に行かせた。その間に師範は役人たちのことを教えてくれた。彼らは西方の国の者たちと繋がっていて、自国の工芸品、特に陶器や絹織物、それに茶葉などを売って利益を得ているそうだ。それも国宝級のものを密輸しているらしい。その代わりに銀をもらっていたのだが、近頃はアヘンを仕入れて、国中でさばいている。国民から金をとりアヘン漬けにしている。国はそれを取り締まるはずなのに、あいつらは表では取り締まって、裏でそれをまた売っているという。まさに獅子身中の虫というわけだそうだ。清国は今、外国に食い物にされ、国民たちは大変な時だという。しかし、西方諸国に軍隊、最新の武器にかなわない。師範たちはそれでも、少しでも抵抗しようと皆に功夫(クンフー)を広めて対抗しようとしているらしい。そんな師範たちをあの役人たちは、難癖をつけては投獄しようとしてくるのだそうだ。あの役人もこの街にアヘンを売りに来ていた一人だという。おそらく、それをさばく連中のところに、姉さんの話を金目当てで流した奴がいたのではないかという。僕はパッと村長の顔が浮かんだ。いつでも、悪い奴らは繋がっているものだと教えてくれた。

 「行德,不能原谅这个国家腐败的官员们。这样下去会被外国统治。」(行徳、この国の腐った役人どもを許してはいけない。このままだと外国に支配されてしまう。)

 そう師範は言って、僕を見た。しかし、僕はただただ、家族を取り戻したいだけで、国なんてどうでもよかった。師範の言うことがわからないわけではない。町に行くと、時折アヘン中毒者であろう朦朧とした人を見ることもあったし、父さんにもあんな風になっちゃいけないよとさんざん言われていた。しかし、うちのお茶も買ってくれているのかもしれないと思うと複雑な気分だ。そのお金があって初めて僕は道場に通えていたのだから。僕は心の中のモヤモヤしたものを感じていた。良いことと悪いこと、強い人と弱い人、奪うものと奪われるもの、国の偉い人や町のお金持ちがみんな悪い人ではないだろうし、かといっていい人でもないだろう。そんなことをどうこう言うつもりはない。僕はあの優しい姉さんを、おいしいお茶を一生懸命作る父さんを、みんなをやさしく包んでくれる母さんを守りたい、そのためになら僕は、えらい役人に逆らっても、何ならあいつが父さんを切ったように、僕も・・・そう思っている僕の表情を師範がどうとらえたのか

 「八极拳是战场上的拳术。拥有一击必杀的破坏力。弄错使用方法的话会很麻烦。请只为了保护什么而使用。绝不是为了伤害别人。」(八極拳は戦場の拳法だ。一撃必殺の破壊力を持つ。使い方を間違えると大変なことになる。何かを守るためだけに使いなさい。決して人を傷つけるためのものではないよ。)

と道を外れないようにとくぎを刺した。

dive94に続く・・・

 

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