介護職員処遇改善支援補助金(9000円ベースアップ)

2022年2月から開始された「介護職員処遇改善支援補助金」

毎月の給料が9,000円上がる!と喜ばれた方もいらっしゃるかと思いますが、この補助金について解説致します。

 

①給料が毎月9,000円上がるの?

結論から申し上げると、ほぼ上がらないと考えた方がいいでしょう。

この度の処遇改善支援補助金も通常の処遇改善と同様、事業所の売り上げに直結しています。

このベースアップや手当の元となるお金の動きについても通常の処遇改善とほぼ同じです。(利用者負担はなし)

通常の処遇改善についての説明はこちらのリンクからご確認ください。

 

また、事業所のサービス種類によって交付率が変わってくるのも今までの加算率の考えと同様です。

各サービス種別の交付率は以下の通りです。

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考え方としては事業所の売り上げに交付率を乗じた額がその事業所に入る処遇改善支援補助金の額となります。

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②すべての会社でもらえるの?

まず、この度の手当等を支払うための財源となるこの補助金を会社が貰う為には、会社が2つの条件を事前にクリアしていることが必要となります。

前提条件1は、事業所が通常の処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを算定していることです。いままで処遇改善手当等が支払われているところではほとんどの場合対象となります。

前提条件2は、2022年の2月若しくは3月に賃金の改善を行うことです。

この前提条件2つを2~3月までにクリアし、行政に報告することで、補助金が会社に入ってくる準備が整います。

便宜上、先の画像には会社にお金が入った後に職員にわたっているように載せていますが、実際は逆です。

会社視点では、今回の手当を支払った後に財源の補助金がはいる仕組みで、前払いとなります。

以上の条件から、この2月3月分の給与(遅くても4月の給料日)で賃金改善がない場合、その会社には処遇改善支援補助金が交付されないということになります。(10月以降は同じような内容で加算が始まる予定なのでそちらに期待しましょう・・・)

 

③結局誰がいくらもらえるの?

今回の手当の対象は介護職員のみではありません。その事業所に所属する者であればだれでも対象となりえます。

但し、この補助金の目的が「新型コロナや高齢化の最前線で働く介護職員の処遇の改善」にある為、政府の出した要綱には、介護職員以外の支給対象者に多額の手当を支払う事等がないような趣旨の但し書きがあります。

いくら貰えるのかについては、その事業所の売り上げの多さと、支給対象となる職員の数、会社が誰に支払いたいかによります。

先ほどのデイサービスの例を挙げると、1人当たりの手当額が約8,300円となりました。

この額をそのまま支給する事業所もあるかもしれませんが、国は2/3以上を毎月支払うようにとしています。

残りの1/3未満に関しては、ボーナス等に充てていいこととしています。

その理由としては、この手当の元となる補助金自体が売り上げに応じて変動するため、会社の財布に少し余裕を残しておかないと、売り上げが減ったときに規定していた額が支払えないことが起こってしまうからです。

また、会社分の社会保険料は基本的に控除されると思います。

以下が一人当たりの支給例です。この例はあくまで支給方法の一例ですので、会社によって異なります。

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④恒久的に貰えるの?

この制度は2月から9月までの間の臨時的な措置ですが、10月以降は介護報酬改定により、通常の処遇改善と同じような位置づけで「加算」として続くことになると思われます。内容は今回の補助金とほぼ同じようになるとは思われますが、変更される可能性もあります。

今のところ政府の案では、特養を除く介護保険施設以外では、2~9月の補助金の補助率よりも、10月以降の加算率の方が少し上回っています。(下表参照)

ただし!2月~9月までの補助金を計算する際に基準となる会社の売り上げには、処遇改善加算もすべて含まれた額×補助率です。

10月からの加算は当然処遇改善加算は計算の元となる額からは除かれると思いますので、実際貰える額は減っちゃう可能性があります・・・。

(例)デイの売り上げ500万円(純粋な売り上げ450万円+処遇改善加算等50万円)

2~9月の補助金の場合:500万円×1%=50,000円

10月以降の加算の場合:450万円×1.1%=49,500円

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いずれにせよ処遇が改善していくことは間違いないので社会を支える介護職員にすればうれしい制度ですね。