大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」
dive28
翌朝、気が付くとあのまま眠ってしまったようで、ダイバースーツを握りしめていた。べたべたした体をシャワーですっきりさせると、なんだか気分もすっきりした。まだ6時、オウリンが来るまで、まだ時間がある。散歩でもしようかと、ちょっと外へ出てみると、近くの公園で太極拳をやっている人たちがいた。最近、鬼教官がいないのもあって運動不足なので、ちょっと体を動かそうと思い近くに行ってまねしてみた。ゆったりした動きで簡単そうに見えてこれが難しい。体重移動、というか重心を移動するというか。伸び上がり、踏み込み、呼吸、同時に行うのは達人級だな。紅美に習っている動きと似ているがちょっとちがうかな。でもこの動きを取り入れたらもっと強くなれるのかな。ちょっと復習で紅美に習っている型をやってみた。するとそれを見ていたおじいさんが
「それは、八極拳だな。あんたどこでそれを身に着けた。」
「ああ、四川省の友人に・・・よくわかりますね。おじいさんも功夫を?」
「詠春拳だよ。李小龍もやっていた。あと太極拳もね。」
「李って。ブルース・リーのこと?あれってジークンドウっていうのじゃないの?」
「ああそれは小龍が作ったもので、もともと詠春拳を習っていたんだよ。」
「八極拳は剛の拳だ。柔の太極拳を学び取り入れるといい。ほら構えてごらん。」そういうと俺の前に立った。
「打ってきなさい」
「えっ!いきなりそんな、おじいさん、いくら何でも・・・」
「いいから早く来んか?」
それじゃあと、八極拳の神髄、八極まで打ち抜く肘打ちを入れようと踏み込んだ。するとおじいさんに絡み取られるように威力を受け流される。何が起こっているのかよくわからないうちに、その場に寝ていた。青空が見える。呆気に取られていると、おじいさんが、
「どうじゃ、これが太極拳じゃ。直線的な突きを円の動きで無力化する。そして螺旋の道理により相手を打つ・・・」と言ってとどめの掌底を打とうとしたので
「まいった、まいった、ストップ!請停手!(やめてー)・・・すごいね『老師』(先生) 」
「ははは、どうじゃ、じじーもやるじゃろ。まあ、小人(子供)の突きもまあまあだったが、わしには効かんよ。どうじゃ教えてほしいか?」
「教えてほしいけど、今日深圳に行かなくてはならなくて。残念だけど・・・人を探さなくちゃならなくて。」
「そうか、しかしきっとお前にはそのうち必要な時が来るじゃろうて、その時までにまた来い。わしのことはこのあたりのものに『白狼』と聞けばわかるじゃろうから。探してみろ。おまえの後ろにただならぬものを感じて声をかけてみたが、まだその時ではなさそうじゃの。」
「えっ!なんかわからないけど、ありがとう。白狼じいさん。必ず来るよ。じゃあまた」
そう言って公園を後にした。
ホテルに帰るともうオウリンが来ていた。急いで支度をしチェックアウトをする。さっきの一戦でできた顔の傷を見てオウリンが心配そうに聞いてきた。
dive29に続く・・・

