大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」
dive18
無理やり食事を終わらせずるずると強引に二階の部屋に連れて行った。ジミーもさくらに何の事だかさっぱりわからないけどとりあえず行ってくるというしぐさを見せながらついてきた。俺はさくらがついてきていないことを確認するとドアを閉め小声で言った。
「ジミーこれから言うことは冗談でも何でもない。本気で言っている。急なことなんだけど、俺、会社を辞める。それから少し中国に行ってくる。」
「えっ!あっそう、そんなこと。なんだいつも決めたら急に行動するお前のことだからそんなことじゃ驚かないけど、何、今度は中華料理でも勉強しに行くの?お前の料理の腕もなかなかだもんなー」
「そんなことじゃないんだ。ジミー、プログラムのほうはできたか。」
「ああ、やっと完成したよ。お前の『キッド』。」
「おまえにも関係のある話なんだ。よく聞いてくれ。さくらが中学の時に奇病で入院していたの覚えてるよな。」
「ああ、でもよくなって今は元気じゃない?まさかまた悪いのか?」
「いや、さくらはもう大丈夫だ。あの病気の原因のことなんだが・・・・・・」
俺は今までのいきさつを何もかも話した。高2の夏休みに中国に行ったこと、そこで出会った村長の話、隣に越してきた紅美のこと、そしてスーツのこと、会社のこと。順を追って話すたびにジミーの顔が深刻になっていくのがわかる。そしてジミーもこれはマジなんだということに愕然としていく。最後に今日あった社長たちのことを話した時にはもう俺もジミーも喉がカラカラになっていた。ジミーに話を整理して理解する時間と水分補給のために一息入れ、下に水を取りに行った。さくらは洗い物をしている。その背中が寂しげに小さく見える。何とかさくらだけでもかかわらないでいられる方法はないか考えようと決意し水をもって上に戻るとジミーがもう限界だと言わんばかりにペットボトルを俺からむしり取る。飲んでも飲んでも喉が渇く。最後のダメ押しで俺が体を小さくする術をやって見せようとするとジミーが止めた。
「いいよ。今それやらなくてもお前の言ったことは信じるよ。で、紅美から連絡はないのか?黄さんは?会社辞めるにしても明日課長に提出してプレゼンしなけりゃ怪しまれないか。首にするって言ってるんだったらそれを待ったほうが自然じゃないか。お前がこの件を知っているなんて奴らはしらないんだろ。」
「ああ、おそらく。お前を巻き込んじゃって悪いんだけど、俺にはお前しか頼るやつがいないんだ。だけどお前もプログラムのことで何かやつらに調べられないか?お前も何か理由をつけて会社を辞めたほうが・・・」
「いや、待て俺が辞めたらあいつらの動きを調べられる奴がいなくなるじゃないか。曲がりなりにもグループ会社の社員だし、このプログラムを作ったのは俺だ。出入りするのも疑われることもないだろう。会社にも特にお前とつながりがないと思わせておいたほうが、こっちにとっては有利だ。うん、俺は内部情報をお前に逐一報告してやる。そのほうがおまえも戦いやすいだろ。」
「ああそうだな・・・・いやお前何言ってんのかわかってんの?あんな危険なところに残るっていうのか?村を焼き討ちにするような奴らだぞ。俺はさくらも大事だけどお前も大事なんだ。できれば二人ともにげてほしいんだよ。」
「馬鹿かお前は、お前ひとりで何ができるんだよ。さくらちゃんはともかく俺はおまえの相棒だろ、もっと信頼しろよ。俺には何でも頼めばいい。お前にとって俺が大事なように、俺にとってもお前が大事なんだ。まあどちらかというとさくらちゃんのが大事だが。こんな時になんだけど俺も大事な話がある。いずれお前をお兄さんと呼びたいと思っている。この意味わかるな。」
「えっ!何!お兄さん、なんでお前タメじゃん。誕生日だって俺よか後だし。」
「おまえほんとに鈍いな。俺この前さくらちゃんに告ったの。そんで一応『いいよ。』って。だからいずれおまえのことを・・・」
「なにーーーーー。お前がさくらと・・・・・。そうだったの・・・・さくら『いいよ』って。そんであいつ『幸せだよ』って言ってたのか・・・・・。俺どんな奴が妹のいい旦那さんになるのかいろいろ考えていたけど、俺の想像できる範囲で・・お前以上の奴はいないと思う。・・・・ちょっと早いけどさくらをよろしくな。っていうか兄弟そろってお世話かけるなー。そうかさくらお前のことを・・・・あいつ見る目あるなー。じゃあ二人でさくらを守るってことでいいな、ジミー、いや弟よ。」
「でだ、明日はちゃんとプレゼンするんだ。それから休みを取るって言ってあるんだろ。だったらとりあえずそういって休めばいい。首にしてもらったほうが好都合じゃないか。そのほうが関係が切れるから怪しまれずに行動できるだろ。それよりお前、紅美さんだよ。もう家族が殺されているかもしれないんだぞ。早く中国に行ったほうがいいんじゃないのか。それに戦うったってどうしたらいいのかわかんないだろ。それにお前一度その寺ってところに行って、和尚に会ってきたらどうだ。社長たちに情報が漏れた原因も探らないと、誰か裏切りものがいるんじゃないのか?」
「やっぱりお前は頼りになるな。パニックになっていてそんなことまであたまがまわらなかったよ。よしそれで行こう。じゃあこの話はそういうことにして、早速スーツとキッドを接続してみよう。」
そう言ってさっさとスーツを着出す俺を見て心配そうにジミーがゴーグルを手渡した。

