大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」

2020-08-24 15:43:00

dive64

 燃えている。赤黒い炎を上げて。アッと声を上げたまま息が詰まって呼吸ができない。町の人たちが水をかけている。和尚に背中をたたかれ、我を取り戻す。まるで悪い夢を見ているようで、力が入らない。何とか駆け寄り一緒に水をかける。それを見て呆然としている和尚に早く寺に行くように言い、私は火を消す。水場が近かったこともあり、何とか収まった。幸い町の人たちが早く気付いたおかげで入口と客席の少しが燃えただけで済んだ。中に人がいなかったことが幸いだ。麗華を家にいさせて正解だった。大量の水をかけられ、びしょ濡れの看板の呵呵の文字が悲しく笑っているようで胸が痛む。どこまでも私たちを苦しめる行徳。悪が焼いた跡が私たちをあざ笑うかのように黒かった。とりあえず消し終えたので周りのみんなに礼を言い、寺に急いだ。寺へと向かうこの道は一本道。もしも、行徳が逃げてきたら鉢合わせになる。腰の麺棒を握りしめ、いつでも対応できるように神経をとがらせた。しかし、一向に誰にも会わないうちに山門まで来てしまった。寺はどうなったんだろう。恐る恐る中に入る。やけに静かだ。門の柱を握りしめていた手に何かの燃えカスがついていた。ん!これはお札?門に札ってことは、結界札か何かか?法力を操る者が張った結界を、こんなに簡単に破るとは、行徳の力は相当のものなのか。こんなに力があるのになぜ今まで襲ってこなかったのだ?いや、これなかったのかもしれない。何かを得て力が増したのかも知れない。あの石の力なのか?そんなことまで可能なのか。早く和尚と合流しなければ。そう思い境内を走る。本堂には誰もいない。修練堂を通り宿舎や和尚の部屋の方へ。奥の方で人の気配がする。一青だ。倒れている。引き起こし名前を呼ぶ。すぐに気が付いた一青は私を和尚の部屋の方へ。休んでいなさいと言い、部屋に入ると和尚が寝かされていた。そして傷ついた皆が私を和尚のもとに連れていく。和尚を呼ぶと目を開き、

「对不起。停不下来。他成了魔人。」(すまぬ。止められなかった。奴は魔人になった。)

円旺に聞くと、千道が使いに出て行き、少し経つと結界が破られる気配がして、奴が入ってきた。功夫、退魔術で迎撃したがあまりにも強く、損傷を与えられなかった。それでも何とか和尚たちが返ってくるまでと思って戦っていました。和尚の部屋の方には行かせまいと。そして先ほど和尚が返ってきて部屋の前でやられていた私たちを見て、飛び込んでいった。そして和尚と戦い、奴は出て行った。和尚は倒れ、休ませていたところですと。和尚は他の秘伝書は別の場所にあり、奴は知らない、それを奪いに来たのだと言う。秘伝書は円旺に任せてあるから心配せんでもよいと。戦っている間に行徳が、時を渡ったと言っていたそうだ。そして、もはやこの時代に用はないとも。和尚はそう言い咳き込んだ。襟元に血が飛んだ。そして四天王と私だけ残り皆を外に出した。私と円旺をそばに呼び、言った。円旺にこの先、和尚として『龍恵』を名乗れ、そして秘伝書を学びこの寺と人々を守れと。私には和尚の法力を移植すると。時渡りの術は特殊な霊力を持つ者にしかできないと言い、既に渡って来た私にしか頼めない。あいつを追い、止めてくれないかと。和尚の法力を譲り受ければ、術は使えるであろうというのだ。もう和尚には時間がないという。迷っている暇はない。四天王たちが私に頭を下げる。皆泣いている。承諾すると、和尚がゆっくりと起き上がり私の前に立った。そして次々と印を結び呪文を唱える。両手に光の玉を持っているようだ。その光の玉を呪文を唱えながら下腹あたりに入れていく。何か温かいものが体に流れ込んでくるようだ。そして和尚が手を放し倒れた瞬間、体の中を何かが暴れまわる。あまりの衝撃に私は気を失った。

dive65に続く・・・

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