グローバルネイチャーポジティブサミット2026に向けた生物多様性研修会報告
2026年1月8日(木)午後1時半~3時半まで、「グローバルネイチャーポジティブサミット2026に向けた生物多様性研修会」が熊本県庁地下会議室で開かれた。
主催は、熊本県と熊本市で参加者は、会場に100名、ネット参加は、160名であった。残念ながら発表資料は、主催者の都合で配布されなかった。
1.開会挨拶
熊本県環境生活部環境局長の原田義隆氏より、サミットの誘致開催などについて話されたが、気になるキーワードは、①生態系への外来種の影響のこと、②ネイチャーポジティブ(自然再興)により社会全体の仕組みを変えていくこと、③自然と向き合い行動を変えていくこと、④自然と共生する社会を創り上げていくことなどであった。
2.開催都市挨拶
熊本市環境局環境推進部長の戸澤角充氏より、熊本市は、100万人の住民が同じ地下水を共有しており、その地下水からもたらせた農産物や海産物など生物多様性の恩恵を受けている。今の社会は、外来種の影響や気候変動による生態系への影響などが深刻な影響を受けている。市としては、広域的な地下水保全の取り組みを進めており、今回のサミットで、そのノウハウを世界と共有してネイチャーポジティブを加速化していくが、今回は、そのプレイベントの一回目となる。
3.来賓挨拶
国際自然保護連合日本委員会会長の道家哲平氏
まず、国際会議とは何か? 世界中の人々がネイチャーポジティブを進めていけるのか? 自然の恵みをどのように、知らせて行くことが可能か? など問いかけられた。ネイチャーポジティブは、難しい課題であるが、様々なセクターの人を巻き込んでいくことが重要であり、熊本モデルをどう作り上げるのか、また、エクスカーションで現場から学ぶことも重要であり、オールジャパンという意識で課題解決が必要であり、その為のチーム作りとなるであろうと話された。
4 研修会
①グローバルネイチャーポジティブサミット(国際会議)の説明
〔説明者〕熊本市環境局環境推進部環境政策課長の中村勝氏
今回のサミットの説明とサミットには、50カ国以上の参加することになること等話された。熊本市の水は、全て地下水まかなわれており、ネイチャーポジティブの実現とユースの参画の重要性が指摘された。
②ネイチャーポジティブの国際的な流れと国内・九州の動向について
〔講師〕 環境省九州地方環境事務所長の番匠克二氏/地域生物多様性増進室自然環境調整専門官の小林悟志氏
番匠克二:日本における環境に関する国際会議は、久しぶりであり、熊本市開催は、ありがたい。脱酸素は、浸透しつつあるが自然との共生についてはこれから、国際的な議論となる。東京では盛り上がっているが地方ではまだまだ浸透していない。2010年の生物多様性条約締約国会議で愛知目標が合意され、盛り上がってきた。現在、地域生物多様性増進法(地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律)により地域に密接に関係する二つ、①生態系の健全性の回復と②地域の自然環境を整えることで、市町村が地域単位で活動し、ネイチャーポジティブ経済が実現していくであろう。その為には、企業の役割が欠かせない。企業価値と地域価値を繋げること、自然環境に密接に繋がっている企業の参画が必要だと考える。将来に渡って自然を損なわない事業を推進すること、そして、日本が不利にならないルールメイキングをすることが重要であり、それは、行政側の課題となる。
環境省では、2年間で50万ドルを供出し、ネイチャーポジティブ事業を先行する。自然共生サイトは、既に2030年の目標を超えつつある。今後、投資家の意識が高まって行くであろう。
小林悟:自然共生サイトの基本は、OECM(Other Effective area-based Conservation Measures)つまり、国立公園などの従来の保護地域以外で、生物多様性の保全に効果的に貢献している地域のことで、里山、企業緑地、社寺林などが該当し、30by30(2030年までに陸と海の30%を保全)の達成に向けた新たな手法として「自然共生サイト」として認定・登録が進められていること。また、タイプ3は、第一産業の付随的保全の考え方であり、タイプ3をブランド化することが求められる。地権者不明の土地があった場合、そこを抜かして認定可能となっている。どこの保護区にもかかってないところがターゲットになる。上天草地域では、ドーナツ型の指定がされている。創出タイプは、ゼロから作り上げる手法であり、現在、考え方など動乱の時であり今申請することを推奨する。
普通の田んぼも自然共生サイトになれる。自然と共生する社会がこれから必要になってくる。
③自然共生サイト「明治グループ自然保全区くまもとこもれびの森」における取組について
〔講師〕KMバイオロジクス株式会社 企画管理本部総務部、サステナビリティ推進課専任課長の林田英一氏(https://www.meiji.com/sustainability/topics/2025/20251023_02/)
同社ホームページより抜粋【熊本県菊池市のKMバイオロジクス(株)菊池研究所敷地内にある 約6.3haの敷地には、スギ、ヒノキ、クヌギ、コナラなどからなる、豊かな自然環境が保たれた樹林があり、キンランやギンランの群生、フクロウ、テン、ヤマアカガエル、ヤマトタマムシなど、国や県のレッドリストに掲載のある希少な野生動植物が観察できる。豊かな生態系が保たれており、地域生態系にとって重要な役割を担っている。】
印象的だったのは、農薬じゃない形での害虫駆除の取り組みや生物多様性保全の従業員の意識改革できていることだった。
質疑応答で、国際会議は、大陸の人々が多く来ると考えられるので大陸のスケールと島国のスケールは異なることを考慮すること、地域生物多様性増進法の自然共生サイトは、自治体の条例を新たに作る必要があること、また、自然共生サイトが指定されたら開発が止まるような仕組みが必要ではないかなどコメントした。
熊本では、毎月、市民によるネイチャーポジティブ関連の集まりや県主催のセミナーなど開催されつつあり、徐々に盛り上がりつつあります。
④ 質疑応答
質問者:会場から通路を挟んで私の隣に座っていた方からの発言は印象的だった。
阿蘇に長年野鳥の調査に出かけられており、最近、野鳥のさえずりを聞かなくなったとのこと。気候変動の影響か餌となる昆虫も減っているとのこと。
レイチェル・カーソンの著書『沈黙の春』は、1962年に出版された。DDTを始めとする殺虫剤や農薬などの化学物質の危険性を訴えた作品で、タイトルの沈黙の春とは、鳥達が鳴かなくなって生き物の出す音の無い春という冒頭の状況を表している。
阿蘇では、気候変動により現代版の『沈黙の春』が起こっているようだ。
ネガティブをポジティブに変換していく、その為には、ネガティブな関係者をどのように巻き込んでいくか?がポイント
国際会議は、大陸の方々が多く来ると考える。大陸のスケールと島国のスケールは異なる。
阿蘇からあ有明海までの流域全体をどのようにしていくのか?
500箇所、自然共生サイト。地域生物多様性増進法。自治体の条例を新たに作っては?
希少種だけではなく、天然記念物系は?
福岡で、ワンワールルド、ワンヘルスを進めている。ラベリングで野菜を買える。
タイプ3(農林水産業)をブランド化
自然共生サイトを指定されたら開発が止まるなどの力が必要。
環境影響評価法、戦略的な環境アセスメントの法制化。
菊池川流域日本遺産のエリア全体を自然共生サイトにする等
熊本市のサイト
https://www.city.kumamoto.jp/kiji00368192/index.html
