大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」

2020-08-27 22:01:00

dive66

 焼けてしまった呵呵を整理し、あとのことを寺の者に任せた。あの火災の中なぜか焼け残った小さな木製の看板。麗華に聞くと、この看板は、木に王さんが書いて、彫ったものだという。思いを込めて作ったこの看板にも王さんの霊力が宿っているのだろう。この看板だけは持っていこう。看板とあの麺棒、今まで貯めておいたお金持って寺へ、麗華と二人、覚悟を決めて登った。何度も通ったこの道、もうこれが最後かもしれない。こんなことでこの道をのぼることになって、さぞ深刻な顔をしているだろうと麗華の顔をのぞいてみると、意外なことに笑っていた。さすがに何を考えているのか不思議に思い聞いてみた。すると、

「因为是第一次旅行,所以是新婚旅行。」(初めての旅行だから、新婚旅行ね。)

といって笑った。恐れ入った。あなたと結婚してよかったと思わず言ってしまった。知らないところに行くのに不安はないのかと聞くと、

「你来自未来的日本。两个人去有什么不安?」(あなたは未来の日本から一人で来ました。二人で行くのに何の不安がありましょう?)

驚いた。確かにその通りだ。私は何も知らないこの時代この地に一人で来て何とか生き延び、自分のことだけでなく、他人事に首を突っ込み、結婚までして、挙句悪人退治までしようと言う人に、このまま生きても向かうであろう未来に、先乗りするくらいなんてことない人が、心配される覚えなどないのである。しかも今度は二人連れ。麗華は続けた。

「在比自己紧张的人面前,不能紧张。」(自分より緊張している人を前にして、緊張なんてできないわ。)

 私は、今わかった。我が家は、かかあ天下だ。あはははは。そうか、そうだな。うん、それでいい。いやそれがいいな。麗華、最高だ。

 笑いながら寺に入ってきた二人を見て、龍恵たちがぽかんとしていた。事情を話すと、龍恵も笑ってしまった。これが麗華の力なのかもしれないと龍恵が言った。あれから秘伝書を読み返し、複数人の時渡りの記述のところを読んでいたところ、別の書物に書いてあることがわかり、探して見つけたそうだ。早速読んで可能性が見えてきたと言っていた。何とか行けそうだ、私たちの新婚旅行へ。

 術の最終確認と注意事項を聞いているときに、千道のことを聞いてみた。すると、使い先にはいったものの、その後は行方不明で帰ってきていないそうだ。きっと行徳に合流したのではないかと龍恵は言う。ここ青龍寺には各地に別院、分院がある。今までここで修練してきたものたちがたくさんいる。今回の一連の騒動のことは皆に連絡しておくとのこと。千道がもしまだいるなら、いずれここにも連絡が来るので、未来の寺に寄ったら聞いてみればわかるはずだと。

 時渡りのことについて考えたことを龍恵に話してみた。いつの時代に渡ったかわかっているなら、そんなに急がなくてもその時代のちょっと前に飛べば先回りできるのではないか、と言うと、私がここで過ごしている間に私が年を食って体力が衰える。衰えれば時を渡ることに耐えられないかもしれない。ましてや戦うなど・・・と。何度も行うには霊力も体力も使う、それ相応に消耗するだろうと。どうやって時渡りの術の実験をしたと書いてあるのか、と聞くと少し先へ飛ぶというものに一匹の印をつけたオタマジャクシを持たせた。そして3か月後の同じ場所に渡り、そのオタマジャクシを確認する。3か月もの間オタマジャクシのままでいられる訳はないから、入れ替えていないことの証拠になる。その後犬や猫でも試したと自慢げに言ってきた。ちょっと待て麗華はオタマジャクシか?人では試してないのかと聞くと黙ってしまった。麗華には黙っておこうと思ったが、後ろで目を丸くして聞いていた。

 「哥哥和和尚一定会保护我。」(兄さんと和尚様が必ず守ってくださる。)

麗華が自分に気合を入れてるのを見て、うろたえていられないと覚悟を決めた。

dive67に続く・・・

 

 

 

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