大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」
dive31
1840年って、なんだっけ世界史でなんかやったよな。中国史で・・・そうだアヘン戦争だ。アヘン戦争ってあれだ、イギリスがヤクの売人で、売られた国中のヤクを焼却した中国に逆切れして侵略してきた、国策ヤクザな話だったよな。でもって香港よこせとか、おそろしいアジア侵略の時代の始まりじゃないか。さっきまでいた私の勤め先、まさにアジアそのものが襲われる感じだ。その真っただ中に来ちゃったのか。このころはまだ清国だったよな。このころの中国はヨーロッパに食い物にされまくった。最終的に日本も加わったが。因縁吹っ掛けられて攻め込まれるのくりかえしで内部崩壊していく。その清国の最後の王がラストエンペラー、愛新覚羅溥儀(あいしんかぐらふぎ)である。人口爆発が始まるもアヘンでボロボロ、教育が行き届かなく、侵略国に対抗できるすべもなく、茶葉、陶磁器、絹織物、美術品、スパイスなど、この国から欲しいものはいっぱいあるが、払う金がないから戦争だという禍々しい国々に対し矛先となる王、それが溥儀である。
今がそういう時代だということを踏まえて行動しないと、どうなってしまうか。まず、言葉がわからん。私の知ってる中国語なんてほんのちょっとだぞ!こういう時は寺だ!迷えるものはまず神仏に頼ろう。ジャンバルジャンだってそうしていたじゃないか。よし、さっきのあの人たちに聞いてみよう。
「庙在哪里?」(お寺はどこですか?)
「这是不是说青龙寺?」(青龍寺のことですか)
「是的」(そうです)
「在那个城镇之上」(あの町の上です)
そういって指をさした方向には街道沿いに何軒もの建物が続いていた。その街道の向こうに山が見える。そこに寺があるらしい。
「謝々!」(ありがとう)
早速、寺にいってみよう。街道を歩いて数分で気づいた。腹が減った。そういえば仕事を終えて何も食べてなかった。腹が減って寺場でたどり着けそうもない。何か食べるもの、あーなんだろうこの匂いは?香ばしい、スパイシーで・・・・なんだろう?なんでもいい何か食べたい。のども乾いた。何か・・・何か・・
「・・・・・嘿,你!嘿,你!嘿」(おい、あんた、おい、あんた、おい)
なんだ、誰かが何か言っている。体をゆすられる感覚で気が付く。あれ、目をつむっていたんだ。目を開けると男の人が私に話しかけている。何言ってんだ?それより私は、なんで地面に横たわっているのか?のどがカラカラだ・・・
「你的身体还好?」(あんた大丈夫か?)
「水、水・・・」
男が急いで何かを言い、女の人がどんぶりに水を持ってきた。どんぶりにむしゃぶりついて飲もうとするが力が入らず口元からだらだらこぼれていく。それでも少しづつのどを通っていく。まるで人の体を操っているようで、うまく体が動かない。なんだ、脱水症状か、もう一杯もらって飲んだが、その後の記憶がない。
起きるとどこかの家の中だった。固い土のベッドの上に麻の布が引いてある寝床の上に寝ているようだ。うすぼんやりした行燈の光でかろうじて見える感じだった。ソーラーバッテリーの腕時計を見ると夜中の3時、時計のライトであたりを照らすと本当にジャッキーチェンの映画で見たことあるような作りの部屋で、時代を感じさせる工芸品が飾ってある。はっと思い自分の荷物を確認する。取られたものは特になさそうだ。カバンの中にはいつも外国人と話すときに使う、筆談用の手帳とボールペン。財布にはクレジットカードと免許証と現金3万2520円。こんなものここでは役に立つまい。しかし中には息子たちとの写真もある。あと折り畳み傘にタオルなど。役に立ちそうなものはないし、金目のものもない。考えているとまた眠ってしまった。
ガタガタという音にびっくりして起きると朝のようだった。起き上がり部屋の外に出ると昨日の男がいた。
「謝謝你!謝謝你!」(ありがとう、ありがとう)
「你的身体还好?你饿了吗」(体は大丈夫か?腹減ったか?)
「是!我饿了!」(はい、腹ペコです)
「好吧!一起吃早餐吧」(そうか!朝飯を食べよう)
そういうとついて来いと言って家をすたすた出て行ってしまった。何か食べたい一心で縋り付くようについていく。まるで新しい店に働きに行って先輩に案内されるようだ、と思いちょっと笑ってしまった。
dive32に続く・・・

