日記
⑤白内障について5 -治療ー
前回は白内障の経過についてをお伝えしましたが、飼い主側としてたぶん一番気になるところは
「じゃあ結局どうするのが良いの?」というところだと思います。
なので今回は白内障の治療についてを書いていきます。
『白内障の治療』というと、人ではよく行われている外科手術をイメージする方もいらっしゃると思います。
しかし考えるポイントとしては前回のお伝えしたように白内障が進行すると目が見えなくなるだけではなく、
痛みにより生活の質が落ちることがあるため、それをどうやって防ぐかが治療の本質になってきます。
あまり進行していない白内障に対してはまず定期的な経過観察と内科治療を私はお伝えしています。
上の写真くらいであればサプリメントや点眼薬を使ったりしながら定期的な経過観察で進行速度を見ていきます。
この時期で一番大事なことは「定期的な経過観察」です。
サプリメントや点眼薬を使っても、進行がゆっくりになることは有っても止まるということはほぼないため
どのくらいの速さで進行するかを判断するための経過観察が大事です。
内科治療で進行が見られた場合、体調や状態を考えたうえで外科治療を提案することもあります。
外科治療その① 【眼内レンズ挿入術】
人でも行われている一般的な白内障の手術です。
この子のように手術を行うことで白かった部分は透明に戻り視覚も回復します。
外科治療その② 【義眼挿入術】
主に緑内障や網膜剥離を起こし視覚を失った子に用いる手術です。
この子は当初から白内障がかなり進行しており眼内レンズ挿入ができなかったため、
義眼を片目ずつ入れた症例です。最初が右眼、そのあとに左眼の順で手術をしましたが、
白かった部分も黒くなりぱっと見では義眼が入っているとは思えない感じです。
外科治療その③ 【眼球摘出術】
これも視覚を失った目に行う手術ですが、義眼を使わず眼球を摘出してしまう手術です。
眼球を取ってしまうので瞼を閉じた状態になります。(この子は白内障ではなく眼球内腫瘍でしたが)
手術の内容によっては眼科専門病院を紹介し、連携を取りながら治療内容を相談していくこともできます。
白内障は進行が速いパターンもあり、早めの判断が必要なこともあります。
不安なことがありましたらどうぞお早めにご相談ください。
④白内障について4 ー経過ー
前回の予告でもお伝えしましたが、今回は白内障の経過≒進行についてです。
白内障は目が徐々に白くなる病気なのはご存知だと思いますが
「じゃあ真っ白になったらあとはなにかあるの?」
というと、白内障が悪化すると目の中で炎症が起き、その結果二次的な病気から強い痛みが出ることがあります。
これは多くの飼い主様がされる想像より辛い状態になることもあり、本当にひどい状態になると【眼球摘出手術】が必要になることも。
そのため早期発見に加え、適切な検査と定期的な経過観察が必要だとお伝えしています。
怖い話をした後でここからが本題の白内障の経過についてです。
①初発白内障(≒初期段階)
白内障の初期で水晶体のごく一部が白濁しているのが見えます。
この段階だと家庭ではまず発見できず、病院でライトを当てて観ないと分かりません。
②未熟白内障(≒中期段階)
白濁部分が広がってきて、家庭でも見つけられるようになってきたくらいの段階です。
この程度ではまだ炎症などの問題は起きにくいのですが、進行速度の確認など定期的な観察をお勧めします。
③成熟白内障(≒後期段階)
水晶体すべてが白濁し視覚が失われます(明るいか暗いかくらいは分かりますが)
進行速度にもよりますが、場合によっては炎症や痛みなどが出ることがあります。
④過熟白内障(≒末期段階)
白内障が溶け始めて液化し、白内障の一部(時計の8時方向付近)がへこんでいるのが見えます。
(写真が分かりにくくて申し訳ありません)
この状態になると目の中の炎症がとても起きやすく、二次的に緑内障や網膜剥離などを起こします。
また白内障手術ができなくなることも多く、その場合は視覚回復が困難になります。
視覚や眼球そのものを維持するためには②から③のあたりで手術を行うことが必要です。
とは言え手術はなるべく避けたいものです。
そのためにも進行をできるだけ遅らせられるよう、早期発見と方針の相談が大事ですので
ご心配な方はお早めにご相談ください。
ネコのiPS細胞ができたと聞いて
いきなりですが、ネコのiPS細胞作製に成功したとのインターネットニュースを見ました。
(ネコから高品質iPS細胞…大阪公立大などが作製に成功、ペットの治療法開発に期待)
同じ獣医学とは言えまったくと言っていいほど触れてきていない分野なので詳しいことは分かりませんが、iPS細胞は万能細胞になりうるというイメージを持っているので今後の獣医療の発展にすごく期待はしています。腎臓が悪くなった子に使えるかなとか、腫瘍などで骨がダメになった子に使えないかなとか、骨髄の異常で貧血になどになっている子はどうかなとか、神経も行けるなら今病院にいるネコにも使いたいなとか・・・。
人の方でもiPS細胞ができてから何年も経っているけどまだ現実的に使える治療方法が実用化されているとは言えませんが、将来的にはきっと様々に変わってくるのでしょう。今回のネコのiPS細胞もまだ時間はかかるのでしょうけど、人の前例をなぞりながら研究を行える部分もあり、その分人での時よりも短期間で臨床試験まで行ってほしいと思っています。
というか、話が来てくれたらうちのネコも治験OKですよ!(切実)
③白内障について3 ー原因ー
前回はぱっと見では白内障とよく似ている【核硬化症】について書きましたが、
今回からは『本当に白内障だった場合』について書いていこうと思います。
白内障に限らず、どんな病気であれ気になることとしては
・原因(なんでなったのか/どうしたらその病気になるのか)
・経過(その病気になったらその後どうなっていくのか)
・治療(今後どう治療していくのが良いのか/治療しなくても良いのか)
この辺りだと思いますので、今回はその中でも原因についてを。
白内障の原因として一番イメージしやすいのは『加齢』だと思います。
この加齢性白内障、早いと6歳くらいから出る子もいるので注意が必要です。
ただこのタイプの白内障は進行がかなりゆっくりなのがありがたいところです。
また他に、若いうちから白内障になる原因もあり、
・遺伝性:遺伝の影響で発症する
・代謝性:糖尿病などの影響で発症する
・外傷性:水晶体が傷つくことで発症する
・炎症性:目の中の炎症が原因で発症する
・先天性続発性:目の先天性異常により発症する
・その他
などいろいろな原因で白内障は発症し、これらの場合は加齢性白内障よりも進行が速いことが多いです。
とくに遺伝由来や糖尿病由来だと、1週間で急に真っ白になってしまうこともあるくらい(+_+)
この子は糖尿病で一気に白内障が進行して目が白くなってしまい、先に片目だけ手術を行ったところです。
右目は手術をして透明になり、左目はまだ白いままの状態です。
他に問題が起きないけど白内障になる原因として、
・先天性:生まれつき白内障がある があります。
これは上の【先天性続発性:生まれつき目の構造に異常がある】とは違い、生まれつき白内障があるのですが、
ほとんど進行しないので基本的にはそのまま定期観察で問題ないことがほとんどです。
とは言え、将来的に他の原因で白内障が出るとそっちは進行するので注意は必要です(^_^;)
右目 左目
この子は両目にある白っぽい星みたいな先天性白内障があったダックスフントです。
こんなはっきり出てるのはこの子しか見たことないですね。
今回はいろんな原因でなることをお伝えしたので、次回は経過についてを写真でお見せしようと思います。
②白内障について2
前回の最後で「目が白いからと言って白内障とは限らない」とお伝えしましたその続きです。
飼い主様から「歳をとったせいか目が白いんだよねー」とお伺いすることが良くあります。そうすると、やっぱり?白内障であることが多いのですが、中には白内障じゃない時もあります。
それが【核硬化症】という加齢性変化です。
しっかり瞳孔を開いて見比べるとけっこう分かりやすいのですが
白内障はしっかり白いのに対し、核硬化症は水晶体の中央あたり(=“核”の部分)が薄ぼんやりと白くなっています。
ちなみにこれはあるわんちゃん🐶の右目と左目を同じ日に撮った写真です。右と左でこんなに違うこともあるんですよね。
上の画像だとすぐに分かりますが、瞳孔を開かないと
こんな感じでなんで白いのかぱっと見では判断できないかと思います。
白内障は早期発見し、適切な経過観察と必要に応じた内科/外科治療が必要になりますが
核硬化症は本人の生活にあまり問題を起こさないため、様子を見ることがほとんどです。
『最近目が白い気がする』と思われたら白内障なのか?核硬化症なのか?どうぞお気軽にご相談ください。
























