講師(宗夜)ブログ

2023-05-28 20:20:00

●プロってすごい

ただいま5月の末。

拙宅の庭は、かつてないほど様々な花が咲いてくれています。

こんなに綺麗なお庭の姿を見るのは初めて!

ちょっと感激しています。

今まで色んな花を植えては枯らし…を繰り返してきて(ああ、私ってダメな女…(>_>))と落ち込んでいたのです。

これではいけない。

もっと心豊かに生きたい。

そう思って、去年の秋からプロの意見をきちんと聴いてお庭作りをしようと考えました。

 

YouTubeを見るとたくさんの園芸のプロが情報を挙げてくれています。

土作り、苗の植え付け時期、相性の良い苗の選び方、剪定の時期と方法、成長期の追肥の仕方、水のあげ方…

全部アドバイスを守って8ヶ月。

本当に綺麗に咲いてくれました。

わぁ嬉しい。私でも咲かせられた🌸

 

特に驚いたのはバラの管理🌹

真冬に切り戻しをせよとプロは言います。

確かに伸び放題になっていた枝は美しくなく、これは何とかせねばと思っていました。

『思い切って半分くらいに切りましょう』

とプロは言います。

(え?いいの?そんなに切って。)

半信半疑でしたが、えいやと本当に切りました。かなり太い枝だったのでノコギリでギコギコ切りました。

寒空の下、バラの枝が縮こまっているように見え、なんとも心許ない様子。

(え〜、これで本当に良かったの?)

バラを見るたびに後悔する私。

数ヶ月の間、バラは無言。

何の変化も見られません。

ところが、陽が徐々に高くなり春の兆しが現れ始めた頃、茶色い古い茎から濃い朱色の柔らかい芽が出て来ました。

(良かった!生きてた💦)

一つ出たと思ったら、続いて何本も何本も出て来ました。

『おっはよ〜☀️』

長い眠りから目覚めたような勢いで、ぐんぐんと茎を伸ばしていきます。

あっという間に元の2倍以上の高さになりました。

そしてたくさんの蕾をつけてくれました。

気がつくとアブラムシが…。

すぐに対処。

プロは薬を撒くようにアドバイスしていました。私はつい買い忘れ、爪楊枝でコショコショして取り除きます。

それでもかなり効果があって、バラは『サンキュー』とでも言うように喜んでくれます。

バラの名は「プリンセスマサコ」。

品の良いピンク色のバラです。

毎朝新しい蕾が次々と膨らんでいます。

ああ、やっぱりプロはすごいな。

そう思いました。

 

プロと言えば…

よし庵にはプロフォトグラファーの太田真弓さんが活躍してくださっています。

太田さんの仕事振りは誠にスマート。

静かに仕事を済ませます。

物音ひとつ立てず、居るか居ないか分からぬほどに気配を消して。

いえ、消しているのではない。

溶け込んでいる感じです。

空気と一体になっているようです。

そして一番美しく見える瞬間を逃しません。

被写体の構図、光の入り方…。

素人の私には及びもつかない沢山の条件をカメラの枠で捉えていらっしゃる。

また、被写体の尊厳を大切にしてくださる。

黒子に徹して相手の集中力を邪魔しない。

それでいて、モデルになるとスポットライトを一身に浴びた主役となる。

この変わり身の速さ。

その場その場で、相手のニーズを的確に掴み、実績を重ねる。

まさにプロ。

改めてプロってすごい。

2023-05-22 21:24:00

●愉しむことの奥深さ

愉しむということは、とても奥深いと思います。

 

近いようで異なるのが『笑い』。

笑いにも色々な種類が存在するようです。

そして年齢と共に笑いも成長します。

子どもの頃はドリフが大好きでした。

『8時だヨ!全員集合』

は子供にとって必見番組でした。

欠かさずに見ないと翌日のクラスの会話についていけません。

それなのに家庭では『品が悪い』といって禁止令が出て途中から見させてもらえませんでした。

卑猥な歌をメンバーが歌っていて、それを大声で兄弟と真似たことが逆鱗に触れました。

全くもって記憶がありません。

怖くてとても思い出せません。

 

成長するにつれ、ドリフを見ても笑えなくなりました。

笑うだけでは満足出来なくなってきました。

テレビの前では年下の兄弟が床に転げ回ってゲラゲラと笑っています。

『あんたの方がよっぽど面白いよ』

と横目でその姿を見ていました。

 

中学生になってからは勉強と部活とで大変な日々でした。勉強しろ勉強しろと親はうるさく追いかけてきます。

どうやらどこの家庭も同じだったようです。

弁論大会にて、同級生の男の子が

『僕たちの幸せはどこにあるのか』

と訴えて大喝采を浴びました。

 

『良い点数を取って、良い高校に行って、良い大学に行って、一流企業に入る。

それが本当の幸せなのだろうか。』

『そもそも宿題が多すぎる。夏休みなど、漢字の本一冊を丸々暗記せよという宿題も出る。勉強の得意な人もいれば不得意な人もいる。せっかくの貴重な夏休みなのだから、勉強以外のことに時間を使いたい。』

そのような内容でした。

 

練りに練った文章構成で、言葉も分かりやすく、私たち中学生の心にまっすぐに響きました。

(そうだ、そうだ!)

ちょうど映画『ボクらの七日間〇〇』などが流行っている年代でした。

そして驚いたことに、本当に次の年から夏休みの宿題が減ったのです。

(私たち中学生が大人を動かしたんだ!)

にわかに興奮しました。

 

ところが…

夏休みを終えてみて、私は虚無感を覚えました。

 

宿題は減った。確かにやることは少なかった。

では自分は、宿題の代わりになるような素晴らしい経験をなにか得たのか?

……得ていない。

満足感など特にない。

宿題が減った分、ダラダラしただけのことである。だったらあくせくしながらも宿題をしていた方がまだ良かったのではないか?

 

なんだか心底がっかりしました。

そしてやっぱり勉強はした方がいいと思いました。それが当時の私たちの本当の学びだったようです。

 

愉しむの原点は、学びかも知れません。

勉強とはちょっと違う。

教養ともちょっと違う。

ところどころで、色んなことに気付いて、吸収して、自分の道に活かしていくことかもしれません。

 

誰よりすごいとか、昔より良いとか、

そういう比較から心を自由にして、気の合う仲間を増やしていって、穏やかな時間を持つことが学びであり、愉しみなのかな…と思います。

大人が自分の幸せを得て、心から愉しんでいると、その姿を見た子どもは安心します。

安心すると子どもも自然に学びます。

愉しむことは奥深い。

そう思います。

2023-05-22 19:20:00

●御所籠のお稽古

先日の土曜日の午後、生徒さまからのリクエストで『御所籠』のお稽古をいたしました。

 

『明日のお稽古で御所籠をしたいのですがよろしいですか?』

生徒さまからメッセージが前日に届き、

『もちろんです🎵』

と返信しました。

 

よし庵では生徒さま達に、前日までにお稽古の科目のお知らせをお願いしております。

釜の準備やお茶の準備があるためです。

おかげさまでお稽古が定刻に始められるのでとても助かっております☺️🤲

 

御所籠のご指定をいただいて、私も前日からワクワクしました!

お稽古を楽しみにしていてくださる🎵

とても嬉しい気持ちになりました。

もうお一方は薄茶のお稽古とのこと。

この日は、宗嘉先生と宗夜とで二手に分かれてのお稽古です。

宗嘉先生は別部屋にて奥伝のお稽古でした。

 

よし庵社中は、みんな茶箱好き❣️

宗嘉先生が茶箱大好き師匠だからです。

最初は全然覚えられなくて苦労しました💧

しかし面白いもので、手が掛かる子ほど可愛いというか…。途中からとても好きになりました👶

 

和敬、卯の花、花、雪、月、御所籠

みんなちがって

みんないい

zoomでも茶箱のお稽古を大切にしています。

カメラに手を寄せてドアップにして

『ここがこうで、ああで』

と丁寧に丁寧にお稽古しています。

海外にお住まいでも心は一つなのであります。

 

茶箱は、おもちゃ箱みたいで夢がありますよね。

何が出るかな、何が出るかな🎵

『うーん🤔、お茶碗!🤨』

『残念!振出でしたぁ!』

『かぁ〜っ、そっちか…😅』

とは言わないけど(お稽古だから)、そんな感じの楽しみがあります。

 

お茶を点てて定座に出し終わると、生徒さまは必ず綺麗に並べられたお道具を見渡すのです。

あって欲しいところに、ある。

茶箱のお稽古をすると、星空を眺めているような気持ちになります。

星それぞれに軌道があって、力の均衡を保っている。たまにそれが崩れる。理由はさまざま。

宇宙も生きているから。

膨張と収縮を繰り返す。

開いたり閉じたり、茶箱みたいに。

茶箱のお道具はいつものお点前の物よりも少し小さめに出来ていて、全てが手のひらに収まるサイズ。かわいい。

かわいいけど、小さいけど本物。

全て手が込んでいて綺麗に作られている。

 

御所籠も色鮮やかな古帛紗がきちんと並べられていて、心が落ち着きます。

はらり、はらりと古帛紗を広げます。

お道具は、右手で取ったり、左手で取ったり、両手で持ったのに、置くときは右手だけだったり。

ややこしいん…。

だけれども、これがクセになる面白さ。

『あー、楽しかった❣️』

お一方が御所籠の拝見なしのお稽古を終えられて、ふと見るともうお一方がウズウズ…。

モジモジ…。

『御所籠のお稽古をなさいますか?』

とお聞きすると、ぱぁ〜🌸と明るい顔をなさって

『良いんですか❣️』

と喜んでくださいました。

すると、先ほどの生徒さまも一緒になってぱぁ〜🌸と喜んでくださって、みんなでルンルン準備をしました。

お二方目の生徒さまは拝見ありのお稽古をいたしました。

『わぁ、こんなに違うんですね』

拝見ありと無しとでは、全然別のお稽古みたいに違うのです。

その違いをみんなで味わって楽しみました。

『て、鉄瓶重い…』

『あ、しまった。お湯入れ過ぎた💦』

ちょっとしたこともみんなでアハハと喜んでいました。

こういう時間を幸せというのだろうなぁ…としみじみ思いました。

そしてお二方目のお稽古も終了🍵

 

お隣を見ると、これから大円之草をされるとのこと。では皆さまもご列席くださいませ、と合流しました。

(あれ?この部屋なんだか暑くない?🥵)

5月の中頃ですが、すでに夏日。

25度以上の気温。

『あ、間違えて暖房いれてた😚』

と、宗嘉先生。

『カンベンしてくださいよ💦』

と宗夜。

みんなでまたアハハ😅と笑って。

こういう時間を幸せというのだろうなぁ…。

そんな5月のひと時でした。

2023-05-15 21:00:00

●茶室の白い雲

茶道を楽しんだ人たちは、茶室に森羅万象を再現したかったのだろうといつも思います。

そして最近、茶道は化学とも近いのではないのかと思うようになりました。

きっかけは、湯気です。

釜から沸き出す湯気。

釜を熱する時の熱源の違いによって湯気の形が変わることに気がつきました。

 

湯気の形には美しい時と、そうでない時があります。

一番美しいのは、炭手前によって綺麗にお炭が組まれた時。

蓋の間から勢いよく噴き出して竜巻を起こします。螺旋を描いて立ちのぼる龍のような白い雲。

しゅんしゅんと湯の沸く音も心地よく。

茶室に音の波が流れます。

そして柄杓で湯を汲むと、柄杓は花のような白い雲をまとうのです。

それらは一瞬で消え、また新たに沸き上がり…。

茶碗に湯が注がれると、白い花は茶碗に移り、しばらく留まり続けて空を舞います。

美しい…。

昔の人も私と同じように美しいと思ったことでしょう。

緻密に計算されているからこそ起こる現象です。

花は野にあるように…

雲も野にあるように…

そんな思いで作られた白い雲だと思います。

 

他の熱源の場合はどうでしょうか?

ガスでも湯は沸きます。

けれども湯は吹くばかりで、このような綺麗な白い竜巻はできません。

茶碗に湯を移しても雲はすぐに消えて炭手前の時のように留まりません。

電気の場合も同じです。

ガスよりは穏やかな熱せられ方ですが、白い竜巻は現れません。

屋外ではどうでしょう。

昔、バーベキューした時の記憶を辿ると、やはり白い竜巻は現れなかったことを思い出します。

湯気は水の表面から均等に薄く現れていて、螺旋を描く竜巻は起こりませんでした。

ガスで沸かした時よりは美味に思えましたが、茶室での炭で沸かした湯とは、まろやかさが比べものになりません。

 

どうしてこんなに違うのだろう…。

茶道の炭は高価で高品質であること。

釜も鉄の純度が高くて高品質であること。

たくさんの要素が組み合わされて実現されていることに違いありません。

私はこんな風に考えています。

 

・炉や風炉の素材や形状により、絶妙な輻射熱を生むこと。

・炭の遠赤外線効果により、水の分子が激しく振動すること。

・炭の周りの灰に含まれる水分量が適量であり、熱を受けた時に発する水蒸気が上昇気流を生むこと。

・それによって対流熱を作り出し、釜の中の水も激しく対流していること。

・分子の振動と対流の激しさにより、水の中に静電気が発生していること。

・静電気が空中に放たれることですぐに電気が放出されて白い花みたいな雲が現れること。

 

こうなんじゃないのかなぁ…

といつも白い竜巻と雲を見ながら考えています。

茶道を作った人々は、きっと炭手前の組み方を幾度も幾度も試しながら、どの組み方が湯を一番美しく沸かすのかを考えたことでしょう。

こだわってこだわってここまで来た、茶の湯。

 

オタクの心は、オタクが一番よく分かる。

どーーでも良いじゃん!

そ、どーでも良いんだけどね。

ところでお茶って美味しいね。

2023-05-14 15:19:00

●自己プロデュース能力

20歳の学生時代に、ドイツ語の年配女性の先生からこんな風に声を掛けられました。

『周りに流されないで、計画的に生きなさい』

どのような状況で声を掛けられたのか、全く覚えがありません。

その後に続けてこうも言われました。

『5年ごとに区切って計画を立てると良い。何となく生きないで。よく働きなさい。』

 

ずっとその言葉を忘れていたのに、40歳を目前にしたある日突然思い出しました。

それ以降、目につくところに5年間カレンダーを貼っています。

私はカレンダーを3つ使っています。

・5年間カレンダー

・1年間カレンダー

・1ヶ月カレンダー

この3つを何となくいつも眺めています。

眺めながら夢を描きます。

2年後にはこんな風になっていて、3年後にはこう。5年後はこんな感じ。

ということは、今年はこんな風に過ごすんだな。

ということは、今月はこんな風に過ごすんだな。

そうやって逆算して計画を立てています。

 

全てが計画どおりに上手く運んだかと言われると、そんなことはなく、最初は挫折の繰り返し。

計画が能力を大きく超えていたのだと思います。

ところがめげずにチャレンジし続けるうちに、無理が無理ではなくなりました。

体力がついてくると挫折さえ楽しめるようになるようです。

なぜ挫折したのかというと、計画が細か過ぎたのでした。

そしてカレンダーに書き込み過ぎました。

『絶対〇〇する!』

まるで受験生みたいな言葉を書いていました。

今は書き込むのはやめています。

何となく『こんな風になっているといいなぁ』とイメージするだけにしています。

世の中も、自分の人生も、予想がつかないことが多いから。

何となくのイメージを描き続けて数年。

ほぼイメージ通りに実現できています。

 

大切にしているのが『好き』の気持ち。

幸せとは…、成功とは…、

『好きを見つけること』

そんな風に思います。

 

『好き』は不思議です。

ひとつ、ものすごく好きなことが出来ると、それが思わぬところで別の芽を出していきます。

竹の子みたいに土の中で地下茎として繋がっているようです。

『まさか、これとこれが繋がっていたとは!』

じゃあ、これも勉強しなきゃだな。

そんな風に新たな夢が出来ます。

 

時間軸を可視化することで得られる感覚なのでしょうか。何らかの枠組みを作ることで、却って時間から自由を得られます。私にはこのカレンダーの方法が自分に合っているみたいです。

 

皆さまにも、ぜひ性格に合った自己プロデュース方法を見つけていただきたいと思います。

時の流れを止めることはできませんが、活かすことは出来ます。

 

『人生の計画を細かく立て過ぎぬよう…』

と助言をくださったのは宗嘉先生でした。

 

・夢を文字にするな。

・目標を細かく立て過ぎるな。

・それは夢でも目標でもなく、執着である。

・執着は自分も他人も追い込む。

・そうなると夢は自分から離れてしまう。

 

知らなかった。そうなんだ。

目から鱗の助言の数々。

外側から自分を見ることは大事です。

よし庵のイベントにて、皆さまの今後にお役立ていただけましたら幸いに存じます。

源氏物語茶事や、お茶会にて、女性の輝ける生き方を皆さまと一緒に作って行きたいとよし庵では考えています。