ご来院の皆様へ
近年、テレビや新聞、インターネットなどでも取り上げられていますが、動物から人に感染する病気が増加しており死亡した人も報告されています。
現在の動物の飼育環境は昔と比べると殆どが屋内で飼育されるようになりました。人との接触する機会が多くなり、外の環境での感染症を屋内に持ち込んでしまうリスクが増しております。
しかし動物と屋外との接触を100%断つことは難しく、ノミやマダニなどの外部寄生虫や体の中に入り込む内部寄生虫を完全に除外することは難しい状況です。
動物から感染する病原体を媒介するものとして、特に話題となっているのがダニです。
例えば人で死亡例が報告されているSFTS(重症熱性血小板減少症候群)ウイルス(致死率10〜30%)はダニに潜んでおり、人の感染が確認されている地域は九州地方から徐々に東に広がってきています。下図では石川県でもヒトでSFTS感染者とSFTS遺伝子を持ったマダニが検出された事が示されていますが、2022年春に富山県でも犬においてSFTSを発症して症例が報告されました。また同年、人に於いても感染者の報告がありました。
他にもダニが媒介する人の感染症があり、富山県内でも発症が報告されています。
これらを媒介するダニは犬や猫が散歩などで体に付けてしまう、その辺にいる普通のダニなのです。
その他にも、本来は犬や猫の消化管にいる(土や散歩中に排泄したままの犬猫の糞便中などにもいる)犬回虫、犬鉤虫、猫回虫などの寄生虫が、人に誤って感染することがあります。本来の宿主でない人間が感染すると重篤な症状を発症します。
動物の病気予防は当たり前のご時世となりましたが、動物と一緒に生活するご家族の皆様の健康のためにも、予防はしっかりしておきましょう!
ダニ媒介感染症については厚生労働省のホームページで掲載されているのでご参照ください。