大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」
dive73
ひとしきり話が終わると早速、美雨がテーブルの上に何種類かの石を置いて座った。霊力を回復させるには自然界にある霊力を常に吸収するのが手っ取り早いそうで、外の霊力を媒介を通して取り込むことができるらしい。それがこの石。しかし、人それぞれ相性が良い石とそうでないものがあると言う。美雨が送る霊力がどの石を通るのが効率がいいかで判断するらしい。その石を持ち歩けば、常に自然界にあふれる霊力を取り込んで回復させてくれるらしい。そんな便利なものがあるのかと聞くと、特殊な石で滅多にないものなのであることと、その人に合うかどうかという問題もあるという。ここにあるもので合うかどうか試してみないとわからないという。美雨が集中して石に手をかざす。
「蓝生,请试着把手放在那里。」(藍生、手をかざしてみてください。)
なんとなくだが、数個の石の中で気になった黄色い石の近くに手をかざしてみた。
「你在意那个石头吗?」(その石が気になりますか?)
「总觉得很暖和・・」(なんとなく暖かく感じるもので・・
手のひらがだんだん暖かくなり何か炭酸水の泡がはじける様にぱちぱちというかピリピリしてきた。
「果然像那块石头啊。」(やはりその石のようですね)
そう言って美雨が黄色い石に集中したとたん手のピリピリがビリビリにランクアップした。
「可以吗?请考虑将流动而来的灵力储存在腹部深处。穿过脊梁骨。」(いいですか?流れて入ってくる霊力をおなかの底に貯める様に考えてください。背骨を通して。)
言われた通りに考える。手のひらのビリビリした電気が両腕を通り背骨で合流。大量の稲妻が腹の奥底のタンクに溜まっていくイメージで。
「是的。感觉很好。」(そうです。いい感じです。)
だんだん腹の底が暖かくなってきた。いったんそれを感じると何もイメージしなくてもどんどん流れ込んでくる。ああ、なんだか体に力がみなぎってくる。腹の底に太陽があるようだ。
「蓝生!请考虑一下那个力量围绕全身。」(藍生!その力が全身をめぐるよう考えてください。)
力を感じ、そこからあふれてくる流れを右足左足と回り、上に登って腰を通り左腕、左肩、頭右、右肩、右腕を通ってまた足の方へ。何分かしてくると、体を薄い膜のようなものが包んでいる感覚になってくる。驚いたことに目にも回るようにイメージしていたら薄い膜が白い靄のように見えるようになってきた。不思議に思い、まじまじと見ていると美雨が笑って見ていた。
「也看到蓝生了吗?」(藍生にも見えましたか?)
隣にいる麗華には何のことだかさっぱりわからないようで、いったいどうなってるのか聞いてくる。 立ち上がって飛んだり、体をひねったりしてみる。体が軽い。昨日までのだるさが嘘のようになくなってる。振り返った私を見て麗華が驚いている。
「蓝生!你的脸!脸!」(藍生!あなたの顔!顔が!)
顔がどうしたっていうんだ?触ってみるも特に痛いところもおかしなところもない。麗華は何を騒いでいるんだ?慌てて麗華が鏡を持ってくる。なんだよと思って見てみると、そこには若き頃の私の顔が・・・体だけじゃなく顔まで若返っている?
「美雨,这是怎么回事?」(美雨、これはどういうことですか?)
すると、美雨は霊力について詳しく教えてくれた。霊力とは自然界にあふれるエネルギーのこと。人間は皆持って生まれてくるが、大人になるにしたがって減っていく。これは人が社会的な生活をすることで失ってしまう。よく好きなことをして生きている人は生き生きしているというでしょう。あれは自然に霊力を使うことができる人たち。誰から教えられる訳でもなく取り込むこともできる。だからそういう人は若々しく病気を寄せ付けない。この世界はそういう力があふれているのに人間の方から遠ざけてしまっている。自然や動植物から遠ざかることは、この世界の生き物にとって己の首を絞めることに他ならないのである。自然を愛し、惜しみなく自分の霊力を与える者だけに、この世界は霊力というエネルギーを与えてくれる。仏が言う光あふれる世界というのはこの世のことなのかもしれない。そして霊力にあふれる者は老化が遅い。よくあるだろう憎しみで凝り固まった者の顔がしわしわの老人のようなことが。逆もまた然りということなのだ。だから今までよりも霊力を全身に回せるようになった私は体が若返ったのだという。
「麗華、你觉得我比你小吗?」(麗華、私はあなたより年下だと思いますか?)
さっきまで新しく妹ができたみたいに美雨を抱きしめていた麗華が今度は化け物でも見る様に遠ざかる。
「我今年70岁。」(私は今年で70歳です。)
それを聞いた麗華が、私も、私もと美雨に頼んだのは言うまでもない。そう、麗華も化け物の一員になったのだ。
dive74に続く・・・

