大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」

2020-04-06 18:11:00

dive6

「知っています、ここで修業を共にした者です。彼らは下の村の住人であった。ここに来る前に彼らの友人がそなたの娘と同じ病にかかりこの寺に相談に来た。先代の和尚龍仁が話を聞きあの術で石を出そうとしたが失敗し、まもなく友人は亡くなってしまった。そしてこの病の治療法、その原因を学び、術をある程度習得した後に町に降り、自分で店を切り盛りするかたわら修行に励んだ。なぜならあの術は術だけでは完成しない。特殊な霊力を持つ料理人がその霊力を込めた麺料理にしかあの石は現れない。料理人自身はその霊力に気づいてはいないだろうが、毎日心を込めて料理を作っている間に知らずと出来るようになるのだそうだ。仏師が仏像に魂を込めるようなものだろう。その料理には霊力の結晶のような石が現れるようになる。石は普通の人の大きさから考えれば目にも見えない大きさなのだが、自分をその世界に送り込むあの術を使えばつかみとることのできる大きさになる。しかしあの石にはその作り手の霊力が込められているので、善き心のものが作れば善き石となり、悪しき心のものが作ればいくら美味しい料理でも恐ろしいものになる。よくあるであろう、どんなに売れている店に行って食事をしても全く持って幸せな気分にならないということが。普通に人が食しても少なからず影響は出るものじゃ。人を幸せにするものを作るということは、すべて作り手の気持ち次第なのじゃ。ここで一つ問題がある。悪しき心の持ち主が作ったものに現れる石はどんな作用があるかということじゃ。人の持つ悪い部分を結晶化したようなものじゃから病にもなるし、争い、暴力など様々な悪しき影響が出てくる。そなたの娘が病になったのもそのせいじゃ。おそらくどこかでその結晶を飲まされたのであろう。こういう悪の結晶というものは心優しき者には強く影響を及ぼす。彼らの友人もそのひとり、そなたの娘もまたその一人ということじゃ。あの石には作り手たちの思いにより数種類存在することがわかってきている。善きものほど光り輝き、悪しきものほど漆黒になってゆく。石については簡単に言うとこれくらいじゃ。もう一つ彼らについてじゃが、彼らはこの寺の秘術をもう一つ体得していった。それは時を渡る術じゃ。まだ自由に使えるわけではないが霊力が高みに達すればある程度の移動は可能であろう。その彼らが少し先の世界に行って視てきたことを私に警告してきた。『この寺の秘術を知る者がほかにもいる。悪しき石によって混乱を招き世界を破滅させようとする。霊力も強く、このままでは未来が危うい。新たな心清き潜師を育てるべきではないか。』ということであった。そこでそなたたちに頼みがある。娘よ、そなたここで修業をして潜師にならぬか。おいそれと体得できる術ではないが、石に縁がある者は霊力も高いという。そなた手を見せてみなさい。」

そういうと娘の両掌を見て驚いた。

「そなた、両の手に十字が・・・もはや迷いはない。それは先祖に守られ、たぐいまれな霊力を持つものに生まれ持って記されるもの・・・・・彼らが言ったことでまだ伝えてないことがある。『手に十字を持つものがここを訪れる。その者こそ未来を救う礎となる一族のものだ.。」と』

「和尚様、そんなこと突然言われても、娘はそんな・・・なあ、おまえ・・・・」

dive7nに続く・・・

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