一言法話

2023-10-16 07:18:00

105.色即是空


暑かった夏もいつの間にか終わりを告げ、朝晩はすっかり寒くなりました。近年の北海道は夏の暑さが長引くようになり、穏やかな秋はあっという間に過ぎ去り、すぐに長い冬を迎えるようになりました。季節の移り変わりは、仏教でいう諸行無常(この世の中のあらゆるものは変化・生滅してとどまらないこと)を私たちに実感させます。

お釈迦さまが説いた教えを弟子たちが伝承し、後に書き記されものがお経ですが、その中で最も有名なものが『般若心経』だといえるでしょう。般若心経は僅か262文字の短いお経ですが、そこには深遠なる仏教の教えが著わされています。この般若心経の中に「色即是空 空即是色」とあります。色(しき)とは、形あるものを表しますが、それらは様々な条件(因や縁)のもとに初めて現象として現れます。つまり永遠に変わらない実体はない、そのことを空(くう)と言うわけです。決まった形として今あるものも条件が変化した時には、その形や現れ方が変わってしまうということです。ですから、春夏秋冬の季節も色即是空だといえます。
しかし、私たちは変わらない実体というものがあるように妄想し、それに固執してしまいがちです。それが様々な執着を生み、その結果、自分自身を苦しめると仏教では説くのです。

ここまで書いてきましたが、これだけでは非常に抽象的でわかりづらかったかと思います。しかし、お大師さまは『般若心経秘鍵』の中で「誦持・講供すれば、則ち苦を抜き楽を与え修習・思惟すれば、則ち道を得、通を起す」とおっしゃっており、般若心経は読み書きするだけでも非常に功徳があるといわれるお経です。
寺茶房では、開店時間内であればいつでも写経ができますし、現在は月に一度、般若心経を中心に読経会(お経を唱える会)を行っています。10月は20日(金)午後1時より行います。どなたでもご参加いただけますので、寺茶房に直接お越しください。