大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」
dive46
寺には龍仁和尚を含め総勢21人が暮らしている。成人僧が15人、千道、一青たち小僧が5人。皆、普段は修錬の傍らこの寺の収入源である、藍染めの原料の蓼藍採取、畑仕事、加持祈祷をしている。成人僧の中でも4人が四天王の様に長になりそこに3人づつ弟弟子たちがついていて、それぞれが切磋琢磨している。食材や薬剤に長けた円静、功夫に秀でた円炎、法力に優れた円旺、建築全般、こと彫刻に至っては国宝級仏師の円碧の四天王は、小僧の時から龍仁の元で世話になり親子ともいえる間柄。それぞれに着く弟子たちもその属性に長ける者がついている。小僧たちは寺の雑用全般をこなし、先輩僧たちの世話もしている。その中でも千道は一番年上の16歳。和尚の世話をしながら小僧たちを仕切って面倒を見ている。一番下の一青は11歳、功夫が好きで円炎にあこがれている。
さて、いつも一緒に修練をしているが、あまり話したことなかったから、何かとっかかりがないかな、と考えていると円旺が話しかけてきた。
「你在向和尚请教什么术吗?我从你那里感觉到了强大的灵力。如果能借助佛的力量的话・・・」(あなたは和尚様から何か術を習っていますか?あなたからは強い霊力を感じます。もしも仏の力を借りることができれば・・・・)
「你一看就明白吗?你知道我的未来吗?怎样才能借助佛的力量呢?」(君は見るだけでわかるのか?私の未来が見えますか?どうしたら仏の力を借りることができますか?)
矢継ぎ早の質問攻めに円旺は手を見せろと言ってきた。両手を差し出すとじっと手のひらを見ている。どうやら手相を見ているようだ。
「你的双手有十字纹呢。这是祖先保护的纹饰,继承了力量。这双厚而厚的手,还有大拇指根部的膨胀是灵力丰富的证明。」(あなた両手に十字紋がありますね。先祖に守られ、力を受け継いでいます。この肉厚な手、親指の付け根のふくらみは豊富な霊力の証拠です。)
へー、そうなんだ。と他人事の様に感心していると、
「这个手相的人做很大的工作。」(こういう手相の人は大きな仕事を成し遂げます。)
そうだね、もうしたけどね。和尚に断らないと今までのことを話していいのかわからないので、この続きは次の機会にして、千道のことを聞いてみた。すると、私は和尚様にも認められているからと念を押され、話してくれた。器用だし筋もいいのだが何か隠している、2面性が強い、と。あれでは仏は力を貸してはくれん、貸してるれるのは闇のもの、そう魔物だ。しかし闇に落ちれば自分自身も・・・などと結構えぐいことも。いくら先輩が教えても表面上を取り繕っている状態なのだそうだ。一青たちに悪い影響が出なければいいが。和尚は知っているのかと聞くと、それとなく言ってはいるが和尚の前ではいい子を演じているようだと。どうも前の寺でも何か事件があったとか、よその寺に移った者のうわさで聞いたことがあるそうだ。いろいろ教えてくれたので、思い切ってこの前の一件について言ってみた。すると、気を付けて見張っておきます、とのこと。また、法力について教えてくれと言ってわかれた。きな臭い話ばかりだな。ちょっと見張っていたほうがよさそうだな。そう思いながら廊下を歩いているとき、そうだ、帰りに買ってきたお菓子を一青にあげなくちゃ、と思い出した。
一青を探していると野菜で籠にいっぱいにした円静がやってきた。うまそうな青菜がいっぱいだ。おっ!パンパンに張った茄子もある。ずっしりして濃い紫、さすが円静が育てたものだけある。ここの毎日の食事のうまいことったらない。
「圆静,今天也有很多看起来很好吃的蔬菜呢。」(円静さん、今日もうまそうな野菜でいっぱいですね)
「今天有很多茄子,所以做鱼香茄子。」(今日は茄子がいっぱいなので魚香茄子(ユイシャンチェズ)を作ります。)
「是我最喜欢的东西。期待着。」(私の大好物です。期待しています。)
土まみれの笑顔は私の期待を裏切ったことがない。店を出していたなら通いたいくらいだ。いやいや、一青を探さなくちゃと思ったら、土まみれの小僧が籠を持って走ってきた。
「蓝生!点心呢?」(藍生!お菓子は?)
一青だった。
「有啊!洗手之后!」(あるよ!手を洗った後な!)
一青は何も言わずに台所のほうへ全速力でかけていった。円静も笑っている、ちょうどいいので千道のことを聞いてみた。円静の顔が一瞬にして曇った。
「千道吗?又做了什么?」(千道ですか?また何かしでかしましたか?)
また?やはり、何か前にもあったのだろうか。聞くと他の寺に使いで連れて行ったときにその寺の書庫に無断で入ろうとしたり、私の薬草庫に入って盗んだりしてどうにも困っていまして。和尚にはそれとなく言うのですけど、和尚の前では・・・そのあとは円旺と同じだった。ちょっと和尚に言ったほうがいいのかもな、そう思ったが王さんのところに行く時間になってしまったので、手を洗って戻ってきた一青にお菓子をあげて、和尚とまた山を下りた。
dive47に続く・・・

