日記

2024-02-20 21:12:00

【2024年】 千葉県公立高校入試 【解説】

本日、2024年千葉県公立高校入試の初日が終わりました。

自己採点の結果が良かった子も、悪かった子も、まずはお疲れ様でした。

 

英語と数学しか解いていませんが、英語は例年通り、数学は易化していたように感じました。

今年からマークシート式に変わりましたが、桁数から計算せずとも答えが予測できてしまうので、平均点は大きく上がるのではないでしょうか。

 

さて、易化していた数学ですが、例のごとく図形問題だけは頭を悩ませた受験生が多かったのではないでしょうか。

昨年(2023年)の図形問題は悪問でしたが、2024年の問題は良問でした。

 

問題は以下の通りです。

 

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問⑶で悩んだ受験生が多かったと思います。

解説は以下の通りです。

 

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点EからBFに対して垂線をおろし、その垂線を利用して△EBFの面積を求めます。

当然、垂線の長さが必要になりますが、△AHEと△EHCの相似を用いて求められます。

(途中、『2x^2-33x+81=0』という二次方程式が出てきますが、因数分解ができなかったとしても、平方完成や解の公式を使えば問題ありません。)

 

相似条件などを省略した簡易的な解説ですが、解答の流れだけ分かれば解けるかと思います。

(余談ですが、EからBFに垂線をおろした時点で、△EGFと△CDFが相似となり、答えが2桁というところから、15×4÷2=30 or 15×6÷2=45 の2択に限定されます)

 

数学に限った話ではありませんが、問題を解く上で重要なことは「情報が多いところから取り掛かる」ことです。

 

今回の問題でいうと、△EBFの面積はEFとEBを使っても求められますが、そもそも問題文でどちらの長さも与えられていません。

一報、BFを底辺とみなせば、問題文でBF=15と与えられているため、垂線EGの長さだけ求まれば終わりです。

 

明日には理科と社会の試験がひかえていますが、漠然と手を動かすのではなく、情報の多いところから取り掛かりましょう。

 

以上「2024年 千葉県公立高校入試 数学の図形問題」でした。

2023-03-17 17:35:00

Everything + Everywhere - All × At ÷ Once

先日、アカデミー賞作品賞を受賞した『Everything Everywhere All At Once』(通称:エブエブ)を観てきました。

 

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コインランドリーを営む主人公が、「もし自分が~だったら」という並行世界の記憶を集め、世界の巨悪を打ち倒すファンタジーアクション映画です。

並行世界の自分の記憶を見ているうちに、「こんなさえない人生でいいのだろうか?」と疑問を抱きつつ、最終的には「今の自分だからこそ、今の幸せがある」と結論に達する、まあ、よくある物語です。

個人的にはあまり好きではありませんでしたが、主人公が妙齢の女性ということもあり、Y世代(40歳くらい)に刺さる良い作品と言えます。

『RRR』と同じく、一部の映画ファンの間では爆発的に話題を呼んでいる作品なので、気になる方は是非とも映画館へ足を運んでみてください。

 

 

ところで、皆さんは算数(または数学)は得意でしょうか。

足し算や引き算といった四則演算から始まり、方程式や関数、微分積分や行列といった、様々な概念を学習します。

日常生活で役立つものから、「こんなのいつ使うんだよ」と文句を言いたくなるような複雑な概念まで、数学の世界は果てしない感じがします。

 

「これっていつ役立つんですか?」

「どうしてこの公式になるんですか?」

塾講師をやっていると、こういった質問はよく耳にします。

習ったことを鵜呑みにせず、概念や理論に疑問を抱くのはいいことです。

 

しかし、不思議と「どうして足し算は+の記号で、かけ算は×の記号なんですか?」といった、視覚的な質問を耳にしたことはありません。

せっかくなので、本日は「数学記号」についての日記を書いていきます。

 

あくまで感覚で考えてほしいのですが、小学生で習う四則演算の記号(「+」「-」「×」「÷」の4種類)は、いつ頃から登場したのでしょうか。

感覚で考えるのであれば、「えっ、人類が誕生した瞬間からあったんじゃないの?」と思いませんか?

私もそう思います。

ここまで科学を発達させた人類であれば、単純な四則演算の記号なんて、数千年前から使ってそうですよね。

 

ところが、四則演算の記号が初めて登場し、世の中に浸透してから、実はまだ400年と経過していません。

 

例えば、1600年後半、微積分法の発展に貢献したライプニッツは、割り算を「÷」ではなく「:」と記載していました。

更に、同じく1600年後半、万有引力を発見したニュートンは、割り算を「÷」ではなく「/」と記載していました。

つまり、1680年頃までは、人類はまだ割り算の共通記号を持ち合わせていませんでした。

 

ライプニッツとニュートンは、積分法についての議論を手紙で交わしていたのですが、ライプニッツが「割り算は分数と同義であるから、『:』ではなく『/』で記載するのが合理的である」と考え、割り算の記号が「/」へと統一されます。

(余談ですが、現代でも割り算の記号は「÷」ではなく「/」が一般的なので、最終的にはニュートンの記載が採用されています。例えば、Excelでは『/』が割り算を意味する演算子となっています)

 

ここまで科学を発達させた人類が、400年前には割り算の共通記号すら持っていなかった。

そう考えると、「学年最下位の落第者が、数年後に東大に入学できるか?」という質問に対し、「できますよ」と答える指導者が多いのも納得できるのではないでしょうか。

 

話を少し変えて、400年前の日本を考えてみましょう。

1600年というと、関ヶ原の戦いで徳川家康率いる東軍が勝利し、江戸時代がはじまったころです。

腰に刀をぶら下げ、日本人同士で殺し合いながら、大して広くもない日本の領土を奪い合っていた時代ですね。

そんな中、世界ではライプニッツやニュートンが微分積分や万有引力について議論を重ね、演算子を確立していたのです。

 

 

『エブエブ』では、主人公が並行世界の自分の記憶をたどっている中で、「違う選択をしていれば、違う人生を歩めたのに」と後悔するシーンが何回かあります。

積分について議論していたライプニッツやニュートン、日本統一を目指した織田信長や徳川家康。

違う選択をしていれば、織田信長と徳川家康が積分について議論を交わし、ライプニッツとニュートンが天下分け目の戦をしていたかもしれませんね。

 

もちろん「この人生が正解だ」といった模範解答はありませんが、誰しも(漠然としていても)「こんな人生を歩みたい」という理想はあるのではないでしょうか。

同時に選べる選択肢には限りがあるので、改めて、将来について考えてみてください。

 

 

弊塾は英数理系特化なので、「ライプニッツやニュートンのように、積分の議論がしたい」といったご要望も承っております。

また、個別指導塾なので、「日本を統一したい」といった、特殊な思想を持った生徒さんにも対応可能です。

講師が5人いるため、東軍と西軍に二人ずつ配置し、更に審判を一人設けることもできます。

面談にご両親が来ていただければ、東軍と西軍が3人ずつに増え、緊張感のある戦いを演じることもできるかと思います。

 

 

以上、『エブエブ』と演算子についてでした。

2023-02-23 17:25:00

2023年 千葉県公立高校入試 数学の図形問題

昨日、千葉県公立高校入試が終わりました。

自己採点の結果が良かった子も、悪かった子も、まずはお疲れ様でした。

 

「学校」という分類で考えた場合、人生を大きく左右するのは、中学でも高校でもなく大学です。

(もちろん、個人に依りますが……)

日本において、社会人になってからの就職先や給料は最終学歴(大学もしくは大学院)で決まります。

結婚して家庭を持つにしろ、半分以上の男女が、大学以降の出会いによって結ばれています。

「高校受験はどうでもいい」と言うつもりはありませんが、今回の受験結果に関わらず、今後のために、より一層の学習をお勧めします。

 

前置きはさておき、2023年度の千葉県公立高校入試の問題を一通り解いてみました。

受験生の皆さんは、文字の多さに驚いたのではないでしょうか。

 

「大学入学共通テスト」でも同じことが言えますが、近年、あらゆる教科で「読解力」が求められています。

まあ、当たり前ですよね。

日本にしろアメリカにしろ、どんな分野であれ、必ず言語を介して対話が行われます。

それが会話かもしれないし、メールや書類など、文章でのやり取りかもしれません。

いずれにせよ、読解力がなければ対話が成立しません。

 

長い文章を読ませ、その情報を基に問題解決手段を考えさせる。

個人的には、良い方向に受験内容が変わっていると考えています。

 

また前置きが長くなりましたが、2023年度の千葉県公立高校入試について。

数学で一問だけ、悩んだ問題があったので、その問題についての日記となります。

 

大問3、図形の最後の問題です。

 

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間違いなく難問に分類されます。

ただし、補助線や複雑な計算は要求されず、気づいてしまえば30秒もあれば解けるので、見方によっては難問ではありません。

中学受験でよくあるパターンですね。

分類としては「悪問」になるのではないでしょうか。

 

基本的に、受験問題は小問集合で大問が形成されており、求めた数値や情報を利用して解き進めていきます。

俗に言う「出題者の誘導に従って解こう」というやつですね。

 

ところが、今回の図形に関して、最後の問題は誘導が無意味な独立問題となっています。

「小問2で証明した相似を使って解くんだろうなぁ」と素直に考えると解けません。

 

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三角形ABEも三角形ADCも全く必要ないです。

問題を大きく見ると「相似を利用して解くのだから、誘導の意味がある」と言えなくもないですが……

ミスリードがあるが故に、難易度が跳ね上がっている問題の典型例でした。

 

私は残念ながら、5分でこの解法を思いつかなかったので、制限時間内では95点しか得点できませんでした。

「塾講師なら満点取れて当たり前だろ」と思うかもしれませんが、実際の入試問題は制限時間があるため、計算ミス無しで時間内に満点はなかなか難しいです。

ましてや、受験経験の浅い中学3年生は、今回の数学で満点を取るのは激難だと思います。

 

今回の入試問題から分かる通り、真面目に問題と向き合うと損をすることが多いです。

全ての文章を読む必要はないですし、誘導に従う必要もありません。

自分に有益な情報だけ抜き取り、効率よく情報を取捨選択しましょう。

 

ちなみに、弊塾の日記は有益な情報がほとんどありません。

この日記を最後まで読んでしまった人は、情報の取捨選択が甘いので、たくさん勉強して読解力を鍛えましょう。

 

以上「2023年 千葉県公立高校入試 数学の図形問題」についてでした。

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