一言法話

2021-08-01 00:00:00

27.因+縁=果

 

北海道の今年の夏はとても暑く、雨がほとんど降っていません。農作物への水分も不足し、農家の方々は大変な思いをされているでしょう。当たり前のことですが、植物は種があって初めて発芽し花を咲かせます。しかし太陽の光や雨など様々な条件が整わなくては、花を咲かせる前にその植物は枯れてしまいます。「因縁」という言葉を皆さんご存じかと思いますが、これは仏教語です。「因」とは「事物を生ぜしめる直接原因」、「縁」とは「間接原因」。必ずこの2つが関係しあって「果」結果が導かれるということです。花が咲くという結果は種を植えるという「因」と様々な条件「縁」が整うことによって導かれたといえるわけです。

1年延期となり、今年の開催の是非も問われた東京オリンピック2020ですが、7月23日に開会式が行われ、連日熱戦が繰り広げられています。テレビのチャンネルをあちこち変えながら、様々な競技を熱心に観戦されている方も多いのではないでしょうか。私もその1人なのですが、4年に1度のオリンピックにかける選手達の活躍は本当に胸を打ちます。また、印象深いことは試合を終えたメダリストや選手の多くから、「私ひとりの力では決してメダルはとれなかった」「支えてくれた方たちのおかげ」「両親や職場の人たちのおかげ」という周りの人々への感謝の言葉が聞かれることです。この舞台に立てたのは、周りの人達のお陰であることを、選手たちは心からそう感じているのでしょう。
オリンピック選手たちの言葉は、自らを取り巻く様々な「縁」への感謝の表れと言えます。オリンピック選手に選ばれるという「果」を得たということは並大抵なことではなく、本人の血の滲むような大変な努力「因」というものがなくてはならないわけですが、そこには周りの協力や様々な条件という「縁」が重なりはじめて成し遂げられたのだといえるでしょう。