処遇改善加算(手当)の仕組み

介護職員が気になる手当NO.1!

介護職員処遇改善手当についてご説明します。

厚生労働省等の行政のホームページにも説明はありますが、制度自体が複雑なうえ変更も度々あり、なかなか読み解きづらい面があります。あくまで受け取る側の介護職員から見た場合の、お金の流れや支給の方法に絞って、わかりやすく解説したいと思います。わかりやすく解説する過程で、どうしても制度を厳密に解釈した場合と、微妙に異なる部分も出て来てしまうとは思いますが、本来の趣旨と大きくかけ離れた説明はしておりませんので、ご容赦ください。

2022年2月から開始された処遇改善支援補助金についての解説ページを作成しました!

処遇改善支援補助金(毎月9000円ベースアップの処遇改善)についてはこちらご覧ください。

弊社の2020年度の処遇改善手当の支給額が決定しました!

詳しくはこちらをご確認ください。

 

①そもそも処遇改善手当ってなに??

 介護職員としてある程度勤められている方であれば聞きなじみがあると思いますが、新卒や他業種から介護業界に入られた方は聞きなれない言葉だとおもいます。

 処遇改善手当とは、読んで字のごとく、介護職員の処遇改善するためにお支払いするお手当です。(会社によっては処遇改善手当の呼び名が変わることがあります)

 このお手当が出来た経緯には少子高齢化が強く関わっていると考えます。高齢社会で介護のニーズは今後ますます高まってきますが、介護職は給料が低いというイメージが以前より根強くあり、人材を集めることが困難な状況です。

 しかし、これからの日本を支えていくためには必要不可欠な仕事です。どうにかして処遇を改善しなければいけない!と考えた国がこの制度を作りました。

 国は、現在の処遇改善加算Ⅰを取得している事業所で、毎月3万7千円の上乗せ支給を目標としております(当社の場合、昨年度実績で一人当たり月約7万円、年間89万円の上乗せ支給をすることができました。)

 つまり、【必要不可欠な介護職員の収入をもっと増やして人手不足を解消しよう!】という目的で、給料上乗せ分の手当として国が創設した制度です。

 

②会社が出してくれるの?

 支給自体は会社が行いますが、元をたどれば利用者さんや国等が支出しています。

 デイサービスやヘルパー、特養などの介護保険サービスにそれぞれ一定の率が定められており、各事業所での利用者一人当たりの売り上げに対して、その率を掛け算した額が処遇改善加算というものになります。病院の看護助手や、住宅型有料老人ホームなどは介護保険サービスではないため対象ではありません。(住宅型有料老人ホーム職員とヘルパーやデイ職員を兼務していれば支給対象になり得ます。)

それぞれの率は下の表のとおりです。(2017年4月~)

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 処遇改善加算にはⅠ~Ⅲまであり、Ⅰが一番高い率となっています。ご自身の所属する事業所がどの加算を算定しているのかの確認は、サービス利用票・提供票の2枚目に記載されているのでそちらで確かめてみてください。(もともと加算を貰えるような届出をしていない場合は記載されません)

 弊社の場合は全事業所が処遇改善加算Ⅰを算定しているので、「菊川デイサービスひかり」の提供表を例にすると、次のように表記されることになります。

(1枚目)

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(2枚目)

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 ここからは、実際に処遇改善加算額の計算方法を説明いたします。

 Aさんが利用しているデイサービスの自己負担額が1000円だった場合(1割負担)を考えてみましょう。

 残りの9割は介護給付として介護保険から会社に振り込まれるので、会社の収入は合計して10000円になります。デイサービスの処遇改善加算の率は、一番高い水準(処遇改善加算Ⅰ)で5.9%なのでその率で処遇改善加算の額を計算をすると、

 10000円×5.9%=590円

 となり、590円分の処遇改善加算が、まずは会社に入ることになります。そして、この590円が処遇改善手当として皆さんにいきわたるという仕組みです。

 先ほど例示しました「菊川デイサービスひかり」の提供票も同じように計算していただくと、【通所介護合計7803単位×5.9%=460.337単位】で提供票の表記通り460単位(4600円)となります。

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(実際は590円から社会保険料等が差し引かれた額となりますが、分かりやすいようにそのまま記載しています。)

 もちろん利用者はAさん一人ではないので、すべての利用者分の処遇改善加算を合計した額が処遇改善手当のもととなるお金となるのです。

  処遇改善加算会社に入るお金

   処遇改善手当介護職員に支給されるお金

 大前提として、処遇改善加算として会社に入ってきたお金は、全額、介護職員に支払わなければならないというルールがあります。

 支払った後は何人の職員にいくら支給したか、昇給として支給したのかボーナスとして支給したのか、それともその他の手当てとして支給したのか等、会社は市区町村(保険者)に報告をする義務があります。

 会社が職員に対してすることは、あくまでトンネルとなって、介護保険や利用者様からいただいた処遇改善加算というお金を手当として介護職員に通すということだけです。

 つまり、処遇改善加算の額  処遇改善手当の額 となっているはずです。

 処遇改善加算として会社に入ったお金を1円でも残してしまうとルール違反となり返還の対象になります。

 

③介護職員なのにもらっていないんだけど・・・

 介護職員として働いていたとしても、その施設自体が支給要件を満たしていなかったり、要件を満たしていた場合でも、支給するための届出を市区町村に届け出ていなかったりする場合は、その会社では処遇改善加算としての収入がないので、処遇改善手当の支給はありません。

 また、「会社に入った処遇改善加算すべてを介護職員に支給する」というルールはありますが、均等に支給しなければならない」、「介護職員全員に支給しなければならない」というようなルールはありません職員によって差をつけることや、特定の職員には1円も支給しないということにしても問題ありません。裏を返せば、介護職として働いた実績のある職員たった一人に、会社が算定した処遇改善加算の全額を支給しても、制度上は問題ないということになります。

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 会社への貢献度は職員により当然異なりますが、10年以上のベテランと新卒の新人を同じ目線でみては、育つ人も育ちません。しかし、全職員が会社に対して貢献をしているということは事実ですので、当社の場合は、支給額を3段階にわけ(中央値±5万円)、人事考課に基づき役員を除くすべての介護職員に支給するようにしております。

 

④毎月もらえるの?ボーナスみたいなものなの?

 支給方法に決まりはありません。会社の方針により、毎月給与に上乗せして支給することもできますし、ボーナスを処遇改善手当で支給することもできます。また、その両方を採用し、毎月の上乗せで残ったものを最後にボーナスとして支給するという方法もあります。その他の方法では、定期昇給部分に充当したり、各種手当として支給したりする場合等、様々な方法が考えられます。処遇改善手当の目的が、介護職員の処遇を改善するところにあるので、収入が増えるという目的を達成することさえできれば、その方法は各会社の考え方に任せられています。

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 当社の場合、勤務実績及び人事考課に基づき年2回の通常の賞与とは別に、3月下旬に一括して支給しております。毎月支給してほしい!という声もありますが、1年を通して会社に貢献してくださった方により多く支払いたいという会社の方針でこの支給方法を採用しております

 

⑤よくわからないんだけど、きちんと支払ってくれるんですか?

 上記で申し上げたように、会社によって様々な支給方法がありますので、支給明細をご覧になってもわかりづらいこともあると思います。

 しかし、会社が処遇改善加算を算定するにあたっての要件として、全介護職員にその年度の処遇改善手当の支給に関して説明をしないといけない、というルールがあります。

 会社に処遇改善加算がいくら入って、何人の職員に何円支給したか詳細な説明をしなければならないのです。

 処遇改善手当が支給されているところであれば必ず説明がなされているはずなので、不明な点がある場合はその説明の際に質問すると教えていただけると思います。

 当社の場合、きちんと理解していただけるように、年度末の面談の際に、全職員一人ずつ説明をしております。

 

⑥介護福祉士10年以上してるんだけど、新しい処遇改善手当で8万円もらえるの?

 新しい処遇改善加算(特定処遇改善加算)についてはこちらのページでご説明しておりますので、ご参照ください。

 

 

 

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