大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」

2025-06-07 18:04:00

dive109

修行を始めて二年くらい経った頃、久しぶりに白龍師範がやって来た。後ろ手に組んだ姿がとても道場師範ぽくて少し笑っていると、その後ろに大きな荷物を持った大男を引き連れていたので、何かと思ってよくみたら、それは成長した青嵐だった。

「師範、お久しぶりです。青嵐兄、なんかでかくなったね。」

「おお、久しぶりだな行徳。お前も結構良い体つきになってきたじゃないか?ちなみに青嵐は今、ウチの道場で師範代をやっているんだぞ。どうだ、すごいだろ?それより、和尚様はいるか?」

「はい、今呼んできます。」

僕は急いで和尚様を呼びに行こうと振り返るとそこには円信兄がいた。

見るとギラついた目で白龍師範のことを睨みつけていた。どうしたのかなと思い見ていると、僕の肩をつかみ横へどけるなり、うなるように

「ハクリューーーー」

と叫ぶと、白龍師範に飛びかかった。対する白龍師範も

「エンシンーーー」

走る勢いに乗せ、渾身のひざ蹴りを繰り出す円信兄。それ左足を引いていなし、円信兄の勢いに反撃のような裏拳。それをかわし、その身体を左へひねる力を利用して右手掌底打をみぞおちに。師範はその掌底を身体をひねる勢いにのせてはらいのける。その円信兄の右腕をつかみ手首の関節を取り、手の甲を押し下げきめる。円信兄はそのきめられた 方向へと前転し関節技を外す。外した手で逆に円信兄が手首の関節をきめる。白龍はその腕を取らせたまま円信兄の方に体を寄せ左足を軸にくるりと反転させ関節技を外しその肘で円信兄のみぞおちに裡門頂肘をくらわす。それを身体をひねりかわす円信兄。

 バッと離れ、睨み合う2人を見ておろおろしている僕、たまらずにこえをもらす。

「円!」

言いかけた声と同時に

「まあまあだな、サボってなかったようだな、円信。」

「フン、その程度で和尚に勝てると思うなよ、白龍。」

ぬ、ぬ、ぬははははは、

あはははは

「いやー、あれをかわされるとは思ってなかったよ、円信。」

「俺も、ギリギリだったよ。あの体勢、あの距離からの裡門頂肘を打ってくるとは。」

「久しぶりに 本気の手合わせができて良かったよ。今日は頼みがあって来たんだ。和尚様はいるか?お前にも協力して欲しいんだけど。」

「う~~ん?協力だと?うちの寺に金などないぞ。さては、何かやらかしたのか?おまえはいつもそうやって、」

「金が無いことぐらい分かっておるわ。何も迷惑をかけようっていうんじゃないんだ。うちの道場の連中と合同練習というか、試合何かどうかなと思って。寺のみんなもたまには他の者とやったほうが稽古になるだろ?」

「なんだ、そういう話なら俺たちも協力するぞ。ちょっと待て、和尚を呼んでくる。」

そう言って円信兄は和尚様のところにかけていった。僕は久しぶりに会った青嵐兄に道場のみんなのことを聞いてみた。

 「青嵐、みんなは元気?李たちは強くなってる?」

「ああ、行徳。みんな強くなったぞ!お前も何かたくましくなったな。みんな会いたがっていたぞ!」

「白龍師範、姉さん達の情報は何かありませんか?」

「ああ、そのことなんだが、行徳。残念ながらお姉さん達の情報は、今のところ確かなものはないんだ。だが、あの黒衣を着ていた奴らの仲間と思われる奴らがお前の家の辺りをうろついている。あいつらもお前の姉さんを探しているみたいだぞ。 」

 「えっ!まだ、うちを探してる?おかしいですよね。僕が探すのは生きていると信じているからだけど、あいつらがまだ探しているって、何か生きている痕跡があるってことじゃないんですか?」

「そうなんだよ。それで俺たちもあいつらのことを探ってみたんだ。そうしたらあいつらの帰っていった先が、国の役人たちのところだったんだ。その後、お前の家に行くのを見計らって、俺が茶園を尋ねるふりをしてみたんだ。」

「師範、危ないですよ。」

「まあ、あの時いたやつはいなかったのは確認済みだったから、大丈夫だよ。それで茶園の主人を訪ねてきた旨を伝えると (主人夫婦は川で死んだ。それで娘を探している。何か知っているなら教えろ。)と言ってきた。怪しまれないように、最近、町に茶葉を売りに来ないので、買い付けついでに様子を見に来たと伝え、追い払われるようにして帰った。」

「そんな、父さん、母さんが。死んだ。・・・・でも姉さんは見つかってないんだね!なら、生きているよ、絶対に。そうさ、そうに決まっている。」

「御両親はどうやら下流の方で遺体があがったらしい。お姉さんのことは俺達も探しているが、何の手がかりもない。一つあるとすれば、役人たちを追うことだけだ。そう思って奴らの動きを見張っている。」

「師範、父さん達の遺体は.・・・・・僕も行って、」

「まあ待て。下流の村にある寺に葬ってあるが、そこにも見張りがいる。お前が行けば今度はお前が人質にされてお姉さんを誘き出す餌にされる。そんなことになったら俺はお前の御両親やお姉さんに何と詫びればいい。」

「ごめんなさい。師範。僕もうどうしたらいいか分からなくって」

「まあいい。寺にも何か解ったら連絡してくれるように言っておいた。お姉さんはきっと生きていると俺達も信じている。だが、頭の良いお姉さんの事だ、きっとこの状況も解っているから出てこないのだろう。それが生きているっていう証拠じゃないか?お前がお姉さんに会いたいって思っているのと同じようにお姉さんだってそう思っているに違いないが、早々出てくることもできない。多分、そんな感じだと思うよ。」

 

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