大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」

2020-08-23 14:15:00

dive63

 いつものお使いがある月末になった。いよいよ、行徳捕獲大作戦の開戦の時だ。寺の者数人と私は呵呵に待機、千道が通り過ぎるのを待って後をつける。全員がいなくなると怪しまれるので寺には円旺、円静と円碧、小僧たちが残っている。私と円炎が先頭に立ち後を追う。その50メートル後を、和尚を先頭に残りの者が追う。私は行徳に顔を知られていない。隣町に入ると円炎はそのまま追い、私は裏通りの方へ。和尚たちも二手に分かれて追う。緊張でのどが渇く。一歩一歩進むたびに足が重くなる。頭の中で何度もシミュレーションを繰り返してきた。ここで捕まえ、術を永久に封印しなくては。しかし、相手だって反撃して来ないわけがない。役に立つかどうかわからないが、昔剣道を習っていたころを思い出し、店から70cmぐらいある麺棒を木刀代わりに腰に差してきた。円炎が三節棍なんか持ってくるから、私も何か持って行かなくちゃと思って。麗華にあんまり危ないことをしないでね、と言われたがいざとなったら得意の貫胴をかましてやる。

 和尚たちが追いついた。そして裏通りから前回待ち伏せていた路地の曲がり角に着いた。見つからないようにとちょっと覗くと人通りはなく表通りの方までは見通せないが、どうやら横への逃げ道はなさそうだ。横幅3mぐらいの建物と建物の間の道。ここに面している店の裏口の出入りぐらいにしか使われないだろう。軒のせいで影になり薄暗いところに、物置のように荷車などが置いてあり、捕り物をするにはちと狭いが、袋のネズミという具合に逃げ場はない。和尚が先陣を切って中に入っていく。冷静を装ってはいるが和尚の体から立ち上る霊気が普段何も感じない私にもわかるようだ。気が高まってるせいか心なしか若く見える。その先の荷物を超えれば大通りが見える。と、その時そこにいたのは円炎。皆、あたりを見回す。誰もいない。行徳の気すら感じない。何かおかしい。円炎が踵を返し千道を追う。しかし、誰にも会う様子もなく、使い先へ向かう。業を煮やした円炎が千道を捕まえ和尚のところへ連れてくる。すると、千道は笑ってこう言った。

「老师说得真对。和尚追着我来了。」(本当に師匠の言うとおりだ。和尚様が私を追ってきた。)

しまった!罠だ。愕然とした。力が抜け、背中に悪寒が走る。私たちが追ってくるのを、奴はわかっていた。千道はおとりだ。だとすると狙いは何だ。和尚が慌てて言った。

「是寺庙。赶回寺庙!」(寺じゃ。急いで寺に戻るのじゃ!)

そうか、寺の秘伝書だ。行徳の狡猾さに腹が立った。王さんの一件はこのための一石に過ぎなかったのだ。許せない。皆慌てて寺へ引き返す。円炎と小僧たちは体力のあるものは先に、私は和尚を連れて速足で帰る。和尚の無念さが伝わってくる。何かあるといけないので麗華には家に帰って、外に出るなと言っておいてよかった。もし麗華に危害が及ぶようなら和尚には悪いが私も魔道に落ちる覚悟だ。町の入り口に差し掛かった時、遠くから煙が見えた。いやな予感がする。和尚を置いて急ぐと、店が、呵呵が燃えていた。

dive64に続く・・・

Today's Schedule
2026.10.30 Friday