大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」
dive84
美雪姉ちゃんは、時々お花や、木に向かって目をつむり手をかざしてじっとしていることがある。僕は気になって、何をしているのか聞いてみた。
「お花や木から活力・・・うーーん、あふれてくる力のようなものをもらってるの。それを今度は元気のないものにあげたりしているのよ。この前行徳が助けてあげた鳥も元気がなかったでしょ。だからこうしてもらった力をあげたのよ。木も花も、石や水もみんな、この世界のものは力を与えてくれる。元気なものが与え、元気のないものがそれをもらう。この世界はそうやって回っているの。お姉ちゃんはその手助けをしているの。行徳はぴちぴちのお魚が好きよね。その元気をもらって行徳は大きくなるの。でもバッタみたいに捕まえて遊ぶとかは、ただ元気を奪うだけで、可哀そうでしょ。だから、もうしちゃだめよ。」
「うん、わかった。ねぇ、お姉ちゃん。僕にもできる?僕もお姉ちゃんみたいにやりたい。僕にも教えてお姉ちゃん。」
「うーーーん、これは教えてできるとかいうものじゃないの。ごめんね。お姉ちゃんどうやって教えていいかもわからないの。」
「やだ、やだ。僕もやりたい。やりたい。やりたい。」
「行徳!これは遊びじゃないの。あなたには見えない世界のお仕事なの。だから、わがまま言わないで。お姉ちゃんを困らせないで。」
「うーーーん。わかった。じゃあ、代わりにお話しして。お姉ちゃんのお話大好きなんだ。」
「わかってくれてありがとう。じゃあ、今日は、何のお話がいいかな?昔々の話がいいかな?異国の話がいいかな?それともずっと先の未来の話がいいかな?」
「異国の話がいい。」
「そう。じゃあ、そうね、ここ清の四川よりずっとずっと東の国。日本という国のお話。昔々あるところに・・・・・」
僕はこうやってお姉ちゃんにいろいろ不思議な話をしてもらって、お姉ちゃんにしか見えない世界のことを想像していた。そして原っぱに遊びに行っては、花に手をかざし、目をつむるというまねをしていた。まったく何にも感じないが、僕もその世界の住人になってお姉ちゃんに近づいた気がした。
僕も8歳になり、毎日そんな日が続いて楽しかったある日のこと、青嵐や飛も家の仕事の手伝いをしだし、皆で集まって遊ぶことも少なくなり、僕と玲玲だけで原っぱにいた時のことだった。いつものように花を見ていると、玲玲が
「あの川の岩場のところに咲く青いお花が欲しいの。」
と言って川の方へと僕を誘った。僕はお姉ちゃんに、川に行くのはもう少し大きくなってからと止められていたので、やめようと言うが玲玲は一人でいってしまった。そわそわして、どうしたものかと悩んだけれど、玲玲にもしものことがあるといけないので後を追いかけた。
「男のくせに意気地なしなんだから。」
玲玲がぶつぶつ怒りながら歩いている。追いかけるもどんどん岩場の方へ行ってしまう。ドキドキしながら追いかける。危ないよと話しかけるも、その言葉を振り払うように岩場をのぼっていく。手や足を滑らせたらどうしようと下でオロオロしている僕を挑発するように花に向かっていく玲玲。何とか花にたどり着き、花を懐に入れて降りようとした瞬間、岩場の中にいた蛇が出てきた。それに驚いた玲玲が慌てて手を放した。バランスを崩した体を支え切れるほどの腕力は玲玲になかった。2間(約4メートル)ほどの高さから岩場を転げ落ち何とか僕が受け止めたが、僕も倒れてしまった。気が付くと玲玲は頭から血を流し腕を痛めているようだ。僕の体も痛かったけど、玲玲を運ぶ方が先だと思うと何とか動けた。急いで玲玲をおんぶして家に向かい、お姉ちゃんを呼んだ。すると
「どうしたの、行徳。まあ!玲玲なんてこと!すぐそこに寝かせなさい。」
そう言うと、玲玲にどこが痛むか聞き、手をかざして祈りだした。お姉ちゃんが
「玲玲、約束して私がやることは絶対他の人に言わないでね。」
そう言って集中している。
その様子を見ていた僕は、家に着いたことでほっとして眠ってしまった。どれくらいたったのだろうか、気が付くとお姉ちゃんが僕にも手をかざしていてくれていた。
「お姉ちゃん、ごめんなさい。玲玲が・・・僕止めたんだけど、聞かなくて・・・ごめんなさい。・・・」
そう言って泣き出す僕をお姉ちゃんがしっかりと抱きしめて
「よく頑張ってここまで運んできたね。えらかったね。もう大丈夫だからね。」
と言ってくれた。叱られると思っていた僕は、ほっとしたのと疲れで泣きながら眠ってしまった。
その後、玲玲は歩けるぐらい元気になったので僕が家までおくっていった。玲玲にはお姉ちゃんに直してもらったことは他の人には絶対言っちゃだめだよと念を押して僕は家に帰った。
dive85に続く・・・・

