大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」
dive53
私の持論として『料理とは芸術を伴う錬金術である』と考えている。新しいものを作るには、今まであったものを何をどう作っているか理解し、材料に分解し、新たな方法に変えるか、状態を変えるか、はたまたデザインを変えるかという再構築するということに尽きる。また視覚、聴覚、触覚、嗅覚の上に絵画や彫刻では与えられない味覚が上乗せされるうえに健康状態さえ司ることのできる最高の芸術である。例えばチャーハン、ご飯と卵と具材を炒めたものだ。ここで卵を全卵にするも白身だけにするも自由、なくすことも。何の具に変えることも。味付けを変えれば、チキンライスも、どんどん卵の量を増やせばオムライスに、具を別にして餡にすれば餡掛けチャーハン、スープを入れれば雑炊のように。ご飯を揚げれば コーパー(おこげ)。ちょっと具材を変えるだけでもいろんなチャーハンになる、煮豚もあれば叉焼もハムや他の肉も、海鮮も、野菜も、ハーブも。味付けを変えれば、塩味、醤油、牡蠣油、みそ、カレー、ケチャップ、ピリ辛、ニンニクなどいくらでもできる。
今回はこの担々麺を分解しよう。材料は小麦の麺、これも検討しよう、今の麺はうどんに近いの平打ち麺。具はゴマ、落花生、葱、ニラ、豚肉のミンチ。味付けは醤油味に甘味と酸味、そして辣油。この辣油もブレンド次第で香りが変わる。そうだ、全体像を理解しよう。四川料理独特の甘味、辛味、酸味をバランスよく合わせ、食欲をそそを、甘味は脾臓を、辛味は肺臓を、塩味は腎臓を丈夫にする効能があると言われている。酸味は肝臓、胆嚢、目に効き、気血の流れを円滑にするには血液を浄化し、解毒作用があり、血管や皮膚、筋肉を引き締める。辛味は肺、鼻、大腸に作用し体内の濁気を排る。東洋医学において酸味は肝臓を、苦みは心臓出、養分を行き渡らせる。甘味は脾臓、胃、口に作用し食べ物を消化し栄養を吸収し全身に巡らせる。この作用があってこその担々麺。そうだこれを踏まえて再構築しよう。私の経験というフィルターを通して再構築だ。私の時代、そうだ、ラーメンのようなスープだ。しかしこのままスープを足せばゴマとナッツなどの具が乗った醤油ラーメンだ。そんなんじゃ担々麺でなくなる。もっとこう・・・私の時代にもあった担々麺はゴマのペーストを使っていた。しかしそれでは、私の過去にあったもののまねだ。この時代のものともっと融合して・・・・落花生もペーストにして・・・もっと濃厚に。それでもって野菜をたっぷりにして。辣油は辛いだけじゃなく、もっと香る感じのものにして、でもあんまり濃厚にしても・・・そこはお酢で絞めて輪郭をはっきりさせよう。そうだ豚ミンチをうまみたっぷりに炒めて・・・こうやって・・・ああやって・・・
だんだんイメージができてきた。これを試してみよう。楽しみだ。面白くなってきた。そう目を閉じて考えていると、横でドタッと大きな音が、王さんがまた倒れた。
dive54に続く・・・

