大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」

2020-07-19 13:43:00

dive35

 横浜にいる家族のことを思うと、どうにかして戻りたい。しかし、どうやって来たかも、戻り方もわからない。何とかして今を生き抜くよりしょうがない。大体、今いる世界があの時と繋がっているのかどうかすらわからない。前に何かで読んだことがある。この世界は一つではないと、無数の同じような世界が背中合わせになあっているパラレルワールドだと。もしも私が今いる世界と繋がっていたとしても私が歴史を変えてしまったら、あの世界のあの時間は、存在すらしなくなってしまう。そうなると私自身すら存在しなくなるかもしれない。まさにタイムパラドックスである。これも何かで読んだことだが、この世のすべての現象は必然であるということ。ならば、私がここに来たのも何か理由があるのではないか。戻れないと覚悟している私は、そう考えなければやりきれなかった。天を仰いでそんなことを考えていると、

「你是从哪里来的?」(そなたはどこから来たのじゃ?)

和尚は続けていった。

「有着某种重大使命。感到灵力。」(大きな使命を持っている。霊力を感じる。)

 私から何かを感じ取った和尚がじっと私を見ている。何か私を通して奥底にあるものを見るような目で。私はこの和尚ならもしかして力になってくれるかもしれないと思い、

「说了很长的话・・・」(長い話になりますが・・・)

「那么,请在里面喝茶」(では、奥でお茶でも)

 そう言われてお堂の奥の和尚の部屋に通された。

すっきりとした部屋には、不動明王の仏画と法具が置かれ、その横には書棚があり、びっしりと経典らしきものが並んでいる。新しいものもあれば、そうとう古いのか、ボロボロになっているものもあった。背面に品のいい組子細工が施された椅子に座り、お茶をいただく。あまり知られていないが、お茶は古くから四川で栽培され、最も重要な地とされてきた。歴史上、茶の生産は紀元前1066年より生産されていて、皇帝に献上されていた。

 「真是太甜了,好喝的茶啊。」(とてもあまい、おいしいお茶ですね。)                          「这是蒙顶甘露绿茶。」(これは蒙頂甘露という緑茶だよ)

 「四川的茶很有名。特别是这种茶。被皇帝献上了。」(四川のお茶は有名なんだよ。特にこのお茶はね。皇帝に献上されていたんだよ。)

 「那么,那么你是从哪里来的呢?」(さて、それでそなたはどこから来たのじゃね?)

 信じてもらえないかもしれないと思いながらも、私は素直にすべてを話した。たどたどしい切れ切れの中国語と筆談。身振り手振りで一生懸命伝えた。そして最後に、驚いて聞いている和尚に助けを求めた。

すると和尚は、意外にもすんなり受け入れ、壁際にある書棚のボロボロになった書物を持ってきた。なんと、そこには時を渡る術が書いてあるというのだ。しかし、それを行うにはたぐいまれな霊力を持つ者でなければならないという。何代も前の和尚が書き残したものだけに不確かなところも多い。それでも、すがるところはここしかない。家族の顔が浮かぶ、腹をくくった。

 「和尚,请让我修行」(和尚、修行させてください)

dive36に続く・・・・

 

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