大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」

2020-04-03 20:01:00

dive2

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そう娘に言いつけるとゆっくりとしてしかし無駄のない動きで自分は外に出て行ってしまった。こじんまりとしていて清潔感というよりどこか凛とした部屋に案内されほっとして横になり休んでいると先ほどの娘、紅美が呼びに来た。さっきは普段着のようだったが、今度はとてもきれいな民族衣装に身を包み髪にも飾りがいっぱいでちょっとびっくりしている俺を微笑みながらじっと見て

「お待ちしておりました。」

といった。

(なんだ『、お待たせしました』の間違いじゃないのか)

と思いながら気の抜けたようにふらふらついていった。寝起きでぼーっとしていたというよりその美しさに見とれていたのだ。

(いいにおいだな。日本にはいないタイプでなんかいいなー)

と思っていた俺の心を背中で感じ取ったのか急に振り返って

「びっくりしないでね」

と言い最初に通してくれた部屋よりもさらに通路を奥に進み、突き当りの壁にかかる龍の口の中に手を入れると何かが動き出した。おどろいてる俺をよそに紅美は先ほどまでの愛らしい顔つきとは変わり、真剣なというかちょっと怖いぐらいの表情だった。木の軋む音と振動が止まると真っ赤な横の壁が割れ中から村長が出てきた。村長まで民族衣装を身に着けていた。おそらくこれがこの村の正装なのであろうがこんな豪華というか、美しい衣装を見たのは初めてだ。さらに驚くのは表から見た村長の家の大きさからは考えられないほどの広さの広間にこの村の住民すべてが正装をしてひざまづいているのだ。あっちにいるのは今朝話したおっさん。こっちにいたのは畑にいたおばあさん。川で野菜を洗っていたお姉さんに俺を追いかけまわしていた子供。みんな普段着というか野良着に近いような格好で不愛想だった人たちがさっきの紅美のような顔つきをしてこっちを見ている。何が起こっているのかきょとんとして紅美を見ると俺の手を取り上座の中央の席に案内してくれた。そろそろと座る俺の右には村長、左には紅美が座り皆も席に着いたときには静まり返っていた。村長が盃を持ち立ち上がって皆の期待を受け、静けさを割って厳かに話し出した。

「我ら一族の恩を返す時がやってきた。一同のもの今こそ我らの宿命を果たすとき。この若者にわれら一族の力を与えようぞ。」

そういうと盃を高々と掲げ一気に飲み干した。村人たちも一斉に立ち上がり覇気とともに盃を開けた。紅美が一人席を立ち中央に行くとゆっくりと歌い出した。なんと美しい声だ。清らかなその歌声からは何とも言えぬ温かさと光を感じた。歌っている歌詞は全く理解できないのになぜだか村人と一緒に俺まで泣いていた。それを見た村長は俺の肩を抱き、酒を注いだ。そこでふと我に返った俺は思い出した。上座近くにいる村人たちは前にこの村に来た時にそっけなく俺を追い返した人たちじゃないか。どういうことだ。そんな風に怪訝な顔をしている俺に村長がこの村の伝説をじっくりと話してくれた。

dive3nに続く・・・

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