ごあいさつ

インフォメーション

2018-10-26 18:51:00
kikai1.jpg

10月はほぼ毎日全身麻酔を必要とするような外科手術をしています。他の月と比べて多いような気がしますが、私が大学を出て2番目に勤めた病院は手術が多い病院で、朝から晩まで一般診療と並行して様々な手術をしておりました。助手、術者、麻酔と内容によって様々な勉強をさせてもらいました。私は器用でもなく、特に手術が好きというわけでもないのですが、たまたま若い時から手術を多くさせていただいていたので、今では過度に緊張することもないのですが、やはり大切な命をお預かりしていると思うと、それなりのストレスがかかるようで、夜も死んだように眠れます。

最近、腫瘍を切除する手術が続いたので、ちょっと触れてみたいと思います。例えば20年くらい前だったら、手術時間が2時間かかった手術が、現在では1時間以内で確実に終わってしまうよになっています。多くの腫瘍摘出術は手技が簡単になってきているということです。その大きな理由は、手術の3要素である、切る、止める、縫う、これらを機械任せにできる部分が増えてきたからです。もちろん操作するのは人間ですが、機械は正確で速いため、その分時間は短縮し、麻酔医も時間が短くなる分リスクが軽減するので多少は楽になるという、皆さんにとってもウイン、ウインということなのです。

写真は、私が好んで使う、半導体メス、これは組織を剥離するときに使いますが、これを使うと、ほとんど出血をしないので、術野がきれいにできます。超音波メス、これは、腫瘍に入り込んでいる太い血管を挟むと、血管がシールされると同時にカットされます。前者も同じ作用ですが、こちらはより太い血管に対応できるというメリットがあるので、使い分けております。このほかにも、腫瘍を摘出するのではなく、直接気体にしてしまう、蒸散と言いますが、その時に使う二酸化炭素レーザー。冷却して細胞を死滅させる液体窒素手術など腫瘍手術にはさまざまな兵器があります。私のように特に外科手術のスペシャリストではなくても、ある程度のことができるようになったのは、手術機械の技術革新のおかげだと思って感謝しております。ですが、高価なのが最大の悩みです。