大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」
dive47
山を下りていく途中で和尚が
「有什么好吃的吗?」(ごちそうはなにかな?)
生臭坊主め!あっちこっちで御馳走になってるな、こいつめ!一仕事終えた感たっぷりに笑う和尚、しかし笑っている端に何か心配事でもあるような影を潜めていた。千道のことだろうか、それともこの石の一件のことだろうか。来たばかりの私にわかるわけないか。そういえば、霊力、体力ともに衰えて来たなんて言っていたのも気になるな。四天王のうち誰を次の和尚にするつもりなのかな。もめるような人たちじゃないだろうけど、法力の円旺が順当なんだろうけど、功夫の円炎は軍部、医薬と財務の円静、芸術、建築の円碧、それぞれ独立できそうだけど、どの世界もみな力を持てばそれぞれに、自分の船が欲しくなるものだ。どう渡っていくも、どんなふうに大きくするも、どこに行くのかも船長になればこそであり、それ以外はただ人の船に乗る作業員であり、従者だ。しかし、如何に寺であろうが、存続するための信者獲得など経済活動なくして、寄付のみで人は食べていけないのが現実。CEOさながら、かじ取り次第でどうなるか。経営、そして他の寺やスポンサーとの付き合い、それがしたい者もいれば、そんな煩わしいことにはかかわりたくない人もいるだろう。和尚も自分がそれをやってきて、その苦労を弟子にさせるのも気が進まないのもわかる。中小企業の社長みたいだな。そりゃ、たまには憂さ晴らしも無いとな。そういえば呵呵でほかの料理なんて食べたことないな。何が出てくるんだろう。私も楽しみだな。
呵呵に着くといつもとは違い、肉や魚の料理がたくさん用意されていた。おお、四川名物水煮牛肉(シュイジューニュールー、めちゃ辛唐辛子いっぱいゆで牛肉)、蒜泥白肉(スァンニーパイルー、ゆで豚の四川ニンニクソース)、口水鶏(コウシュイジー、よだれどり)、紅油餃子(香辛料香る濃厚甘醤油がけ水餃子)、魚香茄子(ユイシャンチェズ、甘辛酸っぱい茄子煮込み)干焼鮮魚(ガンシャオシェンユイ、揚げ魚の香味醤油煮込み)おおおおーーーーこれは四川名物の大宴会だ。
「来吧!大家吃吧。丽华,请给大家斟酒。干杯吧。」(さあ!みんなで食べましょう。麗華、みんなにお酒を注いであげて。乾杯しましょう。)
麗華さんが皆にお酌する。ではでは、麗華さんの盃には私が注ぎましょう。皆が盃を持ち、王さんに促されて和尚が一言、
「大家辛苦了。多亏了大家,人的生命才得救了。大家都很幸福,真是太好了。干杯!」(皆お疲れさまでした。皆のおかげで人の命を救うことができました。皆がとても幸せで大変良かったです。乾杯!)
「干杯!」
皆で盃を掲げて飲み干した。なんか日本の癖で拍手してしまったら、みんなが一緒にしてくれた。いやぁ、なんかうれしいね。それではいただきます。おお、やっぱり本場は辛いねー。ビールほしいけど、ないよねー。水餃子、やっぱり皮は手打ちが一番だね。皮うまいなー。魚は川魚だな。そりゃ四川だもんな。おお、ザーサイや干しえびで煮込んであるのか。うまい、何を食べてもうまい。やっぱり、王さんはすごいなー。盃を空けると麗華さんが老酒を注いでくれるので、知らないうちに飲みすぎちゃって、いい気分。久しぶりにこんな楽しい宴会、お酒を注いでくれる麗華さんが死別した妻のことを思い出させる。二人の息子が中学生ぐらいの時に学生の時から好きだった冬山登山に行ってそれっきり帰らぬ人になった。妻は一度きりの人生好きなことをしたいというタイプだったので、後悔はないと思うけど。麗華さんにお酌してもらいながら、彼女も笑顔のかわいい人だったな、としみじみ思いだしていると、王さんが、
「蓝生!我有个请求。你能嫁给丽华吗?」(藍生!頼みがあるんだ。麗華を嫁にもらってくれないか。)
えっ!
dive48に続く・・・

