支援事例

2025/03/26

県連合会 相嶋達也(失敗、歓迎されるべき)

県連合会 相嶋達也(失敗、歓迎されるべき)

「失敗、歓迎されるべき」

 

組織づくりは人づくり。

県商工会連合会では、将来を担う新任職員がスムーズに成長し能力を発揮できるよう、環境を整備している。

「テーマは『いち早く失敗を経験してもらうこと』だった」。

 

本年度、新任職員研修を担当した同連合会係長の相嶋達也(42)は、こう振り返った。

同連合会は本年度、新任職員研修を一新した。

それまで1日半程度の日程で実施していた研修を、10日間にまで大幅拡大。

カリキュラムも、ビジネスマナーや税務に関する基礎知識といった一般的なメニューに加え、経営者との具体的な「やり取り」を想定した模擬面談や、商工会が抱える課題を共有して深掘りするグループワークなどを初導入した。

 

相嶋の肝いりで盛り込まれたのが模擬面談だ。

支援先の経営者に扮した先輩職員が、新任職員に対して現場でありがちな無理難題を要求。

当然、新任職員は返答に窮する羽目に陥るが、あえて「失敗」を誘発することで対応方法を学んでもらう。

商工会の主な業務は、地域の中小企業や個人事業主の経営支援。

ビジネスに生活をかけている経営者にとっては、担当の商工会職員がベテランでも新人でも求めるものは変わらず、新人だからと大目には見てもらえないケースもある。

「新人が取り返しのつかない失敗をしないよう、前もって失敗する場が必要と考えた」と話す相嶋。

新人にとってゼロとイチの違いは大きい、との認識を示す。

 

「他県に比べ、新任研修に組織として力を入れている」(商工会関係者)と評価されている同連合会。

新任研修の強化は組織力の底上げに通じ、さらに支援先企業の発展にもつながる。

 

 

 

※2025年3月26日(水)の長崎新聞にて掲載されております。

 

2025/03/12

東長崎商工会 坂本 歩(支援事例などを共有)

東長崎商工会 坂本 歩(支援事例などを共有)

「支援事例などを共有」

 

その日のテーマは「資金繰りの対応」だった。

今年2月、東長崎商工会。

中堅の男性職員が、同僚を前に、融資を希望していた会員事業所に絡む金融機関への対応事例を説明した。

難航していた借り入れを、どのようにして成約まで持ち込んだのか、順を追って説明。

若手職員が、金融機関との交渉に際し、成算ありと判断した根拠を熱心に尋ねる場面も見られた。

 

同商工会では2020年以降、週1回のペースで、全職員参加による「職員ミーティング」を開いている。

毎回、当番の職員1人が発表者として登壇し、支援事例や業務改善案などを発表。

ほかの職員が、感想や意見を述べるシステムだ。

 

県内の商工会は19年、人事制度改革の一環として職種を統合。

それまでの職種に関係なく幅広い業務に挑戦できる環境を整えたが、一方で多くの職員が広範なスキルや心構えを身に着ける必要性も生じた。

 

これを受け、同商工会では職員の資質向上などを目的に、課長の坂本歩(52)の提案でミーティングを開始。

延べ150回超開催してきた。

発表者は、ベテランであれば経験に裏付けされた貴重なスキルや考え方を伝えることができ、若手の場合は自分自身の手法や「現在地」を確認することができる。

ある職員は「仕事に対する姿勢や行動原理を共有できる機会もあり、非常に貴重な場」と有用性を語る。

 

坂本は「人前で発表したり意見を述べたりすることは、コミュニケーション能力の向上に役立つほか、職員の相互理解や連携強化にも寄与する。

職員のレベルアップは会員満足度の向上にも資するはず。

今後も目的意識を持ってミーティングを続けたい」としている。

 

 

 

※2025年3月12日(水)の長崎新聞にて掲載されております。

 

 

2025/02/26

県連合会 津裕介 (災害時の心構え学ぶ)

県連合会 津裕介 (災害時の心構え学ぶ)

「災害時の心構え学ぶ」

 

能登半島地震により被災した事業者を支援するため、県商工会連合会(長崎市)は昨年2~3月、応援職員2人を石川県内の商工会に派遣した。

同県内では、支援する側の商工会も大きな被害を受けたことから、全国商工会連合会(東京)の要請に基づき、全国の商工会が交代制で職員を現地に送り出した。

県連合会課長補佐の津裕介(38)は、能登町商工会(石川県能登町)で5日間活動。

災害時に活用できる補助金や資金繰りなどに関する相談対応を行った。

九州エリアは、かつて地震が少ない地域とも言われていた。

 

だが、2016年に熊本地震が発生するなどし、近年では県内も決して震災リスクと無縁ではないとの認識が広がっている。

さらに災害は地震だけに留まらない。

長崎は大水害に襲われた歴史もある。

近年の異常気象も相まって災害に対する備えの重要性はますます高まっており、県連合会では今回の派遣を通じてノウハウを持ち帰り、長崎での取り組みに役立てようという思いもあった。

 

津が能登町での活動を通じて最も印象に残ったのは、現地の商工会職員が、自らも被災していながら事業者を懸命に励ましていたことだった。

商工会には、災害に備えた計画の策定や準備をサポートする業務がある。

津は「これらの備えは確かに大切。

加えて心構えの面では、仮に自分が被災しても商工会職員の責務として、何としても被災事業者を支援する、という気持ちを持つことが大切だと気付いた」と強調。

これこそ災害支援の本質と言い「災害時に頼りになるのは商工会、そんな風に言われるようにならなければ」と気を引き締める。

 

 

 

※2025年2月26日(水)の長崎新聞にて掲載されております。

 

 

2025/02/12

県連合会 女性部会長 江嶋慶子(地域への恩返し胸に)

県連合会 女性部会長 江嶋慶子(地域への恩返し胸に)

「地域への恩返し胸に」

 

県商工会女性部連合会長の江嶋慶子(76)には長年、大切にしてきた思いがある。

それは「地域への恩返し」だ。

 

県内の商工会組織を束ねる県商工会連合会(長崎市)の内部組織として、女性部の前身となる「婦人部」が誕生したのは1971年。

女性会員や会員親族の女性などがメンバーで、2024年4月時点での部員数は約1700人。

スキルアップに向けた研修会をはじめ、ごみ拾いや寄付金集めといった社会福祉事業や子育て支援、地域振興事業など幅広い取り組みを手掛けている。

人生の大半をふるさとの対馬市で過ごしてきた江嶋は1975年、夫と共に対馬で建築塗装業を立ち上げ、島内を地盤に商売してきた。女性部に入会したのは28歳のとき。

さまざまな要職を経て2016年、会長職に就いた。

 

江嶋が日々、感じているのは、商工会員は地域に根を張って商売をさせてもらっている、ということだ。

商工会は旧郡部が主な支援エリアで、その会員は規模の小さな中小企業小規模事業者がほとんど。

「顔の見える関係」にある地域の住民に商品を買ってもらい、支えてもらうことで、はじめて商売を続けることができる。

江嶋は「商工会員は地域に生かされているのだから、さまざまな活動を通じてその恩を地域に還元する必要があると思うんです。

地域貢献は一番大切。

女性だからこそできることも、あるのではないでしょうか」と力を込める。

 

今後に関しては、商工会連合会の別の内部組織である青年部との連携も模索中。

「臆せずに新しいことにどんどん取り組んでいこう、という話をいつもしているんです」(江嶋)と、さらなる「恩返し」に向けチャレンジを模索しているようだ。

 

 

 

※2025年2月12日(水)の長崎新聞にて掲載されております。

 

2025/01/22

県連合会 よろず支援拠点(オール長崎 体制目指し)

県連合会 よろず支援拠点(オール長崎 体制目指し)

【 オール長崎 体制目指し 】

 

その日、中小企業の経営支援を手掛ける県内の約50団体・110人が、長崎市内で一堂に会した。

昨年11月に開かれた「第7回県中小企業支援機関連携フォーラム」。

各機関の連携支援事例が紹介されるなどし、熱心に聞き入る参加者の姿が見られた。

 

フォーラムを開いたのは、県内の商工会を取りまとめている県商工会連合会(長崎市)と、同連合会が管理・運営する国の無料経営相談所「県よろず支援拠点」(同)。

県内で活動する官民の中小企業支援機関の連携を目的に、毎年一回開かれる恒例行事だ。

中小企業支援をめぐっては、事業所が抱える経営課題が高度化するなか、特定の支援機関だけでは十分なサービスを提供できないケースが増えている。

中小企業庁がまとめた中小企業白書・小規模企業白書(2024年版)によると、支援機関の約9割が、ほかの支援機関との連携が経営課題の解決につながっていると回答。

この背景として各機関は、支援ノウハウや知見、人員の不足を課題として挙げており、連携は成果を上げるため不可欠な要素であることが分かる。

 

近年は、商工会や会議所といった「伝統的」な組織に加え、時代の要請に基づいて設置された「長崎よろず」や県事業承継・引継ぎセンターといった新しい支援組織も増えた。

支援力の根源である多様性が、じわじわと強化されている現状が垣間見える。

県連合会では「他の支援機関の強みや役割は、知っているようで理解できていないケースもある。

フォーラムが連携の契機となり、よりよい支援を提供することができれば」と「オール長崎」体制の構築を目指す。

 

 

 

 ※2025年1月22日(水)の長崎新聞にて掲載されております。

 

 

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